【NBA】【2024】GSWの激動のオフを振り返る&動きの評価〜マルカネントレードの見通しを添えて〜
こんにちは、ユエです🌓
前回のドラフト記事はいかがでしたか⏬
残念ながら予想は外れてしまいましたが、他チームのルーキーが気になった時に評価が知りたい方はこの記事を頭の片隅に置いていただけると嬉しいです!
(9人中7人は何らかの契約を貰っているはずです)
さて、今回はGSWのオフを振り返る記事になります。
なかなか激動のオフなので長くなる可能性があります。よろしければお付き合い下さい🙇♀
それと、もしお時間があれば、前々回の記事の【GSWの今後】の部分、今と内容にズレがありますが昨季オフの【CP3/JPトレードの評価】の部分も読んでいただけると、内容の咀嚼に役立つのかなと思います。
それではいきましょう!
✅GSWの動きの概観
私の予想では、このオフ、GSWは以下のどちらかの動きをするはずでした。
2ndエプロンを超えてでも優勝を狙うロスターにする
ひとまずタックスラインを下回り、25-26季に備える
果たして、GMダンリービーが行ったのはその折衷案と呼べる動きでした。
一体どういう動きだったのか、時系列に沿って振り返っていきましょう👀
尚、ダンリービーは終始【競争力のあるロスターを構築する】という方針で一貫しており、(これは今後もそうですが)適切な価格であれば若手を放出することを決して躊躇ってはいません。
時系列と共に追っていかないとダンリービーの意図について勘違いも生まれやすいので注意したいところです。
まずは6月28日、GSWはトレードと共に動き始めました。
ドラフト当日に52位指名権を放出し、シャープシューターのリンディ・ウォーターズ3世を獲得。
この後のドラフトナイトでややトリッキーな動きをしており、1度トレードした指名権をキャッシュで買い戻し、ストレッチ5のクインテン・ポストを指名。
トレードにキャッシュが含まれている為、これによって2ndエプロンが超えられなくなりました。
続いてTW契約で大学屈指のディフェンシブガードであるReece Beekmanを獲得。
そして、7月1日にはクリス・ポールをウェイヴ。
彼とウィギンズを使って何か大きな動きをするのではないか、というのは散々言われていたことで、GSWとクリスは契約保証を後ろ倒しにして熱心にトレード先を探していました。
恐らく、ポスト指名時のトレードの時点で1番の狙いであったポール・ジョージの話は行き詰まっていたのでしょう。
それにより契約保証&トレード⇒ウェイヴと方針を切り替えざる得なくなったという印象でした⏬
ポール・ジョージのトレードは若手や指名権を含める形で成立間近とまで報道されていましたが、結果的にはクリッパーズが承諾せずという結末に。
これによって云わばプランA(2ndエプロンを超えてでも補強する)がなくなったことになります。
では、ダンリービーは補強を諦めたのかと言うと、ご存知のように決してそうではありませんでした。
ここからプランB(1stエプロン以内で戦力を最大化)が始まります。
まずは空いたキャップにより使用可能になったフルミドル例外条項で2wayガードのディアンソニー・メルトン(1年12.8M)を獲得。
これにより1stエプロンでハードキャップになりました。
そして同7月2日、ダブネーションを震撼させたあのトレードが起きます。
クレイ・トンプソンのサイン&トレードですね🗿
GSWに在籍し続けること13シーズン。
ステフィン・カリーの最高の相棒として4度の優勝に貢献したスプラッシュブラザーズの弟は、様々な理由からGSWを離れ、心機一転、DALに加入することになりました。
これには心をえぐられたファンも多かったことでしょう😭
再契約をしなかった理由については、色々とまことしやかに語られていますが、ひとまずクレイが言うように新しい場所が、機会が必要だったという理解で良いのではないかと思います(お互いに)。
以下はステフの心温まるメッセージです⏬
尚、投稿には3チーム間と書いていますが、結果的には6チーム間というNBA史上初のメガトレードになりました。
このサイン&トレードにより、GSWは
カイル・アンダーソン
バディ・ヒールド
を獲得。
トレード発生当初はクレイのトレードで発生したトレードエクセプション(TE)を使って2人を獲得したと記者の多くが報じていましたが、計算が合っていないのが個人的には気がかりでした。
CBAGSW氏によれば、実はこのトレードでTEは発生しておらず、大きなトレードの中で普通にサラリーマッチをしたということになっているようです。
記者でも混乱する大型トレードだった訳ですね。
このトレードでGSWが失ったのは、把握する限りは
クレイ・トンプソン⇒DALへ
2031年の2巡目指名権スワップ権+現金⇒MINへ
となっています。
ヒールドはDAL経由の2巡目指名権で獲得しているので、GSWは実質的には何も失っていないようです。
実際、公式で発表されたtransactionには上の2つしか書かれていません。
クレイのトレード発表直後は非難轟々だったダンリービーですが、クレイの協力があったとはいえ、よく成立させたなと思います。
トレードの中に3つのサイン&トレードが含まれているのも異例のことで、非常にテクニカルな動きでしたね。
そして、大きな動きに隠れがちですが、新ACとして、テリー・ストッツとジェリー・スタックハウスを雇用しています。
テリー・ストッツはPORを9年間率いたオフェンシブマインドのコーチとして往年のファンには良く知られています。
(随分昔ですが、実はGSWのACの経験が既にあります)
最近ではMILのACでしたが、僅か4ヶ月の在任期間の後、双方合意の元に解雇されています。
POR時代にデイミアン・リラード、CJ マッカラム中心のOFを主導していたので、ある意味コーチカーと相性が良いかもしれません。
この動きから察するに、コーチカーの感じている課題はファンの思うようなDFではなく、より良いOFだとも言えるでしょうか。
(コーチカーの複雑なOFをより分かりやすくする為に雇用されたようです)
もう1人、ジェリー・スタックハウスはTORやMEMのACを務めた後、ヴァンダービルト大のHCを2019年から務めていましたが、この3月に解雇されています。
コーチカーはスタックハウスについて
と話しています。
どのようなコーチスタイルかは正直分からないので、また記者からの情報などを楽しみにしたいと思います。
そして、現在進行中なのはラウリ・マルカネンのトレードですね。
内容については書いてある通りで、今のところは停滞していますが、やはり競争力を高めるにはどこかの時点で大型トレードが必要という内部的な認識もあるようですね。
ここまでの動きを見ても、それ自体は納得出来るのかなと思います。
ただ、ケミストリーなども踏まえると動きは速いに越したことはないので、動くにしても8月には完了させるのが理想でしょうか。
特にクミンガがトレードに含まれる確率が高いのは多くのファンの顰蹙を買っているようですが、コーチカーはステフィン・カリー以外はアンタッチャブルではないとはっきり言っていますので、トレードトークに含まれること自体はNBAの常という感じですね⏬
最近ではESPNのTim MacmahonがZach Loweとのポッドキャストで『クミンガよりもポジェムスキーを含めないとトレードにならないだろう』という見解を述べていますし、Macmahonの意見を裏付けするかのように、UTAの要求がクミンガ、ムーディ、ポジェムスキー(主な狙い)+1巡目指名権複数であるとのEvan Sideryからの報道もありました。
(GSW側は若手3人を含めるのは不可能だとしています)
この動きについてはまた後ほど述べます。
また最新の動きとして、SLで大活躍中のデイクオン・プラウデンとTW契約を結びました。
記憶する限り、GSWのSL中の契約はあまりなかった気がするので、それくらいインパクトのある活躍だということですね🔥
✅それぞれの動きの評価
これらの一連の動きをどこで分けるかは迷うところですが、ひとまず獲得した選手について1人ずつ簡単に評価することにしましょう。
評価基準は言うまでもないですが、ダンリービーの話すように優勝を狙う為に戦力を最大化させるという1点になります。
今回は星3つ評価でいきたいと思います✨
星1つ:少し気になる点がある動き
星2つ:対価も含め堅実な良い動き
星3つ:非常に良い動き
最後の総合評価も上に準じます。
🚨以下参照するスタッツは特に断りがない限りは23-24レギュラーシーズンのものになっています
1️⃣リンディ・ウォーターズ3世(★★☆)
ウォーターズはローテーションの深いところに入ると見られているシャープシューターです🔫
元々OKCと結んでいた2年契約の2年目(チームオプション)に入ろうというところでトレードされ、GSWにやって来ています。
上で説明していますが、実質的にはウォーターズは金銭で獲得した選手ということになります。
OKCが強くなる過程において若手に押されるような形で昨季はスタッツを落としていますが、3pt中心のスタイル、オフボールムーブ、堅実なDF、サイズ等、GSWにはぴったりとも言える選手です。
ダンリービーも
『そう(スポットを争えると)思っていなければピックをトレードしてまで獲得していないと思う』
と話しており、即戦力だと評価しています。
個人的にはいつかのデイミオン・リーのような短い時間で3ptを数本決めてくれる存在だと期待しています。リーよりもシューター気質、フレームは大きくDFもそこそこ良いという感じですかね。
昨季は特にステフ&クレイ以外からのシュート力が不足していたので、そういった意味でも安価で堅実な動きだったのではないかと思います。
いずれにせよ確率はウォーターズにとって生命線となるので、頑張って欲しいです。
無保証契約なのもポイントです💡
2️⃣クインテン・ポスト&リース・ビークマン、デイクオン・プラウデン(★☆☆〜★★☆)
まずルーキー2人の評価から。
ポスト&ビークマンはドラフトナイトで加入したルーキーでどちらも上級生ということもあり、成熟した良い選手です。
とはいえ、あくまで昨季のルーキー達と比べてですが、かなり大きな期待感があるかというと契約的にもそうではない…ですかね🤔
というのも、元々52位指名権はトレードに出されているので、少なくとも当初は52位相当のプロスペクトよりもウォーターズの方が貢献できると見られており、指名権を買い戻すところまではプランになかった筈です。
(買い戻す前の指名権がOKC⇒PORに渡る動きはGSWが関与できない)
その点も踏まえるとラッキーな拾いものがどこまで貢献できるかという、期待値がややネガティブなところからスタートするのも否めないのかなとも思います。
🟩クインテン・ポスト
ひとまずポスト君ですが、総合的に見て優れたバスケットボール選手だと思います。
(ダンリービーの話を聞くに、リストには居なかったもののプレドラフトワークアウトには参加していたようです)
裸足で213cmとサイズがありながら、リバウンドはもちろん、シュート、パスができ、ACC All-Defenceにも選出されるだけあってリムプロテクターとしての評価も高いです。カウンタードリブルなどはビエリツァを思わせます。
ダンリービーは特にシャリッチやビエリツァのようにサイズがありながらシュートが打てる点、賢さや成熟度などを評価しているようです。
サマーリーグでもそうでしたが、彼の1番の武器は長距離砲だと思います。C&Sが多いですが、シュートフォームが綺麗で動作もスムーズです。フリースローも上手いです。
個人的には運動能力や量、パワーなどが気になるところではありますが、将来的にブルック・ロペスのような選手になってくれると良いですね。
🟩リース・ビークマン
次にビークマン君ですが、上で紹介しているようにDFに優れた小型のガードで既にサマーリーグでもスタッツに現れない部分で貢献してくれているのが分かります。
現在は怪我とのことで、あまり出場できていないのが残念です。
気になる点もちらほらあって、
大学時代のようにメインハンドラーとしてプレイメイクする力はまだ見られていない
2番をプレイするにはサイズ、シュート力、シュートクリエイト力が気になる
ディフェンシブガードというと、GSWファンにはGPⅡが浮かぶと思いますが、彼はフロントコートのような動きができる運動能力+IQがある為に重宝されているので、やや毛色が違います。
メインハンドラーとしての能力、シュート力次第でビークマンの今後は変わりそうな気がします。
昔のGPⅡがなぜNBAに定着できなかったのかを考えると一層そう感じますね。
🟩デイクオン・プラウデン
プラウデンはこの中では即戦力感が1番強いですね。
一応ハンドルもできるアスレチックシューターで、過去に在籍したウォリアーと比較するとグレン・ロビンソン3世が近いのではないかと思います。
とにかく運動能力、運動量に優れた選手で、OFではオフボール中心に動き、DFでは執拗なチェイスからブロックをかますなど頼りになる選手です。
時折向こう見ずなパスミスがありますが、フィニッシュ力、シュート力、運動能力、サイズ、スピードとバランスが取れているのも魅力でしょうか。
ロングスリー、トランジションスリーなども普通に決められるのは評価が高いです。
既にGSWファンの心を掴んでいるハッスルガイなのでこれからの活躍が楽しみです🔥
🟩この節のまとめ
ルーキー2人はTW契約(ポスト君は見込み)ということで、昨季のルーキー達よりも試合に出る見込みは低いと見る方が自然でしょう。
ただ、ポスト君はロスターの中で唯一といっても良い武器を持っているので、もし機会があれば早いうちから使われそうです。試すなら早目に試してほしいですね。
(ルーニーがどんなシーズンを過ごすかにも依るでしょうか。シーズン終盤に15番目を埋める筆頭候補にはなりそうです)
プラウデンは案外とキャンプで爪痕を残して、早い段階からスポット的に使われるのではないかと予想しています。
現時点の序列としてはサントス、ウォーターズよりやや落ちるくらいですが、コーチカーが好みそうなタイプでもあるので、上手くいけば彼もシーズン終盤に15番目を獲得する可能性がありそうです。
総じて良い3つの契約だったと思いますが、特にルーキー達の評価がかなり難しいので、今のところは星1つ半としておきます。
3️⃣ディアンソニー・メルトン(★★☆〜★★★)
ディアンソニー・メルトンの契約は色々な意味で良かったと思います。
ここ3年間、毎年2桁得点を残しているメルトンはGSWが求めているガードからのスコアリングオプションとして活躍できると思いますし、STL能力、対人DF力も高いです。
メインポジションはSGですが、PGも務められますし、ミスも少ないです。
特に昨季は
平均AST3.0に比してTOVは1.0
AST/TO比が2.92でキャリアハイ
とセカンダリーハンドラーとしての安定感を示しました。
平均NETRTGが+10.0というのも素晴らしいです。メルトンは(初年度以外は)キャリアを通して常に+を記録しているので、チームの勝利に貢献できるタイプだと思います。
クレイが抜けた今、彼とヒールドがクレイの実質的な穴埋めになるでしょう。
2人で約20Mですし、昨季のクレイと比べると金銭的にはどう見てもお得ですね。
やや気になるのは昨季の出場試合数を38に留めた背中の怪我の具合で、唯一の不安要素になります。
評価は星2つ半ですね。
1年契約というのも悪くないです。
4️⃣カイル・アンダーソン(★★★)
今回のカイル・アンダーソン獲得は個人的には最も好きな動きです。
ここ数年欲しかったので特に。
やはりハンドラーができるフォワードというのが大きく、あまりP&Rを扱わないGSWのフォワード陣(10%前後)と比べると、アンダーソンはP&Rハンドラーの頻度が20.2%とちょっとしたガード並みの数字になっています。
(ドレイモンドはピックをほぼ使わないので、そこで差別化はできそうです)
加えて、視野やIQに優れ、メルトン以上にミスが少ないパサー(AST/TO比が3.64)でもある為、ボールムーブメントを重視するGSW、オフボールムーブを得意とするガード陣との相性も良いと思います。
何より彼をフロアに置くことによってサイズ(206cm)とDF力(DFRTG105.1は30試合以上出場したMIN選手の中で3位)をも担保できてしまう1粒で4度美味しい選手になっています。
(3ガードを確実に減らせる筈です)
スローモーというニックネーム通り動きは遅いですが、逆にそれが彼の武器になっていますし、案外とトランジションなどは速いです。
またアウトサイドシュートは非常に苦しいものがあり、確率も壊滅的ですが、例えばミスマッチを背負ってのプルアップミドルジャンパーは意外とスムーズです。
引き出しが多く、自分の土俵で戦える賢さを持つ選手なので、かなり期待しています。
ちなみに契約は3年27.6Mで
2年目までは全額保証
3年目の9.6Mは無保証(2026年6月29日に全額保証)となっています
年数、契約金含め文句なしの星3つです✨
5️⃣バディ・ヒールド(★★★)
もう1つの神ムーブだったのが、バディ・ヒールドの獲得ですね🏊
個人的にクレイの退団によって1番心配だったのが、ここ半年くらい言い続けている3ptのバランス問題ですね⏬
これは最近ダンリービーも言及していた部分ですが、ステフ&クレイに打たせまくるスタイルは結果的にその他の選手のアテンプトを制限する形になってしまい、2人の調子如何で試合の結果が決まってしまうリスクを秘めていました。
(この部分については一昨年のロスターの方が理想的で、ステフ&クレイに加え、プール、ウィギンズ、ディヴィンチェンゾも平均5本以上アテンプトしていました)
もちろん、今季はブランディン、モーゼス、ウィギンズらの試投&成功も鍵だと思いますが、やはりここにヒールドというリーグ屈指のシューターがいるのは非常に大きいです。
この投稿の画像にもありますが、ここ5年でステフ以上の3pt成功数を誇り、この間の成功率は39%を超えます。
(この間、ステフは1つだけ全休に近いシーズンがあります)
また同じくここ5年間の得点に占める3ptの割合は平均65%前後と少なくとも昨季についてはステフ&クレイ以上です。
加えて、速攻からの得点も得意としていて、総得点のうち速攻の割合は約20%と昨季のクミンガよりも高い数値になっています。
GSWが1番良い状態なのは堅守速攻を繰り出せる時なので、これはなかなか重要なポイントです。
SGとしてのハンドル、アシストも及第点といった感じですし、長いキャリアを通じて常に2桁得点を平均し続けているのも大きいです。
DFについて良い評判は聞きませんが、ダンリービー曰く、オフボールDFは優れているとのことなので、期待したいところです。
このレベルの選手を特に何かを放出することもなく安価に契約している(+契約の柔軟性も高い)ということで、動きにケチをつける要素が見当たりません。
ヒールドの契約は4年37.7Mで
2年目までは全額保証
3年目9.6Mのうち3.0Mのみ保証、2026年ドラフトの翌日に全額保証
4年目10.0Mはプレイヤーオプションかつ3.1Mの部分保証、もしオプション行使した場合は2027年ドラフトの翌日に全額保証
とやや特殊な契約になっています。
クレイがいなくなった直後に優秀なシューターをアンダーソンと共に獲得したダンリービーの手腕たるや、ですね。
これも星3つです✨
6️⃣ここまでの総合評価(★★☆〜★★★)
ここまでの総合評価は星2つ半です🌠
全体の動きとして優れた点を列挙すると
1年前からの既定路線であったクリス・ポールのウェイヴ⇒1stエプロン未満での戦力の最大化を目指せている。恐らく昨季よりもチーム力は総合的に上
クレイ・トンプソンの退団というフランチャイズにとって衝撃的な出来事を複数のサイン&トレードで上手くカバーしている
選手の獲得にコストがあまりかかっていない(クレイ、2巡目スワップ権、現金)
選手の契約に柔軟性が保たれている
とステフの残り少ないプライムを視野に入れた動きになっています。
このままのロスターで行くとしてもそれなりには戦えると思います。
ウィギンズも必死にトレーニングしているようですし、クミンガやポジェムスキーも更に成長するでしょう。
コーチングや健康面などが上手くいけば、もしかするとPO圏内に留まることもある…かも知れません。
が、優勝となると、内部的な認識がそうであるようにどうしてもスターパワーが足りていません。証明されたスターがステフだけというのはプレーオフで大きな弱点となるでしょう。
このあと一押し、星半個の動きが散々言われているラウリ・マルカネン獲得になるわけですが、さてこれはどう考えるべきなのか🤔
次の章で詳しく見ていきましょう!
✅ラウリ・マルカネンを獲得?
このオフシーズン、ずっと物議を醸しているのがマルカネントレードの是非についてですが、皆様はどうお考えでしょうか。
恐らく未来を重視するか、今を(できる範囲で)最大化するか、という2派に分かれるとは思います。
上で見たようにマルカネン獲得の対価は決して安くありませんし、色々な意見があるのも頷けます。
個人的には以下の条件付きですが、マルカネン獲得には賛成です🤔
(ただし条件達成が難しいのである意味で反対なのかも知れません)
ポジェムスキーを取引に含めない(若手は出して2人まで)
指名権を出すのはスワップ権含め合計6個くらいまで(例:1巡目×2、スワップ権×2、2巡目×2)
マルカネンが大きな金額を望みすぎない
これらを同時に満たす場合のみ賛成です。
以下、詳しく見ていきましょう。
0️⃣前提となるお話:マルカネン獲得がなぜ必要なのか
振り返れば、マルカネンに限らず、先日のポール・ジョージ獲得交渉、昨季TDLのレブロン獲得交渉等、この問題(若手を放出して即戦力を獲得)はここ数年続いています。
この間、目立った若手としてワイズマン、プール、ボルドウィンらを放出していますが、結果として一昨年はプレーオフ2回戦敗退、昨年はプレーイン敗退と芳しい結果は出ていませんし、ステフ&ドレイモンドも年齢を重ねています。
ステフと共に勝つという方針自体は薄っすら見え続けているのに、動き自体はいまいち勝ちに繋がっていないというのが現状…なわけです。
先日、ダンリービーはインタビューでステフのプライムを最大化すると話しており、だからこそ今はマルカネン獲得に全力を尽くしています。
ここでよく聞くのが
『マルカネン獲得で優勝できるの?』
という問ですが、これにはあまり意味がないと考えています。
どんなロスターを構築しようが優勝確率は100%にはなりませんし、いずれにせよ運も絡む茨の道です。
重要なのは、ステフがいる間にできる限り勝つこと、プレーオフに出て優勝を争うということです。
それがステフィン・カリーという稀代の選手を抱えているチームの宿命です。できる範囲でやるしかない訳です。
(勝つことのメリットは言うまでもないことだと思いますが、単純にファンとしても勝ち進んだ方が面白いですよね)
現実として、ダンリービーは優勝を争う為、勝つためにできる範囲で賢くロスター構築を続けています。
これは見てきた通りです。
今のロスターに平均23得点超、213cmのオールラウンダーであるマルカネンを獲得できれば、チーム内に明確なナンバー2が生まれ、ロスターバランスも非常に良くなりますし、5アウトやビッグラインナップも組めます。
何より約18Mというマルカネンの契約金は1stエプロンでハードキャップになっているGSWとしては唯一と言って良いほどの選択肢・アップグレードなわけです。
(故にナンバー2といっても、契約金の大きなイングラムやラヴィーンがターゲットではない)
また年齢もまだ若いため、レイコブの言うようにこれからもロッタリーチームにならず、フランチャイズとしてヒートのように勝つことに拘るのであれば、マルカネンを若手と共に今後数年戦える選手としても見ることができます。
とはいえ、若手も指名権も全部出せば良いのかというとそれも間違いで、全てとなると流石にフランチャイズが今後何年も泥沼に沈んでしまいます。
(上で見た報道されている要求内容は"あくまでモーゼス中心+指名権のアセット↓ではお話になりませんよ"という意思表示、返答だと見ています)
となると、UTAが興味を示しているポジェムスキーかポテンシャルトップのクミンガを加える必要があります。
更にマルカネンの契約金以上の額を出さないとハードキャップを超えてしまうので、サラリーフィラーとしてルーニーかGPⅡを加えることも必要になります。
あとは指名権という感じですが、1巡目2枚+スワップ権2枚+αくらいは必要になるでしょうか。
今回はポジェムスキーを加えない前提で話しているので
クミンガ
モーゼス
サラリーフィラー
指名権複数(要求次第で変わる)
というのが現実的なアセットになると思います。
1️⃣なぜポジェムスキーを残すのか
ポジェムスキーかクミンガを残せと言われれば、前述のようにポジェムスキーを選びます。
マルカネン獲得後のロスターバランスという意味でもそうですし、ポジェムスキーは間違いなくWinning Playerです。
(数値で示すとすれば、昨季の振り返り記事で述べたように、チーム内で断トツの+値トップだったことが挙げられます)
実際、ポジェムスキーが居なくなるとガードのローテーションが一気に辛くなりますし、ショットクリエイター、ハブ、リバウンダー、パサーとオールラウンドにこなせる彼は既にチームの潤滑油的存在でもあります。
マルカネン獲得後のスターパワーが増すロスターにおいて、万能なポジェムスキーの存在は一層重要になるはずです。
アンソニー・スレーター氏は
とポジェムスキーの特別さについて述べていますし、オーナーのジョー・レイコブもサマーリーグで『彼を未来のオールスターだと見ている』と話していますね。
オールスターになれるかはともかく、彼のバスケットボール選手としての優秀さは特に日本人ファンの間では愛されているように感じます。
逆に体感として海外ファンはクミンガを残せるならむしろポジェムスキーのトレードは歓迎、というスタンスの方が多いですね。
もちろん、クミンガのポテンシャルは今でも信じていますし、成長を見守りたいとは思いつつ、気になるのは25-26季から始まる延長契約ですね。
クミンガが年に35〜40Mの契約を求めるだろうという噂があります。
上記金額×5年の延長契約を結ぶと大体200M前後の契約になりますが、これは果たして適正なのかという話ですね。
同世代でこのレベルの延長契約を結んだヤングスターにはケイド・カニングハム、スコッティ・バーンズ、フランツ・ワグナー等いますが、彼らはいずれも若いチームのスターであり、将来のフランチャイズを担い、これからその選手を中心にチームを作ることがある意味で約束された選手達です。
一方でGSWの中心はいまだにステフ(&ドレイモンド)であり、クミンガではありません。
クミンガが将来的に40M級の選手になる可能性はもちろんありますが、あくまで可能性ですし、信じるか信じないかの抽象的な話になりかねません。
少なくとも現状、出ているものだけを見ればその価値はありませんし、そもそも40Mに相応しい選手というのも若干ふわっとした話です。
(2022年時点のジョーダン・プールに年30Mの価値があるのかという議論に近い気がします)
ラインナップ的な視点で見ても、1番にステフ、2番にポジェムスキー、3番にクミンガよりも3&D味が強いウィギンズ、4番、5番をドレイモンドとマルカネンが埋めれば、ポジェムスキーとドレイモンドが他の3人のOFを創り出す攻守でバランスの良いラインナップが完成します。
クミンガのポジションはウィギンズやマルカネンで埋められますが、個人的にポジェムスキーは代替が難しい特殊な選手です。
本人の言うように味方が出来ていない部分をカバーできる賢さとスキルがあり、どのラインナップにもはまります。
極論にはなりますが、チームの中心としてフランチャイズを背負うという意味なら、世代交代がある程度終わっているであろう3年後、ポジェムスキーにマックスを出したいと個人的には思います。
もちろん、ここまでの話というのは
クミンガを中心にマルカネンを獲得すること
クミンガがマックス相当の契約を望むこと
が前提となっていますから、そうでない場合(マルカネンが獲得できず、クミンガがマックスを要求しない)は動かす必要性はゼロです。
クミンガが例えば5年140M〜150Mで残ってくれるのならばありがたいと思います。
どうもGSWとそれ以外ではクミンガの価値が異なるようですから、下手に大きな契約を渡してしまうのは避けたいところですね。
(まあ、高くなるとは思います)
2️⃣マルカネンのマックス要求と将来的に待ち受けるタックス地獄について
現時点でマルカネンはUTAとのマックス延長契約を望んでいると言われています。
もしGSWが獲得するにしても、マックス自体はポール・ジョージにも約束していたという話なので、次のシーズン後にマルカネンとマックス再契約をするつもり、かもしれません。
ただ、マルカネンが今すぐ大きな金額を受け取りたいとなると話は違います。
CBAによりベテラン延長の昇給率は40%と定められており、現在のマルカネンの契約ではマックス延長契約が結べません。
(初年度25Mスタートの4年113Mの延長契約は既に可能)
UTAとマルカネンが現地8/6から可能になる再交渉&延長契約というのは、チームがキャップスペースを使って24-25季の彼の契約に15Mほどを上乗せして約33Mにし延長契約をマックス相当にする、というものです。
つまり、キャップスペースがないどころかタックスラインを超えているGSWがマルカネンに今季望みの契約を渡すことは不可能であり、そこをマルカネンが嫌えば、そもそもトレード自体起こり得ないということになります。
これについてはGSWだけでなく殆どのチームが不可能なので、もしマルカネンが今すぐより多くのお金を求めるならば、むしろUTAから動かされるのは理想的ではありません。
UTA側の視点だと、いまいちタイムラインに合っていないように見えるマルカネンに高額契約を提示するのは不自然には見えますが、そこがトレード交渉をしている理由ではあるのでしょう。
GSWCBAによれば、仮にGSWがマルカネンを獲得したとしても今季(24-25)はマルカネンと延長契約がやはり難しい(上記の理由:市場価値以上の延長契約を結べない)為、契約満了後の再契約になるだろうと言われています。
その額、最大で5年269Mとなっていますね。
正直、ステフの延長契約(年60M以上)がある以上、この額をそのまま出すのは苦しいと思います。
が、もしGSWがマルカネンにマックスは出せないとなると1年レンタルになってしまう可能性がある(それに対してクミンガは当然出せない)ので出さざるを得ません。
そこは何とか減額交渉をしてほしいものです。
また、これが1番の問題ではあるのですが、もしポジェムスキー中心のアセットでマルカネンを獲得する場合、近い将来にクミンガ、ステフ、マルカネンの高額契約にドレイモンド、ウィギンズの契約を抱えることになりますから、せっかく抜け出した高額タックス地獄に逆戻りということにもなります。
(簡単に計算しても5人で200M前後にはなるので、結局誰かしらの放出が見えてきます。もしこれがエインジの狙いだとすればなかなか性格が悪いですね。ポジェムスキー放出は色々な意味で悪手だと思います)
つまり、GSWとして理想的なのは
マルカネンを獲得するならマックスでなくても高額延長が見えている+ポジション的に余裕があるクミンガ中心の現実的なアセットで
もしマルカネンを獲得できたとしても、延長契約はできる限り抑えたい(年35〜40M)
マルカネンを獲得できず、このままのロスターで行くとしても、翌年以降クミンガを高すぎない契約で引き止めたい(年30M前後)
ということになるでしょうか。
マルカネンを獲得したい派ではあるのですが、如何せん条件が厳しいので獲得したいけどできないだろう派になりそうです😭
今後については選手との交渉によるところも大きい印象ですね。
✅終わりに:今回のまとめ
いかがでしたか。
今回はこのオフのGSWの動きを俯瞰しつつ、個人的な評価を述べ、今進行中のマルカネントレードの現実的な見通しについて長々と綴ってきました。
ここまでのオフシーズンの動きは恐らく多くのファンは予想していない動きですし、出来過ぎと言っても良いくらいだと思います。
クレイ、クリス、ダリオらの退団を上手くカバーしつつ、より若く実力も伴った安価なロスターに仕上がっています。
このオフに入る前のGSWの困難な状況はその多くががマイヤーズ政権晩期のミスだったり、不運だったりによるもので、勝てない上にお金を大量に払うという閉塞感に満ちていました。
ダンリービーはそれを1年ちょっとで健全な方向に軌道修正しています。
特にプール/クリスのトレード、クレイのサイン&トレードは、感情面を抜きにすれば素晴らしい動きとしか言えません。
もちろん、既に欠かせない存在になっているブランディン&トレイスのドラフトもそうです。
今季のロスターにフロント陣も自信を覗かせていますし、確かに感触は良い感じです。
ただ、ダンリービーも言うようにまだ改善すべき領域はありますし、それは恐らくスターパワー不足とポジションのアンバランスさ(純1番がおらず、2番、3番が多い)、サイズのことだと思います。
1つ目については、今回マルカネントレードの見通しという形で述べましたが、これが成立するとロスターに空きが出る為、ポスト君にSRPEを適用したり、ベテランミニマムで誰かを連れて来るのかも知れません。
(現時点ではハードキャップまで0.5Mほどの余裕しかない為、ウェイヴやトレードなしではベテランミニマムすら使用できません)
マルカネン獲得が成立しなければこのままシーズンに突入する蓋然性が高いですし、シーズン中のチームの勝利数を見て、TDLで大物獲得に動くのか、タックス回避に動くのか決めることになりそうです。
こちらの方が柔軟性はあるかと思いますが、TDLで必ずしも理想のターゲットがいる訳でもないので、どうせ動くなら早目にマルカネン獲得をしたいというのが本音です。
しかし、見てきたようにマルカネン獲得にはアセット以外にも障害がありますので、難しいことに変わりはありません。
予想としてはトレードは成立しなさそうですが、それはそれでクミンガの成長に賭けることが出来るので楽しみです。
延長契約は安くしてほしいですが……🙏
また、ここまで一切モーゼスがトレードに含まれることに言及していませんが、これは意図的にそうしています。
(あまり良い見通しが出てこないので)
といったところで今回はここまでになります。
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