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三略講釈【下略-1】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
ここからは下略編の講釈となります。
三略講釈も残りわずかですが、最後までお付き合いください。

本文現代語訳

「天下の危機を救うことが出来る者が、天下を治める資格を持つ。同じように、天下の不安を取り除くことが出来る者が、天下の楽しみを享受する資格を持つ。天下の災いを退けることが出来る者が、天下の幸福を受け取れるのである。
 そこで、君主の恩恵が民衆に行き渡れば、賢人が馳せ参じて来る。君主の恩恵が虫にまで行き渡れば、聖人が馳せ参じて来る。賢人が馳せ参じるほどであれば、その国は強大になる。聖人が馳せ参じて来るほどであれば、その国は天下を統一する。
 賢人を招くには、人徳がなければならない。聖人を招くには、道徳を身に付けなければならない。賢人が国を去ってしまえば、その国は衰退する。聖人が国を去ってしまえば、その国は混乱する。国の衰退は国家の危機の前兆であり、国内の混乱は国家滅亡の兆候なのである」

解説

君主の資格についてが主題となっています。
最初の部分は言い回しがくどいですが、要するに為すべきことを為せる者がその成果を得ることができるということです。
そのためにはどうすればよいのか?
恩恵を民衆だけではなく、国中に行き渡らせるようにする。
そうすれば賢人や聖人が力を貸してくれるようになり、国内は安定し天下を得ることも可能だと書かれています。
では、恩恵を国中に行き渡らせるためにはどうすればよいのか?
君主自身が人徳を積み、道徳を身に付けることであると述べられています。
確かに政治の知識や軍事の知識も君主には必要ですが、それらはその分野に長けた賢人や聖人に任せることができます。
ですので、それらの細々とした知識よりも、彼らに協力して貰える人物であることが君主に一番必要なことなのです。
その協力を得るために必要なものが、人徳と道徳であるということです。
賢人や聖人が逃げ出すような国の君主は人徳と道徳が無く、そのような君主が治めている国は常に破綻する危険と隣り合わせなのです。
彼らが愛想を尽かして逃げ出さないように、我が身を顧みることが君主には必要なのです。

今回の講釈はここまでとなります。
それではまた、次回お会い致しましょう。

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