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総合商社で「数字を読み、考える」”勝つ会社”を知ったからこそ、気がついた俯瞰する大切さ

こんにちは。テラドローン執行役員の植野佑紀(@YukiUeno19)です。
テラドローンに入り約6年間が経ちますが、これまでにインドやヨーロッパを渡り歩いてきました。

その間、6ヵ国で7社以上の出資、買収、PMI(事業統合)、売却を行ったり、リストラやコスト削減による企業再生、さまざまな産業での事業開発、そしてコロナ禍での経営や資金調達関連業務などを手がけてきました。

私にとって、これまでの経験は前職や大学時代からの学びが、今の仕事に直結しています。

今回は「キャリアの流儀」というテーマでお話ししますので、私が前職でどのように学び、どのような意識を持って仕事に取り組むようになったのか、そして大企業とスタートアップを俯瞰的に観察する重要性についてお話したいと思います。


簡単な自己紹介

テラドローンに入る前は、伊藤忠商事で働いていました。約1年半と短い期間でしたが、数十人で年間100億円以上の純利益を出す部署で、財務(単体・連結の決算や予実管理)、国内外の子会社や投資先の経営管理、クラウドファンディング事業の立ち上げやEC管理、版権の管理や債権回収など、幅広い業務に関わりました。

いま思えば、社会人1年目から非常に面白い仕事をやらせてもらうことができ、恵まれたポジションにいたと感じています。

1年半で学んだ「勝つ会社」の文化

伊藤忠商事は商社の中でも特に若手のうちに数字を意識する業務を行う文化があると思います。かつて経営が苦しかった時期があり、そこから復活を果たし、私が入社する直前には純利益ベースで業界1位になると同時にアジアでも大勝負を仕掛けるなど、ドラスティックな変化を遂げた会社でもありました。

そんな環境で身についたのは、数字を読み、考える力です。

これは最初に財務関連の業務に携わり日々の事業や投資によって作られる全体の数字に触れる機会をいただいたことが大きく影響しています。
数字、結果を大切にするマインドはいまも活かされています。

もう1つが大企業としての組織の仕組みです。

例えば、一定期間以上赤字が続いている会社は売却対象となる、撤退する事業会社のエグジット基準を始めとした、事業投資や資産管理に関する様々な判定基準が細かく設定されていました。他にもコスト管理の徹底等は伊藤忠商事の特徴でした。

そんな「勝つ会社の文化」を学べたのが、今でも役に立っています。

大学時代の挫折を機に抱いた執念

ここからは私の大学時代についてお話いたします。大学時代はテニス部でプレーする傍ら、主務として部の運営、それに伴う予算の管理、高校生のスカウトなどを担当していました。そんなチームには「日本一になる!」という明確な目標がありました。ただ、ライバルチームの連覇を食い止められず準優勝で終わってしまい、「自分に不足しているものは何か」と考えるようになります。

そこで思い至ったのが、結果への執念でした。

もともと私は、情に訴える、ロジックよりもパッションを重視するタイプでした。ただ、数字へのコミットが強い環境や組織に身を置かないと自分自身を変えられないと思い、商社、そして中でも伊藤忠商事に入社したいと考えるようになります。

商社を選んだ理由はもう1つあります。

大学時代は国内2番目の規模を誇るテニスの国際大会の運営にも携わり、スポンサー集めや、ネット配信、グッズ販売、予選大会の開催などで収益を上げて大会として初めて黒字化する経験もしました。その際、足りない経験や能力を補うために色んな書籍を読み漁っていました。

インプットを重ねる内に、次第にテクノロジーで世界を前進させている、スタートアップに興味を持つようになります。大学入学時までは外交や諜報に強い興味を持っておりましたが、世界を変えるにはビジネスだ、と考えるようになりました。世界で勝てるスタートアップを作りたい、という想いが強くなる一方で、まずは「ビジネスのイロハを学びたい」と思い、結果的に希望していた商社、伊藤忠商事に入社させていただけることになりました。

将来の夢に向けて選んだスタートアップへの道

では、なぜ伊藤忠商事を1年半で辞めてしまったのか。それは「ビジネスのイロハを学びたい」との想いに対し、ギャップがあったからです。

大前提として、若くて何もできない立場でも仕事を与え、教えていただいた会社や当時の上司には今でも深く感謝しています。だた、大企業は当然多くの社員がいるので、働く上での大義やモチベーションはそれぞれ異なります。

私はオーストラリア生まれだったこともあり、なんとか仕事で英語を使えればとも思っていましたが、なかなか活かす機会もありませんでした。キャリアとしても、出向や海外研修、駐在等を経験して若手から中堅になるには、人にもよりますが5〜10年ほどかかります。

そんな中で、学生時代に描いていた世界で勝てるスタートアップを作る目標から遠ざかる危機感を抱くようになりました。自分の性格としてもその時の環境に左右されてしまうタイプなので、「これはヤバイ」とも感じて転職を決意します。

スタートアップに身を投じて感じたこと

一方でテラドローンに入って約6年が経ったいまだからこそ見えてくるものがあります。

それは大企業とスタートアップを比較する視座です。

最近では新卒からスタートアップで経験を積む人も多くなっています。ただ、スタートアップでは、扱う数字の規模、売上利益、社員数、歴史など、大企業と比べると全てにおいて違いがありますよね。一定規模の会社で経験を積み、事業モデル、システム、オペレーションや文化などを知ることで、スタートアップの環境に身を置いた時にも自社の長所や短所、置かれたステージや成長性など、俯瞰して判断できるようになると思っています。

スタートアップは資金調達やメディアでの取り上げられ方によって、実力以上の評価を受けてちやほやされることがあります。

正直、十分な時間を大企業で過ごしたわけではないですが、「どういった仕組みが成熟した会社にあるか」「組織を動かす上でどういった無駄を省けるのか」など、大企業とスタートアップの両方を知って視座を高く保つよう意識できたことが今でも財産となっています。

また商社などの大企業とスタートアップでは、取れる戦略や市場へのアプローチ、使えるアセットなども異なります。一方で、今後数十年で飛躍的に成長していく分野で、新産業を創出するにあたって、不確実性が極めて高い中で、リスクを取りながら社会課題の解決を進めていけるのはスタートアップの醍醐味です。

創業初期から、国内・国外問わず、各産業の安全性と効率性の向上に貢献するドローン業界をリードするべく、リスクを取りながら、いくつもの事業に取り組んできました。テラドローンでは、挑戦を奨励する文化があり、一人ひとりの裁量が大きいため成長できるのが魅力だと思います。成長を求めている人にとっては、会社や事業とともに自分を成長させるチャンスがたくさん転がっています。私自身も、修羅場経験や事業機会を通して、成功と失敗を重ねる中で、様々な能力を培うことができました。

特に買収/PMIを始めとした会社の転換点を担う業務は、社員や株主など含めた全てのステークホルダーに影響があり責任を伴います。経済状況やドローン・空飛ぶクルマ市場の変化、各産業・事業・技術の仕組みや成長性、起業家・経営者・投資家の人となりなど、理解を深め状況を把握しながら、意思決定と実行を推進していくプロセスは、多くの学びがありました。

伊藤忠商事を離れる際、激励の意味で「成功するまで連絡するな!」とあえて突き放すメッセージを送ってくださった先輩もいました。その時のメッセージを見返して「やらなければならない」と改めて決意することがあります。

テラドローンに入り、強烈なアンラーニングによってそれまでの仕事のやり方や求められることが180度変わりました。ただ、そこに至るまでのプロセスがなければ、いまの私のキャリアが気づかれることはなかったと改めて感じています。そして、今後の目指すキャリアも考えています。

今大企業で働いている方、ぜひスタートアップでご自身の能力を発揮してみませんか。スタートアップにおいて大企業の経験はとても役立ちます。私自身がとてもそれを実感していますので、もしご興味ある方はぜひCasual Talkにお申し込みください。

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