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防御施設の重要性

皆さまこんばんは、弓削彼方です。
今回から城や砦など、拠点の防衛の話に入りますが、城や砦に籠城する前にやるべき事があります。
まずはこれについて説明して行こうと思います。
分かりやすい動画での説明も、併せてご覧ください。


少し長くて難解ですが、原文から見て行きましょう。

原文
「およそ守る者、進みて郭囲せず、退きて停障せずじて、以って禦ぎ戦うは、善なる者に非ざるなり。
 豪傑英俊、堅甲利兵、勁弩強矢、尽く郭中に在り。乃ち窖廩を収め、毀拆して入り保つは、客、気をして十百倍にして、主の気をして半ばならざらしむ。敵、攻むれば、これを傷なうこと甚だしきなり。
 然れども世の将は知ること能わず」

現代語訳
「拠点の防衛を試みる者が、敵を迎え撃つための前線陣地を作らず、城内に退却する場合も足止め用の障害物を置かないで、それでいて敵を防ぎ止めようとするのは、良い策だとは言えない
 充実した装備を持つ精鋭部隊を全て城内に収容し、兵糧や物資も城内に運びこんでしまえば、敵の士気は高まり、味方の士気は低下してしまう。こんな状態で敵が攻撃を仕掛けてくれば、味方の損害は甚大なものになる。
 しかし世の中の将軍達は、この程度のことすら理解していない」

城や砦を防衛するにしても、いきなり籠城戦とはなりません。
拠点から離れた場所での大規模な野戦とまではいかなくても、拠点が見える範囲で前線陣地を築いて戦い、本格的な籠城戦が始まる前に敵に損害を与えて士気を低下させます。
戦力差が大き過ぎてそれが叶わない場合でも、柵や堀、皆さまの世界ならば地雷原などを設置して敵の進行を遅らせ、それらの障害物を排除する手間をかけさせて敵を疲れさせます
この本戦の前に、敵に消耗を強いると言うことが一つのポイントです。

次によほどのことがなければ、少なくとも最初の段階では拠点を守る兵士達も「敵を迎え撃つぞ!」とやる気は十分なはずです。
それなのに一戦もせずに拠点に籠ってしまえば、そのやる気は削がれ、いざ戦いが始まる時には気力が尽きていると言うこともありえます。
この気力が尽きた状態で戦えば、味方は思った以上に力を発揮できず、敵は勢いづいて予想以上の苦戦を強いられる事になります。
そうならない為にも、武器が揃っていて兵士のやる気がある内は、拠点から撃って出て一戦交えると言うことも必要になります。
これも本戦が始まる前に、敵に消耗を強いると言う原則に合致します。

また前線陣地で敵と戦う事がなく、障害物も設置しなかったために、敵はさしたる苦労もなく拠点の目前まで迫る事が出来たとなれば、敵は「自分達の力を恐れて何も出来ずに城に引きこもっている」と判断し、その士気はいやが上にも高まる事でしょう。
そうなってしまえば苦戦を強いられるのは必至です。
そうならない為にも、一度は前線陣地で戦って敵の出端を挫く事や、障害物の撤去を強いることで疲弊させると言う事が必要になります。

このように、防衛戦では拠点そのものの防御力も大事ですが、その前の防御施設を利用すると言う事も非常に重要なことなのです。
あらゆる手を尽くして敵に消耗を強いる
これは攻めでも守りでも、常に考えなければいけない事です。

本日のお話はここまでにしましょう。
それではまた、次回お会い致しましょう。

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