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宇宙戦艦ヤマトよりアルカディア号が好きだった
2013年4月3日にfacebookに投稿してた文章。
またハーロックあるのかー。
ふと、子供の頃から僕が好きだったのはヤマトではなく、ハーロックだった。ヤマトよりアルカディア号のクルーになりたかった。ヤマトは規律正しい人たちが集うエリート集団だけど、アルカディア号のクルーは変人、奇人ばかりだ。ヤマトの船内はチリ一つないけど、アルカディア号はモノが溢れ、カオス状態。整理整頓なんて全然できてない。ハーロックの思想は、いざという時にちゃんと仕事すんなら、普段は何をしてようが構わないという放任主義だ。
僕の理想の組織ってのはアルカディア号に近いなーと今さらながら思った。
今も、同じように思ってる。
宇宙戦艦ヤマトもキャプテンハーロックも巨匠松本零士先生の作品で、どちらも宇宙を「海」に見立て、その海を「宇宙戦艦」が航海し、様々な敵との戦いやドラマがある。この両作品にでてくる「宇宙戦艦」はまったく違うキャラクターを持っている。
宇宙戦艦ヤマトの方は地球の代表として地球の危機を救うために航海をしていることもあるが、基本クルーは皆エリートっぽい。きちんとした制服を来て皆規律正しく行動する。艦長を頂点に古代進のリーダーシップで組織が運営されている。船内も整理整頓清掃もしっかり行き届いていて乱れがない。きちんと各分野には班長がいて統率が取れている。
一方、キャプテンハーロックはまったく違う。ハーロック一味は「宇宙海賊」であり、基本自由だ。「大宇宙に己の旗を掲げ自身の信念の下に生きる」というのが彼らのポリシーである。実は、ハーロック達も地球侵略をたくらむ異星人と戦ってはいるのだけど、地球人からも海賊として恐れられている。
ハーロック一味が乗船する「アルカディア号」は規律正しいヤマトとは正反対だ。アルカディア号では有事の時以外は、めいめいが好き勝手なことしている。Wikipedeaにもこんな説明がある。
副長のヤッタランを始め乗組員達は普段は規律も何もない怠惰な生活をしており、『ニーベルングの指環』では食堂が何年も掃除されていないなど、居住スペースの乱雑ぶりが露呈している。しかし、いざ戦闘となると一変して各自の役割を一糸乱れぬ統率でこなしている。これはハーロックの「本船は我々の家でもあり、家の中でまで畏まっていては何もできない。いざという時にやるべきことさえやればそれでいい」という考えによる。
船員はたった40人。なので操舵手も決まった人がいるわけではなく状況に応じて対応している。
アルカディア号のクルー達は、皆プロフェッショナルだ。そして、皆それぞれを信頼してるので、良い意味で他人にそこまで興味がない。
例えば、ヤッタランという艦内一の大食い、太っちょのキャラがいる。いちおう副長という立場なのだが、いつも趣味のプラモいじりをしていて、誰かに何か頼まれても「今忙しいねん」と適当に流してばかりいる。
『エリア88』がトレンド入りしてるが一番に浮かんだのは
— 流浪のグリモア (@Petix21) January 13, 2020
『宇宙海賊キャプテンハーロック』のヤッタラン副長
エリア88の原作者、新谷かおる先生がモデルらしいですw#エリア88#宇宙海賊キャプテンハーロック#ヤッタラン副長#新谷かおる pic.twitter.com/OQKwfxHKzn
しかし、彼はアルカディア号のシステムや構造に精通していて、メンテナンスや改装は全て彼が手掛けている。
ハーロックはとことんヤッタランを信頼している。「彼が戦うのは本当の危機が迫った時であり、彼が遊んでいるうちは皆安心していられる」(wikipedia)と、彼が自身の趣味に没頭してることを意に介していない。
アルカディア号の紅一点、有紀螢(ゆうきけい)は戦闘指揮官としてスペースウルフの操縦もこなす。本来はレーダー手だが操舵手にもなれる。また、ハーロックの参謀的役割もこなす。漫画/アニメの設定では16歳だが、日本酒を飲み干し、三味線もこなす。
アルカディア号では年齢関係なく大きな役割が与えられる。この辺でも他の乗組員と揉めたりすることはないようだ。皆、自身がプロフェショナルでいられる役割や場所でパフォーマンスを発揮することだけを考えている。
誤解を招きそうなのできちんと説明しておくと、自分自身がハーロックのような強いリーダーを目指しているわけではない。あんなカッコいいリーダーになれるとは全く思わない。そこまで寛容でもいられない。
また、会社なので「有事の時以外なにやってても良い」なんてことは流石にない。日々の仕事、活動はすごく重要だ。
あくまでも組織としての理想の1つがアルカディア号というだけだ。アルカディア号の魅力を会社組織に当てはめて考えてみるとどうなるか。やや強引にはなるが、自身が理想とする組織の在り方と照らして考えてみた。
各メンバーが、自身が最もパフォーマンスを発揮できる領域を自ら選択してそこに注力している。主体性・自分事化。
しかし、自分のしたいことだけをしている(したくないことをしない)わけではなく、今のメンバー構成において担わなければならない役割を考えて行動している(っぽい)。チーム/組織への貢献意識。
良い意味で、皆が他人には無関心/寛容であり、皆がお互いプロフェッショナルであることを信じている。他律ではなく自律。
リーダーとしてのハーロックは最終的な責任は取るが、基本はメンバーを信じきっていて任せている。メンバーもハーロックの信頼に応えようとしている。信頼ベースのマネジメント。
こんな感じになるだろうか。
目的が明確ではっきりしてて、プロジェクトを確実に遂行していく、という意味では「ヤマト型」の組織づくり、マネジメントはしっかり機能するのだと思うけれども、ハーロックの世界のような、敵もぼんやりしてるし、集まってるクルーも「自身の信念の下に生きる」みたいな、個々人がどうありたいか、どう生きたいかと考え、それを追い求めてる人が集まってる組織においては、「ハーロック型」の組織のほうが適してるのではないか。