![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/168335261/rectangle_large_type_2_aa353391a8691aaa9bd87667297e70e3.jpeg?width=1200)
尉繚子講釈【講釈-4】
皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回もしっかり学んでいきましょう。
本文現代語訳
「戦上手と言われる者は、地の底に隠れているかのように密かに行動し、空の上にいるかのように気付かれないように行動し、何もない所から急に現れたように行動する。そこでいざ開戦となっても、大部隊で行動して目立つことが無く、小部隊でも負けて帰ることはない。
法令を明確にして周知させ、民衆の中に困っている者が居れば親身になって助け、未開発の土地があれば人に任じて開墾させる。国土が広くて開墾を進めれば、自然と国は豊かになり、人口が多くても制度が整っていれば、自然と国は治まっていく。国が富んでいて政治も治まっていれば、あえて武器を抜かず、あえて鎧を身に付けなくても、その武威を示すことで天下を制することができる。それ故に、戦争は政治によって勝つと言われるのである。
武力を使わずに勝つのは、君主の勝ち方である。武力によって勝つのは、将軍の勝ち方である」
解説
前段と後段で違う話をしているように見えますが、そういうわけではありません。
前段では戦いに巧みな将軍が指揮をすれば敵に悟れずに行動でき、大部隊でも敵の不意を突き、小部隊では粘り強く戦って一方的に負けることはないと述べられています。
これが優秀な将軍の戦い方です。
それに対して優秀な君主は、法令を整え、民衆の困り事を解決し、土地の開発を進めて国力の増強に努めます。
物資は豊富で人口も多く、誰もが君主の命令に従うような国であれば、軍隊も強くなるので、そんな国とわざわざ戦おうとする国は出てきません。
これを以って戦わずとも勝つことができる。
政治によって戦争に勝つと言っているのです。
このように政治の力で勝つのが君主であり、戦いの巧みさで勝つのが将軍であるので、この両者が居ればその国は安泰であるということです。
今回はここまでとなります。
それではまた、次回お会い致しましょう。
次の記事