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三略講釈【上略-18】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回は少し長めの内容ですが、早速講釈を進めていきましょう。

本文現代語訳

「軍讖には、『将軍の戦争計画は機密事項として、外部に漏れないようにしなければならない。将兵の心は一つにまとまるようにしなければならない。敵を攻めるときには、疾風のように素早く行動しなければならない』と書かれている。
 将軍の計画が外部に漏れなければ、その情報を手土産にして敵に寝返ろうとする者は居なくなる。将兵の心が一つにまとまっていれば、全軍の団結力はより強くなる。敵を攻めるときに素早く動ければ、敵に備えをする余裕すらも与えずに戦える。この三つのことに気を付ければ、戦いは計画通りに進むであろう。
 もし将軍の計画が外部に漏れてしまうと、軍の勢いは削がれてしまう。敵が味方の内情を知るようになれば、敵の間者による災いを防ぐことができなくなる。さらに敵が金で買収を仕掛けて来れば、味方の中に裏切り者が出るようになるだろう。将軍がこの三つのことを防げなければ、味方は必ず敗北するであろう。
 将軍の考えが浅ければ、智謀に優れた者は去ってしまう。将軍に勇気が無ければ、兵士も恐怖にかられてしまう。将軍が軽率な行動をすれば、将軍の威厳は失われてしまう。将軍が感情のままに怒りを表せば、全軍が委縮してしまう。
 軍讖には『思慮や勇気は将軍にとって重要な素質である。行動と怒りはよく考えてから行うことである』と書かれている。この四つのことについて、将軍は慎重に考えなければならない」


解説

前半の要点は、機密の保持将兵の意志の統一行動速度です。
この三項目について気を配った時に作戦は成功し、怠った時にはどれほどの不利益が出るかについて細かく書かれています。
特に機密の保持は重要で、もし漏れてしまえば単に敵に作戦がばれてしまうだけにとどまらず、味方であってもそれを知る必要があるメンバー以外に知られてしまうと、さらなる情報の流出や裏切りに発展する可能性があるので気を付けなければなりません。
後半では思慮深さと勇気の必要性、そして軽率な行動や不用意に怒りを露わにすることを戒めています。
思慮深さ勇気は将軍として必要な資質あり、感情を抑え慎重に行動することは常に気を付けるべきことです。

この後しばらくの間は、軍讖からの引用を解説する内容が続きます。
今回の講釈はここまでとなります。
それではまた、次回お会い致しましょう。


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