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三略講釈【上略-9】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回も三略の講釈を進めていきます。
ここからしばらく、軍事寄りの記事が続いていきます。

本文現代語訳

「兵士を働かせるための要点は、礼儀を尽くして俸禄を高くすることである。礼儀を尽くせば智恵深い者が集まり、俸禄が高ければ義理高い者達は死を恐れなくなる。
 そこで、智恵深い者にに俸禄を支払う時は金を惜しむようなことはせず、功績を賞する時は後からではなくすぐ褒めるようにする。そうすれば兵士達は力を合わせて戦い、敵を打ち破るであろう。人材を働かせるための要点は、爵位を与えて厚遇し、金品を与えて裕福にしてやることである。そうすれば自然と人材は集まる。
 そして、接する時は礼儀を忘れず丁寧に接し、励ますときには大義を語って鼓舞するようにすれば、死を覚悟して働いてくれるようになる」

解説

この話は人の扱い方、人の働きに対する報酬と礼儀に関する話です。
報酬を高くして礼儀を尽くすことで、良い人材が集まりやすくなります。
ここで言う良い人材とは、智恵のある者や義理堅く恥を知る者をことを指します。
丁寧に接して耳を傾けるからこそ、智恵のある者はその策を預けます。
働きに見合った報酬を出すからこそ、義理堅い者は死んででも成果を出そうと働きます。

さらに、人より多く功績を挙げた者には別に褒賞を与えます。
この褒賞を与える際も後からではなく、可能な限り速やかに皆の前で功績をたたえて褒賞を与えます。
そうすることで、他の者も功績を挙げることが名誉なことだと考え、より良い働きをしようと言う気持ちになります。
こうすることで全体の士気を上げるのです。
人を使うのは難しいことですが、全力で働いて貰うためには礼を尽くし、十分な報酬を与え、めざましい功績を挙げた者はさらに厚遇する。
そうやってこちらが誠意を持って接することが肝要だと言う話です。

ここで一つ疑問が出て来ると思います。
こちらが先に礼を尽くして十分な報酬を与えても、まともに働こうとしないずる賢い者が集まってくるのではないかということです。
これについては別の部分でそういう者の見抜き方や、その排除の仕方が述べられていますので、その時に解説します。

今回の講釈はここまでとなります。
それではまた、次回お会い致しましょう。

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