映画「シェフ」の美人妻はマイアミのキューバ人
「シェフ」って映画はサクセスストーリーとしてかんでも気持ちいい気分にしてくれる。
一流シェフの主人公はオーナーと意見が合わず、自分なりの料理をサーブできない。そのこころを見透かされるように料理評論家にツイッターで酷評されます。評価の逆転を狙った料理もオーナーに潰され店を辞める。
そこで頼ったのが元妻。スーパー美人の在米キューバ人です。妻の元カレからおんぼろトラックを譲り受け、キューバンサンドの移動販売を思いつく。今度は人の指図は受けないよ。自分の腕で成功してみせる。
これはキューバで食べたサンドですがちょっと違うかな。うまいけど。
スタート地点はマイアミです。ここは在米キューバ人の街。リトル・ハバナもありますよ。スペイン語が話され、キューバレストランではキューバ音楽が奏でられる。まるっきりハバナですよ。ちなみに「アメリカのヒスパニックラティーノ社会を知るための55章」によるとマイアミはラテンアメリカの首都と言われているそうです。そこでスーパー美人の元奥さんは育った。
在米キューバ人ってのは特別な存在です。カストロ革命で金持ちはキューバを去った。その後共産主義の拡大を恐れたアメリカ政府はキューバ移民に特権待遇をして生活を支えてきました。ここんとこはしいたげられてる他のヒスパニック移民とまったく違います。
アメリカのいいところは移民であってもチャンスをつかんだ成功者は評価される。今やってる大統領選挙だってルービオもクルーズもキューバ移民も子ですよ。しかも保守派に支持されてる。ついでにジェフ・ブッシュだってフロリダ知事ですから在米キューバ人がバックですね。
在米キューバ人団体ってのは既得権益守るための強大な圧力団体になってるそうで共和党はそれに頼ってます。まさか白人シェフがキューバ移民の奥さんに頼るのもそれを揶揄してたりして。
在米キューバ権益って言っても国交回復しちゃえば雲散霧消しちゃうはずですから必死です。オバマの国交回復政策を批判するルービオの映像を見たことありますがカストロキューバを悪魔の専制国家呼ばわりしてました。こういうのがウケるんですかね、アメリカでは。
閑話休題
映画でシェフはマイアミをスタートしてツイッターやらVineやらで集客しながら人気を集め西部開拓さながらに一度破れたロスに向かいます。アメリカでは個人の実力でお金がなくたって成功できるってのを体現してる。しかも今はスマホもあるしSNSも強い味方。組織がなくたって市民の支持が得られれば成功できる。そんな良きアメリカを見せてくれるいい映画でした。
でもそんな成功を今勝ち取ろうとしてるのが大統領候補トランプってのが皮肉ですね。ネットとメディア利用して組織がバックが弱くても快進撃。民主主義社会でのポピュリズムの悪い見本のよう。大金持ちのトランプがプアホワイトを煽って壁を作ってプロミスランドをもう一度なんて。こんな諸刃のリスクもあることを認識しつつも雑多なぶつかり合いが刺激的な国ですね。アメリカ。