【NBA】ジョーダン・プールがマジックへ?彼の力を測る試み
こんにちは、ユエです。
皆様はNBAのオフシーズン、どうお過ごしでしょうか。
私は他の趣味を楽しんだり、たまに遠方の友人とNBAについてオンラインで語り合ったりしています。ついこの間もジョーダン・プール(以下JP)やGSW、残っているFA等について話したところでした。
勿論、メインテーマはこのORL(オーランド・マジック)の噂でした。JPファンの私にとっては頭の痛い話です…
そこで、今回はJPの延長契約問題について、友人と語り合った内容をまとめてみたいと思います。
※ちなみに私の友人は、なぜかは知りませんが、過去の選手や選手の契約について専門家でもないのにそれなりに知識がある不思議な人です。
今回の柱は以下の2点になります。
JPの実力を測るのって意外に難しいよね
ORLにJPってどうなの?(構想的な意味で)
この2つを中心に以下、いくつか章立てをしていきます。それではいきましょう。
Ⅰ GSWの現状
ご存知の通り、昨季のGSWはまさに理想的な形でシーズンを終えました。つまり育成と優勝を同時にやってのけたのです。CFまではルーキー達も少ないながらミニッツを貰って活躍していましたよね。
シーズン終了後は、当初、FAになる選手たち全員と再契約を結ぶと見られていましたが、蓋を開ければファンに好かれていたゲイリー・ペイトン2世(以下GP2)をはじめ、ほぼ全員が居なくなり、かろうじてケボン・ルーニーを残すことに成功したという感じでした。
思えば、ドラフトで新人を多く指名していた時点でこの路線は確定していたのかも知れません。
GSWはこのオフで若返りせざるを得なかったんですね。それもこれもタックス問題が根底にあります。
例えば、このツイートをご覧下さい。
たった数Mのお金で何十Mもサラリーが変わってきてしまうのが、GSWの現状なのです。それはFAの引き止めだけでなく、現ロスターの選手との延長契約にも大きく関わってきます。
実はJPだけでなく、アンドリュー・ウィギンズ、ドレイモンド・グリーン、クレイ・トンプソンとは既に延長契約を結ぶことができます。
しかし最も期限が迫っている(現地10月17日)JPの延長契約すらもまだまとまっていません。もしまとまらなければ、彼は来季終了後に制限付きFAとなり、他チームと契約する可能性も出てきます。まさに今オフのディアンドレ・エイトンのような状況ですね。
今回のテーマであるORLがJPを狙っているという噂も、GSWの現状から出てきているものなのです。
Ⅱ 現時点のJPの実力
随分と前置きが長くなりましたが、ここからはJPとORL、2つの視点から話を進めていきましょう。
皆さんは現時点のJPにどんな印象を持っているでしょうか。
次代を担う選手だ!
得点力は高いけど、DFがな…
顔芸が面白い
ズボンが短い
等々、色々な印象があると思います。
私達が話し合った中での印象はとりあえず以下のような感じでした。
シックスマンとして優秀
GSWというチームの恩恵を、特にDFで受けている
以下、1つずつ見ていきましょう。
ⅰ 役割を変化させていったJP
昨季、飛躍的な成長を遂げたJPですが、その役割はクレイの復帰前後で大きく変わりました。
クレイの復帰前はステフを支えるスターティングSGとして、復帰後は2ndユニットのメインハンドラーとして定着。
役割の変化の中でスタッツが落ち込んだ時期もありましたが、その自慢のハンドリング、得点力でシーズン通して頑張っていたと思います。
特にステフが離脱した最後の12試合では、
平均25.8得点、6.2アシスト
3pt37.4%
制限区域内シュート成功率60.5%
58.6TS%
とチームを牽引。素晴らしいの一言です。
(上記は@tylernbazone氏のツイートを参照)
勢いそのまま、プレーオフ1回戦、DENとのシリーズでステフの代役として活躍したのは記憶に新しいですよね。
しかし、好不調が激しい選手なのも事実で、例えばDENとのシリーズの得点の推移はGame1~Game5で、30⇒29⇒27⇒11⇒8という風になっています。
とはいえ、GSWのOFにとって、ステフとクレイの中間のような役割を担えるJPは非常に使い勝手が良い選手で、色々なラインナップに組み込むことができるのは彼の強みだと言えます。ステフ、クレイ、JPの3ガードラインナップなんかも度々ありましたよね。
The microwaveのニックネーム通り、シックスマンとして得点してくれるありがたい存在ですし、コンボガード的ではありますが、PGの役割をこなすこともできます。またステフコピーのごとく、オフボールからの得点、長距離砲など色々なことができます。
一言でまとめると、GSWにとってかゆいところに手が届く非常に重要な選手、ですね。彼が優勝に大きく貢献したのは間違いないと思います。故に価値が上がっているのですが…
このようにカーHCが重要な6人の中に数えるのも納得というわけです。スターポテンシャルがあるのも間違いないでしょう。
ⅱ GSWというチームにいる恩恵
しかし、そんなJPにも明確な弱点があります。
DFです。
言うまでもないことですが、GSWは昨季RSリーグ2位のDF力(POでは6位)を誇るチームでした。
その屋台骨を支えていたのが、ドレイモンドやウィギンズ、クレイ、GP2、OPJなどの選手たちで、彼らがいたからこそ鉄壁のDF力が維持できたと言えます。もちろん、我らがステフのDF力も、カーが褒めていたように素晴らしいものでした。
昨季、JPの周りには素晴らしいディフェンダー達が常にいて、彼のDF力の低さというのは目立ちにくくなっていたと思います。しかし、やはりDF力が低い選手というのはPOでは使いにくい。
次の数字はそれを明確に表しているのではないかと思います。
32.4⇒29.8⇒28.0⇒20.8
何の推移かすぐに分かった方は流石でございます。
そう、JPのPOでのプレイタイムの推移(分)ですね。
左からDEN、MEM、DAL、BOSのシリーズのプレイタイムになっています。
つまり、シリーズを勝ち抜き、相手がレベルアップしてくる中で、JPは少しずつプレイタイムを減らしていったということになります。ファイナルではその下がり方が顕著ですよね。
代わりにプレイタイムをもらっていたのが、GP2とオットー・ポーターJr(以下OPJ)でした。2人ともDFに秀でた選手です。実はファイナルでのJPと彼らの平均プレイタイムは2~3分しか変わりません。普段なら10分程度の差が出てくるのですが…
POのように主力が40分近く、またはそれ以上出場する場合、もちろんJPのようなベンチからの起爆剤的な選手の存在は重要ですが、ステフ、クレイ、ウィギンズがいる以上、GSWに欲しいのはむしろ得点力よりもDF力です。
どうしても勝ちたい、優勝したい、そういう土壇場で使われるのはやはりDFの上手い選手で、だからこそ特にファイナルでGP2が輝いたわけですね。
JPが今以上の選手になっていくためには、土壇場で使ってもらえるDF力を身に着けることが必須だと思います。ステフ並みのOF力があれば、それでも使われるとは思いますが…
さて、ここまでDFでの恩恵の話をしてきましたが、OFでも恩恵はもちろんあります。
それはGSWがオフボールムーブを重要視しており、各々が役割を理解しているチームだということです。
Isolation、P&Rが少なくCut、Handoff、Off Screenが多いGSWは、個人の突破力に依存しないOFを創り上げています。
例えば先程、ステフ離脱時のJPの素晴らしいスタッツを紹介しましたね。彼の得点力は疑いようがありません。
しかし、その背景にはドレイモンドやケボンのスクリーン、ハンドオフといったスペシャリスト達の直接的な貢献があり、ステフ、クレイ、ウィギンズといった別の脅威が間接的に彼の負担、マークを軽減しているという事実を忘れてはならないと思います。
ときにJPの1on1が効果的なのも、システム的にあまり用いないからこそアクセントとして有効になっているとも言えます。とてつもないハンドリングとスピードなのは理解していますが…
つまり、どこまでがJP単独の力かというのは、ステフを見る時よりも測りづらいのではないか、ということです。
そんな彼が他チームでどこまで成功できるか、マックスの価値はあるのか、という問題はきちんと考えておきたいところです。
というのも、海外のYouTuber、ファン含め、いろいろなところでJPにマックスは妥当だという声を聞くのですが、それに対して何の疑問もなく「その通りだ」とは言えないというのが本音だからです。
Ⅲ ORLの現状とJP
マックス云々の議論に移る前にORLの現状を見ておきましょう。私はORLファンではないので軽く触れておきますね(笑)
改めてORLのロスターを見たときの印象は「粒ぞろいの若手が揃っている」です。
豊作年2021年全体5位指名、攻守に優れたジェイレン・サッグス
同じく8位指名、オールルーキー1stチーム選出のフランツ・ワグナー
2017年全体6位指名、DFに定評のあるジョナサン・アイザック
同じくかつての1位指名、魅力あるPGマーケル・フルツ
今年の1位指名、レブロンと重ねられるスーパールーキー、パオロ・バンケロ
と、ぱっと思いつくだけでもこれだけいます。
他にもモー・バンバ、ウェンデル・カーターJr、コール・アンソニーなど、元々の指名順位が高い、才能ある若手が多く在籍しているのが現在のORLになります。
一方で、才能ある選手が多く居ながら、誰を中心にチームを作っていくかいまいち定まっていないチームでもあります。それがパオロになるのかは来季を楽しみに待ちたいところですね。
続いて契約関係も見ておきましょうか。
これは友人に指摘されたことでもありますが、JPの契約が切れる時と重なる23-24季の契約状況を見てみると、面白い事実が浮かび上がります。
それはロスターに所属する選手のうち11人が無保証、もしくはチームオプションになっているということです(内5人が無保証)。とはいえ、チームオプションの選手は全てルーキースケールなので、よほどのことがなければ大体は行使されるとは思います。
つまり、ORLは23-24季にサラリーに大きな柔軟性が生まれるんですね。冒頭に紹介したツイートの引用元の記事では60Mのスペースができるとの記述もあります。仮にフルツ、モー、ゲイリー(ハリス)の契約を保証しなければ、それだけで約40Mの余裕が生まれます。
こういった状況からもORLがJPに大きな契約を与えようとしているという噂が出るのは仕方がないかと思います。
そして、もしORLが制限付きFAになったJPにマックス契約を与えたとしたら、記事でも予想されているようにGSWはマッチできないでしょう。
ⅰ JPにマックス契約を与える?
しかし、どうでしょう。
サラリースペースは確かにありますが、それをJPに与えても良いのでしょうか。
引用元によれば、GSW以外のチームはJPに4年約137Mのマックス契約をオファーすることができます。そんなことをさせるくらいなら、GSWはサイン&トレードをするとも書いてありますが…
先に述べたように、ORLはまだ将来の柱が定まっていないチームではありますが、柱になりうる選手は複数在籍しています。
その誰もがまだ巨額の契約を手に入れておらず、もしJPにマックス契約を与えた場合、彼の契約だけ金額的に浮いてしまう印象はあります。タイムラインは少なくともちぐはぐです。
それは良いとしても、今である必要があるのか。
JPを獲得する目的は何なのか。
この辺りがよく分かりません。大きな動きをするのは誰を中心に据えるのか決めてからでも遅くはないような気がします。
…え、JPが中心?
じゃあ、今までのドラフトは何なの?
って話になりません…?
加えて、JPに仮に年30M以上の契約を与えるということは、彼を少なくとも2ndオプション以上で使うことになります。通常、その額の選手をシックスマンとして使うことはできませんし、それだけでスターターの柔軟性が失われます。
もしサッグスがこの先、攻守両面でスターター級の活躍をしても、彼をスターターとして使えないなんてこともあり得ます。成長著しい選手が多いからこそ、スターター争いは柔軟にしておいた方が良いのではないでしょうか。
JPを手に入れた先のビジョンがあるならまだしも、有望だという理由で彼を獲得するなら、まず自チームの有望な若手をきちんと育成した方が良いとは思います。
同ポジションのフルツはともかく、サッグスは見切るには早すぎる選手ですし、コールも効率が上がればスコアラーとして更に頭角を現しそうです。
JPに限らず、大きな動き自体がいまいちORLの構想と合っていないのでは、と考えています。
ⅱ JPはGSWを出た方が良いのか?
『ORLの状況は分かった。でも、JPはどこか自分が中心になれるチームに行った方がキャリア的に良いんじゃないの?』
という意見もあるかと思います。
これも少し話し合いました。
では、JPがGSWを出ていくメリットとGSWに残るメリットを見ていきましょう。
◆GSWを出ていくメリット(マックス契約と仮定)
巨額のサラリー、チームのエースになれる
スターターになることにより、各種個人賞を狙える
ステフ、クレイの影から抜け出す
◆GSWに残るメリット(20M前後の契約と仮定)
フランチャイズプレーヤーとしての道、将来的にマックス契約
クミンガ、ワイズマンらとBIG3の結成?自分の上位互換、しかも歴代レベルの選手がチーム内にいて、彼らからさらに学ぶことができる
上記で述べた攻守における恩恵
GSWは育成に秀でたフランチャイズ
私はGSWファン、JPファンなので当然残る方を推しますが、客観的に見ても(真の客観が存在するのかという議論は措くとして)、JPのキャリアを長期的に見れば見るほど、GSWに残るのが最善のように思います。
選手としてどれだけステップアップできるかという視点では、GSWに残るメリットは計り知れないはずです。
契約金という面でも、本来はGSWに残る方が有利です。
今回の延長契約でもGSWはJPに最大5年185Mを提示することができますが、残念ながらその価値は現在のJPにはないでしょう。
特定選手の枠を使ってしまうのも、クミンガ達が覚醒したときのことを考えると少々危険です。なので、今回の契約は抑えめにして欲しいというのがGSWの本音のような気がします。
JPは、例えばジャ・モラントのような明らかな若手フランチャイズプレーヤーではありません。
まだ若いですし、好不調の激しさ、DFの意思はあるにしても強度が伴わない、など欠点も目立ちます。
特段秀でた身体能力があるわけでも、ステフのようなシュート力があるわけでもありません。選手としての単純な才能なら、クミンガ、ワイズマンの方が上でしょう。
それでも、かなりの努力家として知られているJPはひたすら努力して、あの1年目の酷い状態からここまで這い上がってきたのです。その努力のサポートの仕方を知っている、さらに伸ばしてやれるフランチャイズはGSWをおいて他にないはずです。
そして、さらに実力を伸ばしたJPが27、28歳前後でマックス契約を受け取るというのが個人的には理想的なシナリオです。
Ⅳ GSWは選手たちを残せるのか
『オーケー、オーケー、じゃあJPはチームに残るのが君の言うように最善だとして、GSWは彼らを残せるのか?』
はい、最終的にはこれに尽きます。
残せるのか、残せないのか、それが問題なのです。
結論から言いますと、クレイ、ドレイモンド、JP、ウィギンズ全員と(要求通りの)延長契約を結ぶのは不可能です。
これはオーナーのジョー・レイコブも明言しています。
というのも、彼ら全員を(要求に合った形で)残すとするとGSWのサラリーは何と564Mに到達してしまうという試算があるのです。昨季が346Mだったと考えると、これはちょっとありえない額です。
GSWのロスターを見ると、明らかにフランチャイズは未来に向かっています。優勝と育成のギリギリのラインです。
とすれば、この間、マックス契約の価値があると宣言したドレイモンドの要求(ブラフだとしても)が叶えられることはないでしょうし、クレイも同様です。
結局は各々の選手がどれだけの金額を要求し、フランチャイズがどれだけの金額を出せるのかという問題なので、明言はできませんが、究極的な理想論を話すと以下のようになります。
世代交代をスムーズに行えるようにドレイモンドやクレイにはステフの契約に合わせた短い、安めの契約を渡し、JPとウィギンズにもマックスではない比較的長期の契約を渡す。
…という感じでしょうか。
できるだけ残したいのがフランチャイズの意向なので、残すならそうするしかありません。不可能だとは思います。それでも残せるか分かりませんし…
不可能な場合は、彼らを何とかしてアセットに変えていくと思いますし、そうなれば完全に世代交代です。
ファンとしては綺麗な世代交代を望みますが、契約関係は非常に複雑なのでそんなに簡単な話ではありませんね。
今回の主役はJPなので、最後に彼のシナリオを想像すると…
年間20M前後の4年契約
JPがそれ以上を求めるなら、短めの高い契約を渡す
それでも納得しないならサイン&トレード
といった感じになるでしょうか。
皆が残ってくれると良いのですが、そんなことはあり得ませんね。まだ観戦歴も浅いので、お気に入り選手と応援チームの決定的な別れというのは経験していません。
今回、そうなってしまう可能性が濃厚なのは非常に寂しいですね。
初回から長くなってしまいましたが、今回は以上にさせていただきます。ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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