
思ひ色々
今宵もまた唇に紅を点し、冷えた床《とこ》に足を置く
私からすれば苦でしかない舞を踊る
幼き頃は貴方のとなり
届けとなんとも祈っては返事などなく
誰《た》がために舞う赤い召し物は魔除けにもなるらしい
貴方のもとへ続いてくその糸をきつく結んで私から離れないと誓っておくれ
夜長の暗がりで迷子になった私を助けた貴方へ舞い降りた悲劇
この召し物を千切ったら契りを交わせると何度願ったことか
私が不香の花ならば不幸にならずに添い遂げていたの
月が巡るたび思い続ける思ひ色の髪飾り
日の落ちた鳥籠に乱れる髪よ
私も空へ向かって祈る
朧月の方へと
清くなるなら、結ってくれるのなら何度でもまってあげよう
傍観者など造作もないさ
紅《くれない》の糸届くならば
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今宵も悔やみ紅を点す。
涙など見せていられるかと目を閉じる
見世物に成り果てた舞踊る
赤白黄色さまざまな色彩で彩られる鳥籠の外
歩めも下がれもできず進めば血色浴びせられて頭を下げる
返り血なんておしろい隠して真白の嘘塗り
嘘塗りの偽り
貴方も知らない傷も愛してくれますか
何度だって恋慕う
紅《くれない》の糸手繰り寄せるならば