ゲーミングチェアについて思う事
ぼくがあの形状のゲーミングチェアを始めて見たのは、まだeスポーツなんて言葉も生まれてない頃、とある日本一と謳われたFPSゲームの公式大会がニコニコ生放送で生配信された時だった。
はじめは、「すげー!スポーツカーみたい!」とカッコよさに目は奪われたものの、その紹介に「ゲーミングチェア」という冠がついた時には、「いやゲーミングってw」と苦笑したのを覚えている。
一番初めにスポーツカーのレカロシートでデスクチェアを作って「ゲーミングチェアです!」と言い張った人は、椅子業界にとっては、カジュアルに
若者に5万円前後の椅子を買う文化を根付かせたという点ではバレンタイン=チョコを定着させた人並の偉人になりえる成果なんだと思うけど、
初見で違和感を感じた身としては「ゲーミング!?」「だいじょうぶ?あの形状で合ってる?」と今でも思う。
スポーツカーは分かるよ、前後左右のGに耐えながら背中を貼り付けて座るんだからあの包み込む形状は理に適ってる。
一方、eスポーツの大会見てみ、プロゲーマー達は並んだゲーミングチェアにこれみよがしに腰掛けてプレイしてるけれども、みんなプレイ中に背中なんか付けていない。
ゲームのラウンドとラウンドの間の待機時間、やっと背中が付く。
あの仰々しいレカロシートの背もたれが使われる目的が、「ちょっと一息付くため」でしかない。
楽に座りたいだけなら、椅子メーカーが長年培って開発された本当に休まる椅子なんていくらでもある。
それこそ5万円前後も出したら、高級モデルとまではいかなくとも専門メーカーが座り心地を追求した良質なデスクチェアを選べるというのに、すごい勿体ない気がする。
ゲーミングチェアという、無かったはずの市場を生み出した功績はきっとすごいと思うんだけども、椅子を求める若い層がこぞってレカロシートのゲーミングチェアに群がる今の現状を、椅子職人の方はきっと苦々しく思っているんだろうなーと思って書き殴った雑感日記でした。