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三略講釈【上略-15】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
三略の講釈を進めていきます。

本文現代語訳

「軍讖には、『賢者が進む所に、その行く手を遮る敵は居ない』と書かれている。それ故に、君主であっても将軍に任じた賢者に対しては、驕ることなく謙虚に接しなければならない。将軍が仕事に専念できるようにして、不安な気持ちにさせてはならない。将軍が立てた作戦は慎重に検討はするが、その成功を疑ってはいけない。
 もし君主が将軍に驕った態度で接すれば、部下達も将軍に従わなくなる。そんな状態で将軍が不安な気持ちになれば、将軍は内外の信頼を失ってしまう。また将軍が立てた作戦自体を疑うようなことがあれば、敵国の勢いが上がる。この状態で敵を攻めたとしても、味方は混乱するだけだろう。
 そもそも将軍とは、国家の命運を左右する立場にある。将軍がよく勝利を収めるからこそ、国家が安定するのである」


解説

将軍として賢人を招き一軍を預けたならば、君主と言えども上から目線で命令を出すのではなく、将軍のことを敬って接しなければいけません
もし君主が将軍のことを敬まわずに軽く扱えば、それを見た将校や兵士も将軍のことを軽く見て命令に従わなくなり、軍隊の統率が取れなくなります。
また戦争に勝利するための作戦ですが、将軍は戦争が始まる前に作戦を立てます。
その作戦内容についてはどこかに不備や見落としがないかを慎重に検討しなければなりませんが、その検討が済んだ後に作戦自体を疑ったり将軍が作戦通りに進めて成功させる能力があるのかを疑ってはいけません
そのようなことがあれば将軍は不安を抱き、また将軍が信頼されていないとなれば、敵国はその隙を突こうと勢い付くことになります。
将軍が戦争で勝利を得られるかどうかで国の運命が決まるからこそ、将軍が余計なことで憂いを抱かぬようにし、戦争で勝利することに全力を注げるようにする必要があります。
将軍に任じた者を敬い、その職務に集中できるようにすることが重要だと言うことです。

今回の講釈はここまでとなります。
それではまた、次回お会い致しましょう。

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