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三略講釈【下略-8】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
文章量が多いですが、落ち着いて読めばすぐに理解できる内容です。

本文現代語訳

「君主の命令に背く者を尊重し、貪欲な者が裕福であれば、その君主が聖王と呼ばれるほど優れた人物でも、その国を治めることはできない。君主の命令に背く者が罰せられ、貪欲な者が捕えられれば、それで教化は行き渡って悪人は一掃される。
 清廉潔白な者を、爵位や俸禄で得ようとしてはならない。忠節で信義のある者を、権威や刑罰で脅して得ようとしてはならない。そこで明君が賢人を得ようとする時は、必ず彼らの人柄や行動を観察して、それぞれに合った招き方をする。清廉潔白な者を得ようとする時は、礼節を持って招くようにする。忠節で信義のある者を得ようとする時は、道理を説いて招くようにする。そうすることで賢人を得ることができ、君主の名声を保つことができるのである。
 聖人や君子は、物事が栄える時と衰退する時の原因をよく知っていて、成功と失敗の発端をよく理解している。世が治まる時と乱れる時の機微をわきまえていて、進退の時期も承知している。だから困窮していても、いずれ亡ぶような国に仕えようとはしないし、いくら貧しくても、世の中を乱すような国の俸禄を受けることは無い。身を潜めて志を抱く人物は、その時が来て行動するとなれば、君主の臣下として地位を得て、君主の理想が自分と同じであれば、めざましい功績を立てる。だから志は高く、その名は後世に語り継がれるのである」

解説

文章自体は長めですが、内容は本文そのままです。
前段は命令に背く者や欲深い者を排除することで、国内の教化が進むという話です。
次に清廉潔白な者や信義に厚い者はお金や地位や脅しでは動かず、礼節を整え道理を説いて賛同して貰うことで招くことができると述べられています。
そのような人物は漏れなく聖人と呼べる人物なので、彼らを招けば国内は安定し君主の名声も上がります。
そしてそのような人物は物事の道理を理解しているので、むやみに他国に侵攻する国や国民に苦労を強いる君主のためには働きません。
天下泰平のために立つ君主が現れた時に始めて行動を起こし、その下で大きな功績を立てます。
結果として、そのような人物の名は歴史に刻まれます。
本当に才能がある人は自分の力の使い所を心得ているので、その時が来るまでは世に潜んで力を貯めているのです。

今回の講釈はここまでです。
それではまた、次回お会い致しましょう。

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