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三略講釈【上略-23】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
三略の解説を進めていきます。

本文現代語訳

「軍讖には、『口だけは上手い無能な家臣が高い地位に居れば、全軍が不満を訴えるようになる。そのような者は、君主の威光を借りて勝手な振る舞いをするくせに、実際には兵士と一緒に行動をしない。戦場でも進むわけでも退くわけでもなく、一時しのぎの策でごまかそうとする。そのくせに自己評価だけは高く、小さな手柄を一つ立てれば大手柄を立てたかのように誇る。立派な人物を誹謗中傷し、凡庸な人物を引き立てる。善悪の区別が無く、とにかく皆が自分と同調するようにし、仕事を滞らせて、命令の伝達すらしないのである。その一方で罰則を厳しくして、今までのやり方を無理に変えようとする。君主がこのような佞臣を登用すれば、必ずその禍は君主の身にも及ぶであろう』と書かれている」

解説

本文を読んで分かる通り、典型的な何の役にも立たないのに口の上手さだけで地位を得た人物についてです。
口が上手いので目上の者に対しては丁寧にもっともらしいことを言うのですが、自分では何も出来ないくせに威張り散らし、大した智恵があるわけでもないのにプライドだけが高い。
優れた人物を妬んで足を引っ張り、自分の考えと同じものだけ引き立てて仲間を増やそうとする。
自分のことは棚に上げて他人のミスに厳しく、新しく罰則を作っては自分の思い通りのやり方に変えようとする。
このような人物を佞臣と呼び、心が歪んだ邪な者が君主の近くにいれば、その君主自身も身を滅ぼします

すでに周りに悪影響を与える者についてお話ししましたが、今回解説した佞臣は下手に高い地位にいるので影響を与える範囲は広く、その害悪は計り知れません。
遠い地にいる役人などに関しては君主の目が届かないこともあるでしょうが、身近にいる者についてはその地位に相応しい者かどうかを常に見極める必要があります。

今回の講釈はここまでです。
それではまた、次回お会い致しましょう。

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