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三略講釈【下略-3】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回の節は学びの多い内容になっていますので、じっくり読んで頂ければと思います。

本文現代語訳

「身近な問題よりも遠い未来のことを考えている者は、苦労するだけで得られるものは少ない。遠い未来のことよりも身近な問題に取り組む者は、余裕を持って目的を達成することができる。余裕をもって政治を行えば忠実な臣下が多くなり、苦労ばかりの政治を行えば民衆の恨みを買う。
 そこで、領地を広げようとする君主は国を荒廃させ、徳を広めようとする君主は国を強くすることが出来る。今ある領土を保つ者は安泰でいられるが、他人の領土を奪おうとする者は失うものが多いと言われるのである。
 他人のものを奪おうとする政治は、末代までその報いを受ける。また、制度を作る時に厳しくし過ぎれば、一時的には成功しても最終的には必ず失敗する。自分のことを棚に上げて民衆を教化しようとする者は反抗され、自分の身を正してから民衆を教化しようとする者は従われる。反抗されれば混乱を招き、従われれば平和の象徴となることが出来る」

解説

まずやるべき身近な問題があるのに、先のことをあれこれと考えるだけで何も行動しないのは良くないという戒めです。
片付けられる問題から先に片付けてしまえば心に余裕ができ、そうすれば焦らず落ち着いて次にやるべきことに取り掛かれる書かれています。
中段については、本文そのままの意味で理解して問題ありません。
そして自分本位で他国の領土を奪ったり物事を決めれば失敗しやすく、今ある領土を大切にし、自分の身を正して物事を進めれば成功しやすいと述べられています。
先に片づけられる問題からどんどん片づけることで、遠い未来にすべきことにも手を付けられます。
そして無理に手を広げるのではなく、自分の身を整えて今あるものを大切にすることが成功への近道だということ伝えています。

個人的な意見になりますが、この「身近な問題から取り組む」という考え方は、今すぐに実践できる兵法の知識だと思っています。
皆さまにもそれぞれ為すべきことがあるでしょうが、それらも身近な問題から先に片付けた方が物事は進展し、結果としてより早く良い成果を出せることでしょう。
ですので、この考え方は現代にも通用するものだと言えます。
ぜひ皆さまもこれを実践して頂ければと思います。

さて、今回の講釈はここまでとしましょう。
それではまた、次回お会い致しましょう。



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