三略講釈【上略-7】
皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回の内容は、前回の続きだと思って読み進めて下さい。
まだ前回の記事を読んでいない方は、先に前回の解説をご覧ください。
本文現代語訳
「金品を得ても独り占めしようなどと思ってはいけないし、一時的に敵地に駐屯しても長くは居座らず、敵の城の攻略が上手くいってもいつまでも攻め続けてはならない。もし敵が新しい君主を擁立したばかりなら、討ち取ろうと攻めてはならない。
この様な戦略を練るのは自分自身だが、実際に行動して手柄を立てるのは部下達である。自分が手柄を立てないからといって自分に利益が全く無いということではない。部下達は手柄を立ててもせいぜい地方を治める諸侯になるだけだが、自分は天下を手にする皇帝になるのである。そして城の守りやその領内の問題は、彼らに処理させるのである」
解説
前回の話にも城や土地も含めて戦利品があれば、部下に分け与えると言う話がありました。
これは単に褒賞と言う意味だけではありません。
実際に働き手柄を立てた部下達にその褒賞として金品や土地を与えても、それで自分の手元から全てが失われるわけではありません。
彼らの中で特に大きな手柄を立てた者でも、得られるのはせいぜい諸侯の地位ですが、自分はその諸侯を配下に従える皇帝になれます。
そう考えれば目先の金品や土地と言う利益を人に譲っても、最大の利益である皇帝の地位を得られるなら安いものです。
このように大きな目線、目の前の小さな利益に拘らずもっと大きな利益を得るための戦略的な考え方が大事だと説いています。
前回と合わせて前編・後編のような形になりましたが、読みづらくはなかったでしょうか?
兵法書では一節で話の区切りがつくこともあれば、数節に渡って一連の話になっていることも珍しいことではありません。
私が解説する時は理解しやすいように内容を小分けにしているので、時には一つの内容の話が二つや三つの記事に分かれることもあります。
話が小分けになって読みづらい時があるかもしれませんが、ご了承下さい。
今回の講釈はここまでです。
それではまた、次回お会い致しましょう。
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