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三略講釈【上略-10】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
三略の講釈を進めていきましょう。

本文現代語訳

「将軍が必ず兵士と同じものを食べ、安全な場面も危険な場面も一緒に行動すれば、全軍一丸となって敵と戦うことができる。だから敵と戦って味方は全勝し、敵は全敗するのである。
 昔ある将軍が出陣する時に、差し入れとして酒を一樽届けた者が居た。将軍はこの酒を全部川に流して、兵士達とその水を飲んだ。当然、一樽の酒で川の水が酒の味になることはなかった。しかし、全軍の兵士がこの将軍の為に死んでもよいと思ったのは、酒を一緒に味わおうとしてくれた将軍の心意気に感激したからである」

解説

今回は難しい説明は必要なく、ただ一言「将軍と兵士は苦楽を共にする」で足りてしまいます。
苦楽を共にするとは、ただ同じ場所にいれば良いと言うものではありません。
一つ話が出ていますが、古の名将は自分と幹部達だけで飲めば十分な量だった一樽の酒をわざわざ川に流してその水を飲み、兵士達にも同じく川の水を飲むように勧めました。
正直これでは誰も酒の味を楽しむことはできません。
しかし、そうすることで上下関係なく皆が同じだと行動で示したのです。
それを見た兵士達は上下関係なく同じに扱ってくれる将軍の心意気に感激し、「この人のためなら死んでも構わない」と言う気持ちで必死に戦うようになったのです。
戦いの秘訣は上下の心を合わせることであり、そのためには苦楽を共にすることが重要であると言うのがこの節の要点となります。

今回の講釈はここまでです。
それではまた、次回お会い致しましょう。

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