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五事七計(後編)

皆さまこんばんは、弓削彼方です。
今回は五事七計の話の後編部分、七計の解説となります。

お時間に余裕がありましたら、動画の方も併せてご覧下さい。


それでは原文を見て行きましょう。

原文
「故にこれを校ぶるに計を以ってして其の情を索む。
 曰く、主は孰れか有道なる。将は孰れか有能なる。天地は孰れか得たる。法令は孰れか行われる。兵衆は孰れか強き。士卒は孰れか練いたる。賞罰は孰れか明らかなる。
 吾れ、此れを以って勝負を知る」

前回解説した五事を理解した上で、実際に比べる時には七つの項目に分けて比較し、そうやって実情を把握します。
七つの項目は次の通りです。
君主は敵と味方で、より人心を得ているのはどちらか?
将軍は敵と味方で、優秀な人材が揃っているのはどちらか?
天気や地形などは、敵と味方のどちらに有利に作用するか?
軍法は敵と味方で、どちらが厳しく適用されているか?
敵と味方で、実際に勝利を重ねて来たのはどちらの軍か?
兵士の訓練は、敵と味方でどちらがよく訓練されているか?
賞罰は敵と味方で、どちらが公明に行われているか?
以上の七つが七計となります。

この七つの項目で敵と味方のどちらが有利かを考え、四項目以上が有利であれば勝つ見込みが出てきます。
逆に三項目以下しか有利でなければ、負ける可能性が高くなります。
味方が優勢であれば勝つ見込みが高いので、そのまま戦争計画を進めます。
味方が不利であれば勝つ見込みが少ないので、戦争を回避するように動きます。
このように慎重に考えれば、実際に戦争を始める前に勝ち負けの見通しが付きますし、それに応じた方策を立てることもできます。

前回説明した五つの事柄である五事。
そして今回説明した七つの項目である七計。
この二つを合わせて五事七計と呼び、戦争前にこのことについて考えを巡らせれば、まず大きな間違いを起こすことはありません。
これが何よりも先に孫武が伝えたかったことであり、やみくもに戦争をして勝つことが兵法ではなく、戦争が起きても間違いなく勝てる状態を作ることが兵法の真髄であると示しているのです。

以上が五事七計の解説となります。
この五事七計が兵法の基本であり真髄ですので、皆さまにも深く理解して頂ければと思います。
今回の解説はここまでです。
それではまた、次回の講義でお会い致しましょう。

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