中国茶1000人チャレンジ4〜5人目
中国茶お茶淹れ1000人チャレンジの経過報告です。
▼チャレンジ宣言はこちら
▲ 1〜3人目のレポも上の記事内に書いています
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お茶淹れ1000人チャレンジ。
4人目と5人目のお客さまは私の父と母。
香港から日本へ、1年ぶりの帰国。
私たちの隔離が明けてすぐに家へ
遊びに来てくれた。
香港にいる間も何度かビデオ通話して顔は見ていたからか、久しぶりに会う両親は変わらず。ずっと会っていなかった実感がないくらい、違和感なくすっと馴染んだ。
1年前はじいじの顔を見てギャン泣きしていた娘も、今回は泣くこともなくすぐに馴染んだ。
おみやげのプラレールをリビングに広げて、レールの上をくるくる回るトーマスを見てケタケタ笑う娘を囲んで、大人たちはソファーで談笑。
お互いの近況。娘の様子。
香港での生活。日本の生活。
途切れることなく続く会話。なごやかな時間。
……あれ、お茶なくても場は完成してるじゃん。。。
このままおしゃべりして、娘と遊んで、夕方解散、
で全然問題ない。違和感ない。
(みんなでお茶飲む時間をどのタイミングで差し込めばいいんだろうか…)
前にも何度かあった。
身近な人にお茶を振る舞いたくて
茶葉と茶器を準備していたけど、
出せずに終わった。
その場の雰囲気に流されて言い出せなかった。
「実はお茶を用意しているのですが
よかったら飲んでいただけますか?」
会話の流れをぶった切って
その一言を切り出す勇気がなかった。
さりげなくお茶を淹れる。
それが私の目指すお茶の一つの形。
リラックスしてお茶を味わうにはこのさりげなさが何気に重要だと思ってる。でもそのさりげなさの演出はいざやろうとするとなかなかむずかしい。
むずかしいと思いながら、トライしてこなかった。
「お茶を飲みませんか」というその誘いの一言から逃げていた。
逃げて、茶会やイベントの中に閉じこもって、
お茶が飲みたくてきてくれる人にしかお茶を淹れてこなかった。
いや、私は変わるんだ!
自分から声かけるんだ!
まずは私の両親に!
練習するぞ!
絶対断られないって分かってても、
その一言を切り出すタイミングは
だいぶじっくり伺ってしまった。
ぐるぐる回るプラレールに
夢中になって笑い続ける娘。
もらい笑いしながら見守る大人たち。
穏やかで、幸せな時間。
もう十分に成り立ってる。
このまま夕方になるまで娘と一緒に
遊びながら過ごすこともできる。
「お父さんもお母さんも楽しそうだし、まぁお茶はまた今度でいっか」って思ったりもした。いやいやダメだ。ちゃんと言わなきゃ。
そして。
なんとなく一瞬、ふっと静かになる瞬間があった。
今だ!
「あの、よかったらちょっとお茶飲まない?」
「お、いいね〜」と母。
父もソファーからすぐに立ち上がって
ダイニングテーブルの方に来てくれた。
思っていた以上に早い。スムーズ。
ものすごく自然な流れ。
ぶった切った感ゼロだった。
待ってましたと言わんばかりに。
あぁ、待っててくれてたのかも。
待っててくれてたんだろうな。
うじうじしてる私の言葉を。
だってテーブルの上に茶器は出してあったから。
これいつ使うんだろう?って思ってたよね絶対。
もっとシャキッとしなきゃなぁ。
自信持って、サクッと誘えるようになろう。
私と夫、父と母。
大人が4人茶器を囲んで座り、
娘はばあばの膝の上に乗っかった。
なんとなく会話を続けながら、私は茶器にお湯を注いで温めて1煎目を淹れる準備をしていた。その間に父と母に茶葉を見せる。
「福建北部の烏龍茶、いつも飲んでるのよりもちょっといいやつだよ」
閩北水仙(びんほくすいせん)。
福建省の閩北というエリアで作られている水仙という品種の烏龍茶の総称。
このお茶は、夫の工場でも作っている。
結婚して間もない頃にお土産として父と母にあげたのを気に入って、もう何年もずっと飲んでくれている。毎日食後に飲んでいるんだとか。実家へ遊びに行くと母が淹れて私たちにふるまってくれるお茶。
今日淹れる閩北水仙は、
その普段飲みグレードよりもちょっと高級品。
ハレの日のお茶。
ゆっくり、深く、味わってもらいたいから、
ゆっくり、丁寧に淹れた。ツヤが出るように。
「はぁ〜、おいしいねぇ」と母。
「丁寧に淹れてもらうとやっぱり違うね」
「まぁ、茶葉が違うんだけどね(笑)」
なんて言ったりして。
一方の父は、お茶に対するコメントも特になく。
でも何も言わず、何杯も飲んでくれた。
お茶請けには香港のフォートナム&メイソンで買ってきたクッキーの詰め合わせを出して。
そして相変わらず和やかに会話は続いた。
さっきまでと同じように。
でも、
まちがいなく、
ガラッとムードが変わった。
プラレールを回していたさっきまでは
子供が主役の時間。
お茶を囲むと
大人が主役の時間になった。
時間の流れ方がちょっと変わったような気もする。
よりゆるやかに、そしておだやかに。
うん。これだ。
やっぱりお茶はいい。
家族で過ごすなにげない時間に
幸福感をちょっぴり足してくれる。
お茶はいいぞ。
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