三略講釈【上略-11】
皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回は前回の話と特に繋がりがある内容となります。
本文現代語訳
「軍讖の中に、『まだ井戸から水が出ていないのなら、将軍は喉が渇いたと言ってはならない。まだ天幕が張り終わらず休憩場所が出来ていないなら、将軍は疲れたと言ってはならない。まだ食事の用意が整っていないなら、将軍は腹が空いたと言ってはならない。冬でも外套は身に付けず、夏でも扇を使うようなことはせず、雨が降っていても傘をさしたりしない。これが将軍の弁えるべき礼儀である』と書かれている。これが安全でも危険でも一緒に行動すると言うことである。
そうすることで兵士達の心は一つにまとまり、離反することはないのである。また働いた後でも、疲れたなどと文句を言わなくなるのである。それは普段から将軍に恩を感じて、考えも将軍と一緒だからである。だから兵士達に恩恵を与えれば、一人でも一万人を討ち取る働きをすると言われるのである」
解説
前回、将軍と兵士は苦楽を共にするべし言う話をしました。
ここでは将軍だからと自分を贔屓せず、飲むのも食べるのも休むのも兵士と同じくするとことが、苦楽を共にすると言うことの実例だと説いています。
またこれは、兵士に対する礼儀であるとも言っています。
そうすれば将軍と兵士の心は一つになり、兵士も一騎当千の如く必死に将軍のために働いてくれるのです。
兵士達が将軍を信頼し心が一つになれば作戦の遂行は難しくなく、またいつも以上の力が発揮できます。
将軍の仕事とはそう言う状況を作ることであり、そのためには実際の行動で示すことが大事だと説いているのです。
兵士と苦楽を共にすると言うことを理解頂けたでしょうか?
今回の講釈はここまでとなります。
それではまた次回、お会い致しましょう。
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