【NBA】ウォリアーズは来季も優勝できる?優勝チームを主軸に考察
こんにちは。
ジャパンゲームが近づき、夜しか眠れないユエです。
いつもツイートや記事に反応を下さり、本当にありがとうございます。
前回のライアンについての記事にもコメントや反応があり、ありがたい気持ちでいっぱいです。「面白かったです」という一言で、もうね、ご飯三杯いけます。
「ライアンにそんな興味ねーよ!」
「そもそもお前の記事に興味ねーよ!」
という方も、なんだかんだ言って彼についてまとめてある数少ない日本語の記事だと思いますので(?)、ぜひこの機会にお読みくださいませ。
さて、今回はGSWが来季も優勝できるのかについてゆるく考察する記事(短いとは言ってない)になっています。
というのも、前回、前々回とそれなりにボリュームがある記事でしたので、ここで一旦力を抜きつつ、ジャパンゲームに備えたいと思います。
今回の話の柱はこちら。
戦力がどう変わったのか
優勝の条件って?
GSWが優勝するには?その確率は?
では、早速いきましょう。
Ⅰ GSWの戦力の変化
GSWファンにとって今季のオフはなかなか心を抉られるものでした。
優勝直後に上記のようなツイートは出ていましたが、蓋を開ければロールプレイヤー達はほぼ全員いなくなってしまいました。
GP2やOPJは「チームに残りたい」と明言していた中で、それぞれの事情から別のチームへ旅立っていったことも、寂しさを一層引き立たせます。
それぞれ新天地で頑張ってほしいものです。
◆ロスター再編、その意図
ここで、今オフで脱退した選手と加入した選手を改めて確認しておきましょう。
◆脱退した選手
ゲイリー・ペイトン2世
オットー・ポーターJr
ネマニャ・ビエリツァ
ホアン・トスカーノ・アンダーソン
デイミオン・リー
クリス・チオーザ(2way)
◆加入した選手
ドンテ・ディヴィンチェンゾ
ジャマイカル・グリーン
パトリック・ボールドウィンJr
ライアン・ローリンズ
レスター・キニョネス(2way)
◆再契約
アンドレ・イグダラ ← new!
ケボン・ルーニー
クインダリー・ウェザースプーン(2way)
加入選手はこれから1、2人増える可能性はありますが、こんな感じになります。スタメン以外がガラッと変わった印象ですね。
あえて以下のように記すこともできます。
GP2⇒ドンテ
OPJ、Beli⇒ジャマイカル
リー⇒ライアン
JTA⇒PBJ
チオーザ⇒レスター
実際にどう機能するかはまだはっきりとは分かりませんが、
昨季、特に重要な役割を担ったGP2とOPJの代わりに、似たようなことができるベテランを配置
POで残念ながら出番がなかったリーとJTAは有望なルーキーに
というのがGSWの今オフの補強だと言うことができます。
現状、ロスターの半分程度が20歳前後の選手となっており、ステフ達ベテランと年齢層がくっきりと分かれています。ある意味、若いチームとも言えてしまうのが今季のGSWです。
初回の記事でも説明しましたが、サラリー的にドラフトに頼らざるを得ないのはGSWの宿命です。
フロントは昨季のメンバーを残すというのはほぼ不可能であることを、恐らくだいぶ前から理解しており、故にドラフトで3人もの新人を指名したとも言えるでしょう。
昨季から継続して育成に特化したコーチ陣を揃えており、若手の成長とベテランの経験をミックスさせるという路線を今季も継続させることは明らかです。昨季の大きな成功があったからだと考えれば、それも妥当な判断だと思います。
色々な事情を踏まえると、このオフ、GSWは可能な限り最高の補強をしたのではないかと考えています。
Ⅱ 優勝の条件を昨季の優勝から探る
GSWのロスターの変更点は以上ですが、彼らは果たして今季も優勝できるのでしょうか。
過去の優勝を振り返ると様々な”優勝の条件”のようなものはあるとは思いますが、あくまで私は新米NBAファンですし、正直に言うと知らないことも多いですし”語りえないこと”が多々あります。
しかし、それを言っていては何も語りえないのも事実。語りたいことは語るのがブログでもあります。
実際、昨季のGSWは優勝条件のサンプルにはなりえます。何と言っても優勝しましたからね!(えっへん)
この章ではタイトルにもある通り、昨季のプレーオフの成功からその条件を拾い上げていきたいと思います。
とりあえず、個人的な考えを箇条書きにしてみます。
攻守ともにハイレベルであり、特にDFの強度が高いこと
選手層が厚いこと
優勝までの道のりを知っていること(戦い方を知っている)
自他のチーム戦力がどう変化していくか(怪我等)
以下、ひとつずつ見ていきましょう。
ⅰ 攻守共にハイレベル、選手層の厚さ
プレーオフで勝ちぬくには強度の高いDFが必要、というのはよく耳にします。実際のところどうなのか、昨季のPOのGSWと対戦相手のデータを見てみましょう。
◆相手にアンバランスさを強いるDF
まずレギュラーシーズンとプレーオフのレーティング比較が以下になります。どちらも全試合が対象になっています。左がRS、右がPOです。
GSW:OF112.1 DF106.6 ⇒ OF114.5 DF109.6
BOS:OF113.6 DF106.2 ⇒ OF110.3 DF106.3
DAL:OF112.5 DF109.1 ⇒ OF113.9 DF113.3
MEM:OF114.3 DF108.9 ⇒ OF109.8 DF107.1
DEN:OF113.8 DF111.5 ⇒ OF113.9 DF121.9
対GSWに限ったレーティングは以下のようになります。
BOS:OF105.6 DF110.0 −4.4
DAL:OF112.2 DF120.3 −8.1
MEM:OF107.8 DF108.3 −0.5
DEN:OF113.9 DF121.9 −8.0(GSW戦のみなので同上)
GSW側のスタッツは攻守を反転させるだけなので、例えば対BOSのレーティングは以下のようになります。
OF110.0 DF105.6 +4.4
これだけ見ると、POで極端にDFが良くなったとは言えないですね。DFRtgがRSよりも良くなっているのはファイナルだけです。
事実、DEN、MEM、DALの主要選手である、二コラ・ヨキッチ、ジャ・モラント、ルカ・ドンチッチの平均得点を比べて見ると、しっかり点を取られていることが分かります。
ヨキッチ:RS 27.1得点 PO平均(対GSW)31.0得点
ジャ:RS 27.4得点 PO平均 27.1得点 対GSW 38.3得点
ルカ:RS 28.4得点 PO平均 31.7得点 対GSW 32.0得点
テイタム:RS 26.9得点 PO平均25.6得点 対GSW 21.5得点
テイタム以外はPO、対GSWで平均よりも4~5点多くスコアしていることが分かります。特にジャは3試合での平均にはなりますが、クレイジーな得点をたたき出していますよね。
こう見ると主要選手をしっかり止めたから勝てたのは、やはりファイナルだけですが、BOSは激戦を制してファイナルまで上がってきたこと、テイタム自身が怪我に苦しんでいたことも考慮すると、彼が万全であれば平均25得点以上は確実に残せていたでしょう。
しかし、実際に勝ち上がり優勝したのはGSWでした。
例えば、PO1回戦の勝利予想で「GSWはヨキッチを止められないから勝てない」みたいな予想がありましたよね。ジャ、ルカについても同様の予想がありました。
その予想はしっかり当たっています。
そう、止められていないんです。
GSWは止められないと予想されていたものを止めたから勝ったのではなく、止められないものを止められないままに勝ってしまった、ということなんです。
その鍵はスコアリングバランスだと考えています。
バスケにおいてスコアリングが極端に誰かに偏るというのは本来望ましくない(ウィルト・チェンバレンのキャリアが例として分かりやすいでしょうか)わけですが、GSWはそれをプランとして実行していたように思います。
各チームの選手の平均得点などのデータを見てみると…
DEN、DALは、ヨキッチ、ルカに続くスコアラーにもう少し得点が欲しかったのと、DFでGSWを守り切れていない
MEMはジャの活躍がすさまじかったが、続くディロン・ブルックス、デズモンド・ベインの得点が大きく低下していた
BOSもテイタムの不調をブラウンともう1人、補える存在が欲しかった
つまり…
主要選手以外(できるなら主要選手も)をきちんと抑え、スコアリングバランスを悪くさせること
すなわち、誰かに極端に負担がかかるように強いること
が狙いとしてあったと思います。
ある程度のDFの強度は前提として、むしろどう守るかが重要であることが上記のデータからも読み取れますし、実際の試合もそうでした。
例えばDALシリーズのルカのように、OFで負担がかかればDFに影響します。
GSWはルーニーやビエリツァがルカとマッチアップしてもスイッチさせずに守らせましたよね。消耗を狙って、あえてルカに攻めさせる意図も含まれていたと言えます。
その上できちんとヘルプに向かい、ルカが得点しにくいように仕向け、仮にボールを離せば、パス先の選手たちの得点を抑える為に全力で走る。
そういったDF強度という意味でも、GSWは以下の優れたデータを記録しています。
相手ペイント内得点を平均40.5点(BOSと同率4位)に抑えている
DFリバウンドを平均34.1本(全体4位)確保している
相手FG%を43.9%(全体3位)に抑えている
相手のシュートアテンプト自体を抑えているというよりは、打たせてはいるものの、しっかりコンテストをして%を落としています。
やはり、ドレイモンドを中心としたローテーションDFの強固さ、チーム全体のサイズはないものの全員でリバウンドを獲りにいく姿勢が数字に表れていますね。
ゴベアのような選手がいないGSWは極論、各々がどれだけDFを頑張れるが肝になると思います。
カーのシーズン中の発言をきちんと昇華して素晴らしいDFをつくり上げたと思いますし、それが相手の主力選手に普段以上に得点を取られたとしても、最後には勝利する基盤になったと言えます。
◆スコアリングバランスの良さ
と、ここまではどちらかというとDFの話でしたが、OFにも目を向けると、如何にGSWのスコアリングバランスが良かったのかが分かります。
以下はそれぞれのシリーズにおける平均得点上位5人のデータです。
対DEN:ステフ28.0、クレイ22.6、JP21.0、ウィギンズ14.0、ドレイ9.6
対MEM:ステフ26.0、クレイ18.5、JP17.8、ウィギンズ15.0、クミンガ10.0
対DAL:ステフ23.8、クレイ18.6、ウィギンズ18.6、JP16.4、ドレイ10.6、ケボン10.6(リバウンドも10.6)
対BOS:ステフ31.2、ウィギンズ18.3、クレイ17.0、JP13.2、GP2 7.0
上の負担云々の話をすると、ファイナルは得点がステフに偏ってしまっていますが、あのファイナルのステフは伝説級の活躍だったので、ここでは言及しません(笑)
DFが良いチームにああいう選手がいるというのことの恐ろしさとでも言いましょうか…
それはともかく、メインスコアラーのステフに続く、クレイ、ウィギンズ、JPが大体平均15~18得点以上を安定して残しているという、このスコアリングバランスの良さは優勝の一因だったと思います。他のチームではあまり見られないことです。
そして、MEMシリーズのクミンガ、DALシリーズのルーニーのように、チームによって相性の良い選手をしっかり起用できたことも大きいですね。これは選手の層が厚いということでもありますし、それぞれの選手の負担が分散される(相対的な怪我のリスクも減る)ということでもあります。
そして、選手を的確に起用できる監督の力量。
これも間違いなく優勝の要因でしょう。
スティーブ・カーはRS中によく実験をします。
ラインナップをいじったり、たまに奇妙な選手起用をします。ステフを35分以上出場させることもほぼしません。それで勝てる試合を落としたりします。それでファンはヤキモキするわけですが…
しかし、それも初めからPOを想定してのことだとすれば、やはりとんでもない監督だということになりますね。
こういう風に自分の非を認め、柔軟な采配ができる点も素晴らしいと思います。
1、2で大分長くなってしまったので、3、4は短くいきましょう。
ⅱ 長い戦いを勝ち抜く采配
シーズンの戦いは、長距離走です。
皆さんも長距離を走る際はペース配分をしますよね。
昨季のGSWは、もちろん主力の怪我にも悩まされましたが、このペース配分が非常に上手かったと考えています。
つまりはプレイタイム管理ですね。
ここでは主力の5人のプレイタイムを見てみます。RSとPOを比較してみましょう。POは全試合の平均です。
ステフ:RS34.5分 ⇒ PO34.7分
クレイ:RS29.4分 ⇒ PO36.0分
ドレイ:RS28.9分 ⇒ PO32.0分
ウィギンズ:RS31.9分 ⇒ PO34.9分
プール:RS30.0分 ⇒ PO27.5分
続いてファイナルで闘ったBOSのプレイタイムです。
以下、BOSとの比較が続きますが、それはこの2チームが最も試合数をこなしたからです。
テイタム:RS35.9分 ⇒ PO41.0分
ブラウン:RS33.6分 ⇒ PO38.3分
スマート:RS32.3分 ⇒ PO36.2分
ロバート:RS29.6分 ⇒ PO23.2分
ホ―フォード:RS29.1分 ⇒ PO35.4分
明らかにBOSの方が主力にかかる負担は大きかったと言えます。さすがにファイナルは双方似たようなプレイタイムですが、そこまでの過程は全く違います。
ついでにトータルの出場時間も出しておきます。
ステフ:全22試合 764分
クレイ:全22試合 792分
ウィギンズ:全22試合 767分
ドレイ:全22試合 703分
プール:全22試合 604分
テイタム:全24試合 983分
ブラウン:全24試合 920分
スマート:全24試合 760分
ロバ―ト:全24試合 394分
ホ―フォード:全24試合 815分
GSW側の印象としては、ステフのプレイタイムがRSとさほど変わっていないのが驚きです。かつ、クレイ、ウィギンズの鉄人っぷりが目立ちます。クレイはRSで温存されていた分、POでのプレイタイムが一番長い。カーからの信頼がうかがえます。
BOS側の印象としては、2試合のゲーム差を考慮しても、テイタム、ブラウンにかかった負担の大きさが数字にも表れていますね。
BOSはPOでプレイタイムをしっかり貰えていたと言える選手が9人いますが、GSWはファイナルでの主軸だった8人に加え、ビエリツァ、リー、クミンガ、モーゼスが全22試合中、それぞれ約15試合に出場し、平均10分程度のプレイタイムをもらっています。
GP2の離脱、イグダラも試合数は少ないながらそのくらい出場していたことを考えると、GSWは11~12人でファイナルまで戦い抜いていることになります。
この、起用に堪えうる選手の多さがGSWの長距離走を支えていたと言えます。特にルーキーのクミンガ、モーゼスもしっかり戦力になっていたのはドラフトの上手さと育成の賜物ですし、RSで彼らを成長させるためにあえて起用してきたことがきちんと活かされています。
モーゼスは個人的に非常に好きな若手なのですが、ここでPOでの彼のスタッツを紹介しておきたいと思います。
平均出場時間8.3分
平均アテンプト2.2本、平均3.2点
FG53.6%、3pt53.8%、eFG66.1%
注目すべきはその効率の良さでしょう。
初めてのPO、かつ短い出場時間できちんとインパクトを残しています。加えてスクリーンやパス、DFでの細かい配慮など、若手らしくない落ち着いたプレイが素晴らしかったです。
これはカーHCの美学なのかもしれませんが、主力選手の起用時間、パス主体のバスケを構築しているのを踏まえても、誰かに極端に頼りすぎるということを好んでいないように見えます。ステフですら平均35分以上出場していませんからね。
まさに今回の優勝は全員で戦い抜いた結果だと言えるでしょう。ファイナルへの道筋を知り尽くしているGSWの素晴らしい長距離走でした。
ⅲ 自他チームの選手、コーチの離脱
と、いかにも順調にファイナルまで到達し、優勝したかに見えるGSWですが、そんなことは全くありませんでした。
まず、PO2回戦Game2でキープレイヤーのGP2が負傷離脱。
当時の私は、CFで待っているであろうサンズとの戦いを想定して頭を悩ませたのを覚えています。CP3、ブッカーを苦しめられる選手の1人でしたからね。怪我をさせたディロンを恨まなかったと言えば噓になります。
まあ、今では終わったことですし、当事者たちに遺恨がないようなのでそれで良いのですが。
更に同Game4でカーがプロトコル入りという災難に見舞われます。
そのGame4は3点差で辛勝しましたが、続くGame5で何と約40点差の大敗。思えば、マイク・ブラウンのキングス行き、ドレイモンドの親友の銃殺、カーのプロトコル入りと感情的な出来事が重なっていました。
Game6ではルーニーが奮起して22リバウンドをもぎ取り、シリーズ突破に貢献してくれましたね。
というように、選手の離脱などは不運にも起こってしまうわけで、皆がいつも万全とはいきません。イグダラ、OPJも度々離脱してましたよね。
MEMのジャが離脱したように、主力選手の怪我は殊更シリーズの趨勢を左右します。こういった予想できないことも含めて、POを勝ち抜くのがいかに大変か、ファンである私でさえも思い知るわけです。
優勝には間違いなく運の良し悪しも絡んできます。だからこそ、どんな優勝も価値があり尊いのだと思います。
◆優勝の条件、ここまでのまとめ
DFにおける戦略の重要性と根本にある強度
得点手段の多さ、スコアリングバランス
起用しうる選手の多さ、リスクの分散
コーチの的確かつ大胆な采配
RS~POという長期戦を戦い抜くプラン
最後は選手の離脱等、運の良し悪しも絡む
Ⅲ 今季のGSWはどの程度条件を満たしているのか
では、新生GSWは上記の条件をどれだけ満たしているのでしょうか。
マイク・ブラウンの引き抜きは非常に痛いですが、それ以外は主力もフロントも大きな変更がない為、ある程度は"優勝候補"としての実力を保つことは出来ているとは思います。
個人的にはロスターの末端を含めてのDF強度、起用しうる選手の数、のところに疑問符がつくでしょうか。
以下、あえて新旧選手たちの実力を比較していくことで、その理由を分かりやすく示してみたいと思います。
i 何がプラスされ、何がマイナスされたのか
ここからは第1章で紹介した新旧の選手達を実際に比較していきます。
◆ドンテとGP2
この2人は何の因果か背番号も同じで、ドンテはファン感情的に"GP2の代わり"として見られることが多いです。
彼はOFではハンドラー、シューター、パサーと様々な役割をこなすことができるため、明らかにGP2よりも器用で汎用性があり、DFでも間違いなく貢献してくれる運動能力の高い選手です。
また判断力にも優れている印象で、味方に指示を出したり、素晴らしいロングパスを出す場面もあります。
優勝経験のあるドンテをドレイモンドも絶賛しており、個人的にも彼が居るから優勝候補足りえる、とまで思っています。
DFでGP2ほどの鉄壁さを見せてくれるかは疑問ですが、総合的に見てドンテの方が上なのではないでしょうか。次の契約のために奮起するはずですし、期待大です。
◆ジャマイカルとOPJ、ビエリツァ
この比較はフェアではないですね。
カーは論理上のOPJとベリーのリプレイスメントとしてジャマイカルに期待している、というコメントを出していましたが、このふたりの働きを彼ひとりで補えるとは思いません。
ジャマイカルの長所として、インサイドのOF、DF、リバウンド、アウトサイドシュート、身体能力等が挙げられますが、OPJとビエリツァにあったIQとパス能力があるか、アウトサイドシュートがこのふたりよりも上手いかは疑問です。
ジャマイカルが起用される場面として、ドレイモンドとのフロントコートが想定されますが、3ptをきちんと決められるようでないとスモールにしている意味の一部が失われるので、そこには特に期待したいです。
昨季は3pt成功率が約27%で、全体に占める3ptの割合も約40%だったのですが、LAC時代や20-21季はシュートの50~60%が3ptで成功率も約40%でした。GSWでもこれくらい打っても良いと思います。昨季は手首の怪我で確率が落ち込んだとのことなので、きちんと治してまた頑張ってほしいものです。
本人も”be a dog”と語るように汚れ仕事にはきちんと徹してくれるでしょうし、インサイドのDF力はOPJ、ベリーよりも頼りになると思います。腕の長さ(219㎝)を生かしてのリムプロテクトも楽しみですね。
◆ルーキーズとリー、JTA、チオーザ
昨季のリー、JTA、チオーザは特にRSでの主力の負担軽減に大きく貢献しました。
リーは63試合、JTAは73試合、チオーザは50試合の制限がある中で34試合に出場、それぞれスタッツ的には微妙と言わざるを得ませんが、なかなかBIG3が揃わなかった昨季を最後まで戦い抜けたのは、彼らの存在によるところも大きいです。
彼らはベンチを非常に盛り上げてくれていましたし、コート外での貢献も素晴らしかったです。
そんな彼らに替わるのが、PBJ、ライアン、レスターのルーキーズですが、正直彼らの貢献度を予想するのは難しいです。レスターを除くふたりはサマーリーグにも出場していませんし、出場していたレスターもそれほど目立った活躍をしていたわけではありません。
これまでの議論を踏襲するなら、GSWはPBJとライアンを可能な限り早くローテーションに加え、活躍できるよう育成せねばなりません。PBJはIQが高いとのことなので、DFさえきちんとできれば面白い存在になり得ると思いますが…
抜けた3人はなんだかんだ頼れるベテランだったので、このままRSに突入してしまうというのは過小評価できない不安要素です。
しかし、ご安心ください。
そんな不安感をある程度、払拭できる男がいます。
そう、ツーウェイ契約のクインダリー・ウェザースプーンです。
元々スパーズ産の彼は、分厚いボディフレームを用いたタフなDF、カッティングに定評がある選手です。動画中にもブッカーを止めている場面がありますよね。
実はロスター中、GP2に最も似ている選手はこのQWというのが個人的な見解です。
アウトサイドシュートはGP2同様課題ですが、SLを見るかぎり、彼はそのレベルにはいません。ツーウェイレベルでもないと思っています。そんなツーウェイ4年目(もうほぼベテランです)の彼がロスターに残ってくれたことは僥倖だったのではないでしょうか。
RS中、50試合の制限ギリギリまで使うか、途中で本契約に切り替えるか、そのような未来は十分あり得るでしょう。実質的なリーとJTAの替わりは、このQWと見ることもできますね。
◆ここまでのまとめ:マイナスが多め?
ドンテは攻守で優れたスターターレベルの選手。GP2以上の活躍が期待できる。しかし、GP2のDF力はクレイジー…
ジャマイカルの活躍の鍵はインサイドのDF力と3pt%。OPJほどの賢さとシュート力、ビエリツァほどのパスセンスはなさそう。しかし、汚れ仕事を率先してこなす頼れるベテランの加入は大きい。
JTAらの退団は特にRSを戦い抜くうえで大きなマイナス。ルーキーズの育成とQWの活躍がそれを補いうるか。
ⅱ 戦力のマイナス分は若手が成長するしかない
前節の比較を見ていくと、やはりというか総合的な戦力は昨季よりもダウンしていると個人的にはみています。
RS、PO、それぞれのローテーションメンバーがすっかり抜けてしまったのは痛く、ドンテ、ジャマイカルといった優れたベテランの加入を踏まえてもマイナス部分が優っています。
ドンテとジャマイカルの比較に関しては選手の実力云々というより、それぞれの得意分野が少しずつずれているために完全な補完になっていない印象です。まあ、それも当たり前と言えば当たり前なのですが。
となると、優勝に向けてそれらのマイナス面を補い、なおかつ更にパワーアップしていくには若手の成長が不可欠になります。
PBJ、ライアンにはシーズン中にしっかりとローテーションに参加していくことが求められますし、プール、クミンガ、モーゼス、ワイズマンはそれぞれの才能を更に伸ばし、より隙のないチームをつくっていくことが求められます。
では以下、うちのヤングコアの期待値を簡単に述べていきます。
◆ジョーダン・プール
プールは若手の中でも既に実力を証明している部類に入りますが、カーが度々言及しているように、さらにステップアップするには対人、チームDFの向上が不可欠です。逆に言えば、彼がDFまでできるようになれば、それだけでなかなか恐ろしいチームになると思います。
昨季の効率お化け状態を維持するのは難しいかもしれませんが、それに近いスタッツは残してほしいですね。好不調の波もできるだけ小さくしたいところです。
◆ジョナサン・クミンガ
将来的に彼には何でもできるようになってもらわなければならない(とGSWは考えているはずな)ので、客観的な期待値が一番高いです。
国際試合でもハンドラーを任されている彼ですが、ハンドラーをやっているということは、ドライブだけでなくシュートもパスもできなければいけませんし、現状未熟な判断力の改善や感情面の制御など、求められるものも多いです。
しかし、国際試合でのハイライトでも見てとれるように、完成形で一番手が付けられなくなりそうなのはクミンガと言っても良いでしょう。来季の彼にはもっと多様になってもらわねばなりません。ジャマイカルと一緒にOPJ、ビエリツァの穴を埋めつつ、ロスターをパワーアップさせてくれるはずです。
◆モーゼス・ムーディ
若手の中でも成熟しており、落ち着きのあるモーゼスですが、来季最もブレイクしそうなのは彼だと考えています。
昨季のハブ的な役割から、SLのスコアラー的な役割まで色々とこなせてしまう彼は、既にブレイクする兆候を示しているような気がします。
2章2節で示したように、POでも効率よく活躍できることも証明しており、あとは経験を積むだけという感じでしょうか。青年版イグダラとして2ndユニットの攻守の要となることを期待しています。OPJの役割を一部担える賢さもあると思うので頑張ってほしいです。将来的にミカル・ブリッジスのような選手を目指して欲しいところです。
クミンガ、モーゼス、クインダリーはSCWでも一緒にプレイしていたので、彼らのケミストリーを見るのも楽しみの1つですね。
◆ジェームズ・ワイズマン
彼の置かれている状況は決して楽観視できるものではありません。
スターターにルーニーというロールプレイヤーの達人みたいな選手がおり、かつジャマイカルというこれまたロールプレイヤー界の鉄人みたいな選手がベンチにいるわけですからね。
どうしてもシステムの中のワイズマンであることが求められる彼は、本来こなせることよりも少ない役割に徹する必要があります。
これは誤解されがちなことですが、ワイズマンのルーキーシーズンを見て、彼はもっと多くをやりたがっているから、GSWの育成方針とは合わないんじゃないか、という意見があります。
これは事実と異なっていて、実際はワイズマンを持て余していた(今も持て余していますが)GSWがルーキーの彼に好きなようにやらせていただけ、というのがマイヤーズの発言としてあります。
加えて、彼自身の発言としても以下のようなものがあり、ワイズマンとしてもチームに貢献するために色々と考えて日々ワークに取り組んでいるようです。
勿論、将来的にスターになりたいという願望は持って然るべきですが、少なくともステフたちがいる間は、彼はロールプレイヤーとして成長することを望んでいますし、それに納得していると思います。
故に、彼の主な役割はかなりシンプルで、DFではリムプロテクター、リバウンダー(攻守)、OFではスクリナー、ダイバー、ロブスレット等になってきます。
ポストプレイの機会は多くないと思いますが、リム付近の決定力は上げたいところです。スペーシングのためにアウトサイドシュートを打つことには賛同していますが、あくまで彼の主戦場はインサイドです。
ルーニーでは対応できない相手を守る。
ルーニーでは取れないパスをリングに叩き込む。
そういうシンプルなところから頑張ってほしいです。いつかスターになったときに、ロールプレイヤーだった頃の経験が活きるように…
カーの期待通り、DFで支配的になれば最高です。
言葉が乱れて申し訳ないですが、クミンガとワイズマンのコンビなんてくそ楽しみですよ、ホントに。楽しみ度合いで言えば、彼が一番かも知れませんね。
勿論、若手がどの程度成長するのかは未知数ですし、マイナス分を補って余りあるほどの成果を期待できるかも不明です。
しかし優勝を目指すならば、彼らが成長し、昨季以上のロスターに仕上げていかねばなりません。これはマストです。非常に困難な道ですが、挑戦しがいがあるシーズンになるのではないでしょうか。
Ⅳ 最後に:GSWの優勝の確率は?
最後に忘れてはならないのは、昨季以上に相手チームが強くなっているということです。
主力が復帰するDENやLAC、安定した強さのMIL、MIA、PHX、PHI、MEM、大型補強に成功したMIN、CLEなど全てが優勝候補ではないですが、強いチームは多いです。
GSWは現状、昨季よりも低い戦力で彼らに立ち向かっていかねばなりません。しかし、若手の成長が優勝の鍵という状況はファンにとってエキサイティングですし、決して悲観的にシーズンを迎えるつもりはありません。カーの言葉に近い感情ですかね。
主力の中ではクレイに本当に期待しています。今季は再びオールスター級に戻るためのシーズンになると思います。低い評価をされればされるほど燃える男だと思うので、見返して欲しいですね。
最後に、敢えて優勝を確率で示すならば、甘く見て12%といったところでしょうか。初回記事で登場した友人とも話しましたが、彼は10%に満たないと言ってましたね。現実的な予想です。
これを低いと見るか高いと見るかはあなた次第…なわけですが、10回に1回優勝出来ると考えればなかなか良心的な予想ではないでしょうか。
皆様はGSWが連覇を果たせると思いますか?
是非ツイッターのコメント等でお聞かせ下さいませ。
待望のジャパンゲームが終われば、すぐにプレシーズン、レギュラーシーズン開幕となります。非常に楽しみですね!
…プールの延長契約も気になるところですが。
追記(9/25)
◆イグダラの復帰
イグダラ先生が電撃再契約しましたね!
非常に心強い補強です。有望な若手が更に入ってきたGSWにとってはこれ以上ないメンターでしょうし、ベテランと若手の調整役になれる彼の存在は非常に大きいと思います。
若手の成長が鍵の今季、イグダラという試合にも出場しながら育成できるコーチ的な選手はかなり貴重です。事実、今季限りですしね。試合で活躍するとは別の方向性で、かなり貢献してくれると思います。若手達もイグダラの状況判断能力、パスセンス、DFのポジショニング等を学んで欲しいですね。
と、今回も書くうちに非常に長くなってしまいました(当社比約2倍)が、ここまで読んで下さった方は本当にありがとうございます。
スキやフォロー、ツイッターでのコメント等もお待ちしています!
また次回の記事でお会いしましょう!