三略講釈【上略-6】
皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回は軍事に関する具体的な内容です。
戦術よりも戦略寄りの話になっています。
本文現代語訳
「守りやすい土地を占領したらそこで守りを固め、通りにくい険阻な道があれば封鎖して通れなくし、難攻不落な要所を占領したらそこに駐屯する。
敵の城を落としたら将軍に褒美として与え、敵から土地を奪い取ったら家臣達に褒美として与え、金品を得たら兵士達に褒美として分け与えてやる。
敵に動きが見られたら偵察を出して確認し、敵が近づいて来たら守りを固め、敵があまりにも強大なら一時的に従い、敵の勢いが強ければまともに戦わず交わし、敵の士気が高いなら衰えるまで待ち、敵が乱暴であれば自滅するまで待ち、敵に戦いの大義が無ければ正義を訴え、敵の結束が強いなら仲違いをさせる。
誰もが納得する大義を掲げて敵をひるませ、勢いに乗って敵を打ち破り、偽の情報で敵を混乱させ、四方に網を張るように罠を用意して敵を一網打尽にする」
解説
戦いの基本として、守りやすい場所や要所となる場所を確保したら必ず兵を置くと言う基本が述べられています。
そして城や要所は家臣に与え、もし金品を得れば兵士達に分け与え、そうやって士気を高め功労に報います。
そうすることで将軍や兵士達は、次も頑張ろうと言う気持ちになるのです。
次の部分では敵の動きに応じて、味方をどのように動かすべきかが述べられています。
これらは孫子にも同じようなことが書かれているので、共通した基本的な考え方と見ることができます。
「敵に戦いの大義が無ければ正義を訴え」とは、要するに敵の士気を下げると言うことです。
敵の兵士も好きで戦争をやっているわけではありませんので、自分達に大義(戦う正当な理由)が無いと知れば士気が衰えます。
これはやり方の一例を挙げただけで、様々な手段を用いて敵の戦力や勢いを削ぐと言うことです。
このように策を練り罠を用い、もし敵が隙を見せればそれを逃さず一気に勝負を決めると言うのが大事な部分です。
この一節は長文ですので、ここで一区切りとして記事を締めます。
ですので、次回の記事と合わせて本来の一節の内容となります。
それではまた、次回お会い致しましょう。
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