![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/148996087/rectangle_large_type_2_1be7431a3bdaa77e065a3da1abe20337.png?width=1200)
それでも今回はクラファンを選択した
実は、新商品のリリースにクラファンを使うのは、もうやらないつもりでした。僕らは12/JU-NIシャンプーで初めてMakuakeを使わせてもらい、それで自社ブランド事業の展開が大きく飛躍しました。なので、Makuakeには凄く感謝しています。
ただ、昨今のクラファンの盛り上がりや活用を見ていて、もう自分達としてはあまりこういうプラットホームを使うべきではないではないか。そんな風に考えてました。理由は色々です。自分達のメリット、デメリットみたい話もあれば、ここまでクラファンが普及して、ある種、新商品リリース時の一つの選択肢として定着してしまったが故に、企業全般にとっても、消費者にとっても、あんまり好ましくないことが起きてるなとも感じていたからです。
クラファンからうまく商品をリリースできて、その商品が育っていけば理想ですが、今のクラファンでは、大半はクラファン時が頂点で、その後はほとんど売れない、商売にならないというパターンが多いのではないかと思います。それはプラットホームの問題と言うより、クラファン実行者側の問題でもあります。でも、良くも悪くもクラファン活用の敷居の低さもあるし、プラットホーム側も、その後に売れる売れないはビジネスにはあまり関係なくて、究極言えば、クラファン時に最大金額集まることが大事なわけで、そいう関係や構造が絡まって起きてる問題でもあるなとも思います。
クラファンがどうしても互酬性に依拠してしまいがちなのも気になっていました。共通の属性を持っているコミュニティの中の誰かかがクラファンをするとします。純粋にそのチャレンジを応援しようという動機だけなら良いのですが、どうしても「応援しないと応援してもらえない」という不安があったりで、皆が応援してるから仕方なく、というような強制力が働くことはあるんじゃないかなと思います。「クラファン疲れ」「クラファン貧乏」みたいな言葉も聞いたことがあります。近しい人や同じコミュニティに属する人がクラファンを始めるので、応援せざるを得ない。その数が近年増えすぎて辛い。そんな状況もあったりします。
「応援購入」そのものは、素敵な消費行動だなとは思いますし、僕も何かモノを買う時には、できるかぎり知っている人が作ってるもの、知ってる人が売っているものを買うようにしています。それはモノそのものの魅力もありますが、「応援」や「支持」という意味合いもあります。
ただ、これも行き過ぎると、「応援」という名を借りた互酬性を伴う儀式のようになってしまったり、そうなるとあまり健全とは言えません。一部、クラファンがそういう儀式の場になりつつあるようにも思えたのです。
そんなことを散々考えて、クラファンはそんな安易にはやるべきではない、と思っていたのですが。でも、今回はクラファンを選択しました。申し訳ないです。
商品の性格や100周年などの背景を考えると、お披露目にはクラファンが一番適していると思ったからです。
今回の商品は「固形石鹸」です。普通に新商品としてリリースしても、仮に何かしら展示会に出したとしても大した反応は得られないと思います。
勿論、今回開発した固形石鹸は、自信作です。辛口の社内評価でも多くの人が高評価をしています。何度も何度も製造してはテスト、製造してはテストを繰り返して、やっと完成したものです。
でも、この固形石鹸には分かりやすい新機能や、一目で分かる具体的なユニークさや新しさはありません。固形石鹸自体も別に目新しいものでもない。最初に買ってもらうハードルも、使ってもらうハードルもかなり高いわけです。どんな形にせよ、新商品です!固形石鹸発売開始です!とアナウンスしただけでは、この商品自体に興味を持ってくれる人は少数だろうと思います。
一方、製造には2ヵ月以上の時間がかかります。丸い形に切り出した石鹸は、適切な温度下で2ヵ月保管して熟成させる必要があります。新商品として発売タイミングで、どれぐらい売れるかが読めない中では、そんなに数を作ってもただ在庫が増えるだけかもしれません。製造に2ヵ月かかるので、生産スケジュールや需要予測も他の製品に比べて、かなり難易度が高い商品です。
そんな中、クラファンは機能としては「予約販売」の側面があるので、初期段階での需要に対しての生産量の調整がしやすいというメリットがあります且つ、弊社は今年100周年。100周年に絡めて、創業時は手掛けていた固形石鹸を復活させる、というストーリーは、ある種「お祭り」のような立付けにしやすい。
そう。このタイミングでは、固形石鹸のリリースをある種の「お祭り」にして、多くの人に知ってもらう、商品を買ってもらうきっかけにする。逆に、このタイミングではそれしか、固形石鹸をうまくリリースする方法がないのではないかと思ったわけです。
スタートして本当に多くの方が買って頂き、素敵なコメントを残してくれました。サポーターの数に対して、応援コメント数が異常ということで、Makuakeの担当も驚かれてました。
こんなことはそんなしょっちゅうやれるものではないと思います。
ある方が「クラファンは信用の前借り」と言ってました。クラファンを「信用」の換金装置、みたいな表現で説明する方もいましたが、個人的には「前借り」のニュアンスはあるかなと思ってます。換金装置なら、信用を蓄積していれば何度でもクラファンはうまくいくってことになりますが、「前借り」だと、しょっちゅうやってると、「またか!」ってなります。「前借り」だと、あまり頻繁に実施するのは躊躇われます。
「前借り」だと、支援頂いた後に、その商品やその後の活動で何かしら「返済」をしていく必要がある。そこで裏切ってしまったら、もう二度と「貸して」もらえなくなるんじゃないか。そんな風に考えることもできる。
固形石鹸のクラファンは残り7日です。商品には自信はありますが、それでも不安はあります。応援頂いた方の期待を満たせなかったらどうしよう。期待を煽りすぎてしまってるのではないか。もうすぐ答え合わせです。
あ、関係ないけど、今日が本の発売日です。こっちもドキドキですね。