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【華茶だよりvol.20】お湯の注ぎかたで好みの味わいに変える3つのテクニック(緑茶・黄茶編)

みなさんこんにちは、ゆえじ ちゃんこです。中国茶&台湾茶マガジン【華茶だより】2022年7月11日号をお届けします。

今回のテーマはちょっと趣向を変えて、お湯の注ぎかたでお茶の味わいを変えるテクニックに関するお話です。

お湯の注ぎかたでお茶の味が変わる!

みなさん茶葉にお湯を注ぐとき、どんなことを意識していますか?
私の場合はお湯の勢いにフォーカスしていることが多いです。

同じ茶葉を
同じ茶器で
同じ温度の熱湯を使って
同じ時間蒸らしても

お湯の注ぎかたが変わるだけで
お茶の味のイメージが変わります!

ひとつのお茶もいろいろ楽しめてしまう…!
中国茶は本当に「沼」だなぁと感じます。

今回の記事では、お湯の注ぎかたでお茶の味わいがどんな風に変わっていくのかを具体的にご紹介していきます。参考になる部分があったらぜひ試してみてくださいね。

実験に使用した茶葉

今回は珍しい黄茶の中でも特に珍しい「君山銀針」で実験してみました。

なぜこの茶葉にしたかというと、私自身も実際に飲む機会が少なく、まだこの茶葉の個性みたいなものをいまいち掴みきれていないなぁ〜と感じたからです。

▼こちらで購入しました


黄茶とは?

黄茶(きちゃ/おうちゃ)は中国茶の中でもっとも生産量が少ないため飲む機会が少ないレアなお茶です。

黄茶の特徴は緑茶と同じく発酵させないお茶であること、さらに「悶黄(もんおう)」という工程によって茶葉が黄色く変化していること。

味わいは緑茶をさらにおだやかにしたイメージです。

君山銀針とは?

湖南省岳陽市洞庭湖君山の黄茶。伝統的な中国十大銘茶のひとつに数えられ、現在は生産量が大変少なく、貴重な茶葉です。

基本の注ぎかた3パターン


緑茶や黄茶の場合、すぐにできる方法としてはおもに3つのパターンがあるかなと思っています。

  1. 100℃に近い熱湯を使って、勢いよく注ぐ

  2. 100℃に近い熱湯を使って、ゆっくり注ぐ

  3. 85℃程度のお湯を使って、ゆっくり注ぐ

分解するとこんな感じです。

✔️お湯の温度は香りに影響する
✔️お湯の注ぎ方は味わいに影響する

それではここから、君山銀針を3パターンの注ぎかたで淹れてみた結果、味わいの変化を含め、それぞれ解説していきます。

<前提条件>
茶葉:3g
蓋碗:100cc

① 100℃に近い熱湯を使って、勢いよく注ぐ

ねらい
高温キープで香りを引き立てたい
渋みを抑えてスッキリした味わいに

私が初見の茶葉を入れるときは、お茶の種類問わずほぼこの淹れ方です。この淹れ方で飲んでみて、渋みや味わいがどれくらい出るかを確認します。

お湯を注ぐ勢いはこんな感じです。
茶葉がくるくるくる〜〜!っと回るようなスピードで注ぎます。

蒸らし時間
1煎目25秒、2煎目20秒、3煎目30秒

君山銀針の味わいの変化
1煎目、スッキリ、あれ?と思って飲み続けるとじんわりと穏やかな甘みが喉元に蓄積されていく感じ。その甘みが余韻として長く続く。渋みはない。

2煎目、スッキリ感。口に含むと舌の上がざわめくような感覚、多分渋みだけどまったく嫌じゃない。飲み終わった後はそのざわめきがたるんとした甘みに変わる。

3煎目は、2煎目の時に感じたざわざわ感は無く、まっすぐ喉にぶつかっていく。飲み終わった後にざわざわとした渋みを喉元で感じる。えぐみみたいなのはない。のどごし系。3煎目もじんわりとした甘みが続く、余韻が長い。

メリット
香りが引き立つ。渋みを抑えつつスッキリクリアな味わいに

デメリット
味わいに物足りなさを感じる場合も

② 100℃に近い熱湯を使って、ゆっくり注ぐ

ねらい
高温キープで香りを引き立てたい
茶葉が持つ旨みやコクを出して深みのある味わいに

お湯を注ぐ勢いはこんな感じです。
茶葉がふわふわふわ〜っとふんわり漂うように注ぎます。

蒸らし時間
1煎目40秒、2煎目35秒、3煎目45秒

君山銀針の味わい
1煎目、じんわり口の中に爽やかな渋みが広がる、両頬と下の上にずっしり乗る。味わいが舌に染み込んでいく感じ。喉ではあまり感じない。密度が高い印象。余韻も舌の上で渋みの裏返しの甘みをじんわり感じる。

2煎目もふんわり口の中全体に広がる立体感。味わいを濃く感じる。渋みもあるけど爽やかな感じで嫌じゃない。後味も舌の上に渋みの裏の甘み。

3煎目、上顎につるんとした甘みが当たる、渋みは抜けた。後味も甘み。

メリット
香りと味わいをどちらも引き立てることができる

デメリット
蒸らし時間によっては渋みが目立ってしまうことも

③ 85℃程度のお湯を使って、ゆっくり注ぐ

ねらい
渋みを抑えつつ茶葉が持つ旨みやコクを出して深みのある味わいに

お湯の温度を少し下げる方法はけっこういろんなところで紹介されている緑茶・黄茶の淹れ方だと思います。

蒸らし時間
1煎目40秒、2煎目35秒、3煎目45秒

お湯を注ぐ勢いは②と同じように、茶葉がふわふわふわ〜っとふんわり漂うように注ぎます。

お湯の温度を約85℃まで下げる方法
100℃に沸かしたケトルの熱湯を茶海に注ぐだけ。ですが、茶海そのものの温度や室温によっても変わってくる(冬と夏でぜんぜん違う)ので、お湯の温度しっかり✔️したい方は温度計を使って確かめるのが安全です。

君山銀針の味わい
1煎目、熱湯ゆっくりと同じような印象、甘みと旨みがふんわり口の中全体に広がる。渋みはない。

2煎目も1煎目と同じ印象、まず甘みを感じるけどスッと抜けていく。おっとりしている感じ。飲み終わった後は喉の奥の方でじんわり余韻を感じる。渋みなし。

3煎目は少し温度高かった?上顎にあたる感覚、まっすぐ喉に当たる、舌の上でざわめくような渋み、嫌じゃないやつ。

メリット
渋みを抑えつつ茶葉の持つ旨みを引き出せる

デメリット
香りや味わいの輪郭がややぼやける


まとめ

お湯の注ぎかた3つのパターンの特徴をまとめるとこんな感じです。

① 100℃に近い熱湯を使って、勢いよく注ぐ
▶︎香りを引き立てたいときにオススメ
▶︎難易度:低

② 100℃に近い熱湯を使って、ゆっくり注ぐ
▶︎香りも味わいもどちらも引き立てたいときにオススメ
▶︎難易度:中(やや渋みが目立ちやすい)

③ 85℃程度のお湯を使って、ゆっくり注ぐ
▶︎味わいを引き立てたいときにオススメ
▶︎難易度:低

今回はあくまで君山銀針の場合の味わいの変化、でしたが他の緑茶や黄茶でもある程度共通する点はあるかなぁ〜と思います。

味わいがどうでるかは茶葉の形にけっこう影響されるので、たとえば君山銀針と形が似ている黄山毛峰、安吉白茶、蒙頂黄芽、霍山黄芽あたりは同じ感覚で淹れられると思います。
(もちろん最終的には個々の茶葉の個性をよく見る必要ありますが)

参考になれば幸いです!

次回は2022年7月25日(月)配信予定です。

今後ともよろしくお願いいたします。

ゆえじ ちゃんこ


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発信者プロフィール

ゆえじ ちゃんこ | 中国茶ナビゲーター

中国茶の淹れ手として地球にやさしい中国茶交流会(通称エコ茶会)など各種イベントで中国茶の魅力を伝える活動を10年以上継続中。

オンラインではSNS総フォロワー7000名以上の方に向けて中国茶の魅力を伝える情報発信を行っています。2021年に立ち上げたオンラインコミュニティ『中国茶&台湾茶だいすきクラブ』は参加メンバー460人を突破しました。

Amazonで販売中の電子書籍『世界一わかりやすい中国茶のはじめかた』は新着売れ筋ランキング1位獲得!!

現在は福建、香港、東京の3都市を拠点に活動中です。

また、ライブドア公式ブロガーとして絵日記ブログ『中国でブルジョワ華人の妻してます』では国際結婚
や海外生活についても発信しています。

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