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181: 幸せを運ぶ青い鳥の小道色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋のお話。

つぃーと青い鳥が窓をかすめて飛んでいる。

ピーニャのカーテン越しに見える
小鳥の残す青い線は,見た人の頬をゆるませる。

色屋もまた,頬を緩ませたところだった。
カランコロン。
店の扉につけてある鐘が鳴った。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは。…今日は,このお洋服の
色が薄くなっちゃったところを直したくて
とん…通りかかったら,
色々な色が入っている瓶が見えたから
入ってみました。」
「ありがとうございます」
「あの,これと同じ青い色の瓶はありますか?」
「青は沢山あるので一緒に探してみませんか?
あなたがこれだと思う色が,2人だと早く
見つかりやすいと思いますよ?」
「は,はい…」

私の後ろに,トコトコと
可愛らしい女性がついてくる。
高い場所にある瓶をピョコピョコと
飛び上がって見る様は,成人されている
女性に対して使うのは失礼かもしれませんが,,
大変に可愛らしい。

ゆっくりと店内をみて回る。

ひときわ明るい,
とてもいいお天気に楽しいことがあり,
ふと見上げた時に目に飛び込んでくる
真っ青な青の瓶のそばにきた時,
「あッ!」
女性は思わずといったように声を出した。
瓶の青色も喜んで呼応するかのように輝いた。

「コレ!私が初めて上手に飛べた時の空の色!」
あわわ…じゃなくて!お使いで外に行った時の
青空の色と同じ!」
「この色ですか?」
「そうですそうです!忘れられないお空の色!」

もはやピョコピョコでは表せないほどに
ピョンピョンと嬉しそうに顔を輝かせ
飛び跳ねる彼女。 嬉しさのあまりか,
そのうちクルクルと店内を回り出した。
袖がふわりと広がり,美しい青が広がる。

「コレでもう一度
素敵な気分で飛ぶことができるわ!
色屋さんを見つけて本当によかった!」
そう言いながら,くるりと回った後,
色が薄くなってしまっている肩の付け根に
トントンと色を落としていく。
見る間に美しく馴染む青。

「ほら見て!コレが私の本当の姿!」

さっと風が吹き抜け,カラコロカラコロと
扉の鐘が激しくなり,気がつくと店には
色屋だけが立っていた。

「……こんな日もありますよね…」
と呟いた色屋の手には小さな金の粒。

窓の外には,
幸せそうな小鳥が,さぁーっと青い道を作って
通り抜けていきました。

不思議な体験,色屋さんもしてしまったようです。

あなたも青い小鳥が作る小道を見つけて
色屋まで辿り着いてくださいね。
お待ちしております。

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