初めてのアメリカ大陸なのに、4000キロ車で走った話
もう2年半前のことなので忘れてしまう前に記しておこう、突然アメリカを車で走り抜けることになった旅の記憶。
(ここに書くにあたって気負ってしまったけれど、仕事であるアートセラピーやイラストレーションのお話も交えながら自分らしく書いていこうと思う。初稿から少し書き加えている。)
きっかけはスタンド・バイ・ミーとアートセラピー
イラストレーターでもありながら、アートセラピストの活動もしている。
世界中の聖地と言われる土地の、人々がそこで培ったと言われる叡智に触れてみたい、いつか巡ってみたい。そんなことを考えているうちに夫婦でまとまった時間が取れてしまった。海外旅行なんてほとんどしたことのない2人だがせっかくの機会、話を聞くだけでも行ってみようと代理店に訪れたのが2017年2月末。青山のおしゃれなシェアオフィス。もうそれだけで緊張していた。
代理店に着いても行き先は定まらない、ハワイ、イギリス、オーストラリア…その中でも最も気にかかっていたのは北米のシャスタとセドナだった。代理店の方がシャスタの写真集を開く。わたしは写真を見てすぐさまこんなことを口にした。
「スタンド・バイ・ミーみたいですね…」
小さな声で呟いたその声を代理店の方は聞き逃さないでいてくれた。
「はい、ロケ地ですから」
えーーー!!!
心の底から驚いた、だってスタンド・バイ・ミーはわたしの一番大切な映画でもありロケ地は30年前から訪れてみたいと願っていて、そこがシャスタだなんてその日まで知らなかったのだから。
正確にはシャスタ周辺の滝や町が一部のシーンに使われて全編シャスタロケではないのだが、代理店での思わぬ巡り会いによりもう、そこを目的地としない選択の余地はなくなった。旅の行き先は決まってしまった。
車でいいかもね…
地図を開きロケ地をチェックする、なるほど物語の中のキャッスル・ロックはブラウンズビルというオレゴン州の小さな町のようだ。
じゃオレゴン州から入るしかないでしょ、シャスタのロケ地巡るには車じゃないとね、ついでにせっかくアメリカ大陸に入るのだから、セドナまで行っちゃおう、でもせっかくレンタカー借りるし、飛行場に行って何度も手続きするのがいやだからずっと乗って行っちゃうか…じゃあ一台で借りっぱなしで。という謎のテンションで狂気の4000キロの移動を決めてしまった。英語も喋れないし日本でもそんなに車で移動したことないのに…ばかなのかな。
渡航先はポートランドに決まった。代理店では往復のチケット、レンタカーの手配、さすがにセドナからポートランドは飛行機にしたいのでフェニックスからポートランドまでの飛行機も取ってもらった。シャスタの宿も取ってもらったんだった。ほぼ代理店頼りだ。その時点では海外にはとんと不慣れだった。次の年全部自分で手配するイギリス周遊をするとは思いもしないのだけどそれはまた別の話…。
代理店の手配は決して高くはなく良心的だった。ちなみにそこはシャスタ、セドナなどの専門の代理店です。だけど日和ってなぜかシャスタの宿以外は自分たちで手配。
初めて行く土地でどこに何があるかわからないのにオプションツアーも申し込まず宿の多くも自分たちで手配するなど、初めての割には勘を頼っていた。そんな謎の信頼は間違い…なんてことは全くなく、結果素晴らしい体験とコースが待っていた。
それはこの旅を決められたきっかけの後押しのようでもあったんだろう。12歳の頃いつか訪れたいと願いすっかり忘れ、それなのに声をかけられたように、今の職業とタイミングを持ってして思いも寄らぬ出会いはやってきてくれた。
好きなところに決めてしまってごめんねと旦那さんを見ると、どこでもいいと笑っていた。何もかも機は熟した。
さあ、待ちに待ったスタンド・バイ・ミーロケ地へ!シャスタへ!
その前にポートランドからシャスタまでってどれくらいかかるのかな…グーグルマップで時間計算し、土地土地の宿のことも考えなくてはならない。本当に安全に行けるのか。なんだろうこの楽観。