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三略講釈【上略-13】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回は少し長めの話になります。

本文現代語訳

「一軍を統率してその勢いを保つのが将軍の役目であり、敵を打ち破り勝利を得るのは兵士の役目である。だからこそ、乱暴な者を将軍にして一軍を任せてはいけないし、統率の取れていない兵士を敵と戦わせてはいけないのである。城を攻めたのに落とすことができず、村を包囲しても奪い取ることができない。どちらでも結果が出なければ、兵士は疲れるだけで士気が低下してしまう。兵士が疲れて士気が下がれば将軍は孤立してしまい、兵士達の心は将軍から離れてしまう。この状態で守ろうとしても守り切れず、戦っても負けて逃げ帰ることになる。この状態を老人のように衰えた老兵と言う。
 兵士が衰えてしまえば、将軍の威厳は保たれなくなる。将軍の威厳が保たれなければ、将兵は刑罰を軽く見るようになる。将兵が刑罰を軽く見るようになれば、軍から落伍する部隊が出てくる。落伍する部隊が出てくれば、次は兵士が個々に逃亡を始める。兵士が逃亡すれば、敵はその隙に乗じて攻めようとする。敵が隙に乗じて攻めてくれば、その軍が敗北するのは間違いないだろう」

解説

将軍の役目と統率・士気に関するのお話です。
将軍の役目の中に軍隊を統率し、士気を保つことがあります。
ですので、思慮が足りず兵士をしっかりと治められない者を将軍にしてはならないのです。
またこのような者が率いる軍隊は統率が取れているはずがなく、そんな状態の軍隊が敵と戦っても勝てる道理がないので戦わせてはいけません。
無理に戦わせて城を落とせず村も奪えないとなれば、兵士は疲れるだけで何の成果も挙げられず士気も低下します。
そして何も成果が出ないままでは、兵士達の心は将軍から離れてしまい、将軍は軍内で孤立してしまいます。
このような状態になれば敵軍と戦っても勝つことは叶わず、軍隊はくたびれてしまいます。
このような状態を本文では老兵と呼んでいます。
一度このような状態になってしまうと、なし崩し的に軍隊の規律が崩壊して行き、兵士達も逃げ出してまともに敵と戦えない状態になります。
当然、敵はこの隙を突いて攻めてくるので、敗北するのは間違いないと言うことになります。

この話は、このようであってはならないと言う戒めになっています。
悪い例を見習わないよう、常に気を引き締めなければなりません。

今回のお話はここまでとなります。
それではまた、次回お会い致しましょう。

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