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【企業分析・ARM(アーム)】隠れた勝者:世界を動かす半導体企業

〇企業概要

・ARM(アーム)は英国ケンブリッジに本社を置く半導体設計会社です。ソフトバンクグループが2016年に320億ドルで買収しました。2020年にNVIDIAが約400億ドルで買収する意向を示しましたが、実現していません。NVIDIAは現在1億4,734万ドルを当社に投資しています。
 2023年9月にはNASDAQへIPOしています。世界を牽引するリーダー達が欲しがった企業の魅力に迫りたいと思います。

〇事業内容

≪ビジネスモデル≫

【IP種類】出典:ARMホームページ https://www.arm.com/products

・ARMは半導体設計会社です。当社が設計したCPU製品等は高性能かつ低コストで製造出来るものであり、そのライセンスを提供しています。エネルギー効率の良いCPUはスマートフォンに適しており、世界中のスマートフォンの99%以上に当社の設計図(IP)が使用されています。他にもタブレット、ウェアラブル(AppleWatch)、ソフトウェア、車載、グラフィック、家電等に当社の技術が利用されています。また、ファブレスで設計図という知的財産権で商売を行う為、非常に利益率が高いビジネスモデルとなっております。

※CPUとは:CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)は、コンピュータの主要な部品で、ソフトウェアの命令を解読し実行する役割を担っています。しばしばコンピュータの「脳」と比喩され、その計算能力はコンピュータの性能を大きく左右します。

≪売上構成≫


・当社の売上は主に下記①,②となります。

①ライセンスフィー:半導体設計図の利用料
②ロイヤリティフィー:当社設計図を利用した半導体出荷時に発生する料金

この収益モデルはとても戦略的なものです。一度ライセンス契約を結ぶと長期的な利益を確保することが可能な為、①,②を低価格に設定し市場シェアをまず拡大してきました。
 半導体需要が増加する中、既に取引先基盤が出来上がっており、結果的に市場をほぼ独占した状態になっております(特にスマートフォン)。また、低価格に設定していた①,②の値上げ余力があり、強気に交渉出来る立場になったということです。

≪強み≫

【直近ハイライト】出典:ARMホームページ https://investors.arm.com/

①高い市場シェア:世界人口の70%がARMベースの製品を利用。ARMベースのプロセッサで稼働するスマートフォンが99%。
②好採算事業:ファブレスで考え抜かれたフィービジネス。フィー増加による利益が期待される。
③半導体需要増加:これまでに半導体企業へ出荷されたARMベースのチップは2,800億個以上。当社設計図なしでは成り立たない企業が多数。

≪AIに対する優位性≫

・ARMの技術は、省電力設計で知られ、エネルギー効率が重要な要素となるモバイルデバイスやIoTデバイスに関して、AIアプリケーションの実行に最適な基盤を提供します。また、ARMはエッジコンピューティングとAIの統合にた技術開発にも注力しており、AI処理をデータの発生源に近い場所で行うことで、応答時間の短縮とデータセンターへの負荷軽減を目指しています。

〇業績

≪第3四半期決算:2024年2月発表≫

◆EPS:$0.29 (予想$0.25) 次期ガイダンスは$0.28~$0.32(予想$0.21)
◆売上高:8.2億ドル(予想7.6億ドル) 前年比+14%  次期ガイダンスは8.5億ドル~9.0億ドル(予想7.7億ドル)

・ロイヤリティフィー売上は4.7億ドル、前年同期比+11%でした。

≪展望≫

・AI需要増加に伴う半導体需要増加は更に利益を増加させると考えられる。
・ロイヤリティフィーは低めの設定であった為、値上げし高収益モデルになる可能性が高い(開発費も一巡する)。
・ARMは裏で糸を引く隠れた勝者になる可能性が高いです。世界の半導体はARMが動かしていると言っても過言ではありません。

 我々には到底理解出来ない頭のレベルの孫さんやNVIDIAのファンCEOが欲しがった企業です。期待したいですね。


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