起業失敗は、無茶なスケールが起こす
はじめに
ぼくは起業して7年目になる、いわゆる「しょぼい起業家」です。
先日「統計には表れにくいけど『設立1年以内に約1/4の企業が廃業・倒産する』背景には、計画性のない急拡大がかなり影響と予想。野心による無理なストレッチは自爆装置と同じだ」という内容のポストをしました。
今回は、このポストに込めた想いや背景、そして急拡大が招くリスクについて、ぼくなりの体験談とデータを交えながら深掘りしていきたいと思います。
ポストの背景:なぜ発信したのか
「起業すれば自由になれる」「うまくいけば大儲けできる」。このようなイメージを抱き、意気揚々とスタートアップを立ち上げる人は多いです。ぼく自身も、最初は「すぐに月商○○万円!」のような派手な数値目標ばかりを掲げて走り出しました。周りの成功事例を見ると、華々しい数字が乱れ飛んでいて、まるで大きく稼ぐことが正義のように思えたからです。
しかし、現実はそんなに甘くありませんでした。いろいろな経営者の方々の声を聞いたり、中小企業庁や民間の調査データを確認すると、意外と統計には出にくい形で多くの事業が早期に姿を消している現状が見えてきます。実際、「設立1年以内に約1/4の企業が廃業・倒産する」という数字は、日本だけでなく海外のスタートアップの世界でも同様の傾向があるといわれています。そうした中で、特に「急拡大のせいで資金繰りや組織管理が追いつかなくなり、あえなくダウンする」ケースが目立つのです。
実際、気付かないうちにリソース(人材や資金)が圧迫され、結果的に業務が回らなくなって倒れかけた経験があるからです。このタイミングで、「早く大きくしたい」という欲望と、「堅実に育てるための経営計画」のバランスを考える必要性を強く感じたのが、今回のポストをした理由です。
世界の廃業・倒産
1. アメリカ
• 米国中小企業庁(SBA)のデータによると、新規事業の約20%が設立1年以内に閉業し、5年以内では約50%、10年以内では約65%が廃業するという統計があります。
• アメリカでは競争の激しさや資金調達の困難さが主な理由とされています。
2. イギリス
• 英国国家統計局(ONS)のデータでは、設立1年以内に約20%の新規企業が閉業するとされています。
• 特に小規模事業が影響を受けやすいのが特徴です。
3. その他の国
• オーストラリアでは、設立から1年以内に約20~25%の企業が閉業。
• 新興国でも同様の傾向が見られる一方、支援プログラムが充実している国では廃業率がやや低い場合もあります。
このように「設立1年以内に約1/4の企業が廃業・倒産する」というのは、日本特有の数字ではありません。ただし、日本の場合は市場の成熟や資金調達の難しさといった特有の事情が背景にあるので参考までに。
計画性のない急拡大がもたらすリスク
急拡大とは、一気にマーケットシェアを取りにいこうとしたり、多額の融資を受けて社員を一気に増やしたり、規模を急速に広げることを指します。
もちろん、チャンスを逃さずに飛躍を目指すことは悪いことではありません。むしろ、時流に乗れるなら一気に攻めたほうがいい場合もあるでしょう。けれども、以下のようなリスクがあることを見落としてはいけません。
1. 資金繰りの悪化
仕入れ費用や人件費などの固定費が膨らみすぎて、売上が伸び悩んだ瞬間にキャッシュフローが止まる可能性があります。とくに事業が軌道に乗るまでは資金ショートの危険が高くなります。
2. 組織崩壊のリスク
急増した社員の教育やマネジメントが追いつかず、現場が混乱することがあります。社内ルールがないまま拡大するとトラブルの元にもなり、結果的に従業員のモチベーションが下がってしまう可能性が高いです。
3. サービス品質の低下
売上拡大を急ぐあまり、プロダクトやサービス開発のクオリティが下がってしまい、顧客満足度の低下に直結します。結果的にリピートが見込めず、評判も落ちて長期的な成長を見込めなくなる恐れがあります。
4. 経営者自身の疲弊
「野心」に突き動かされて動く経営者ほど、無理をしがちです。組織や資金が追いつかない状況であればあるほど、経営者は休む暇なく奔走する羽目になる。慢性的な疲労によって判断力が鈍り、致命的なミスを招きかねません。
ポスト内容が読者の課題を解決するメリット
急拡大のリスクをあらかじめ認識しておくことで、読者の皆さんが以下のようなメリットを得られると考えています。
• 長期的視点が身につく
すぐに結果を求めるのではなく、中期・長期でどのように会社を伸ばしていくのかを冷静に考えるきっかけになります。
• リスクコントロール意識が高まる
人・お金・仕組みなど、あらゆる面で「今のリソースでどこまで拡大が可能か」を事前にチェックする習慣がつきます。
• 自爆を防ぐ
無謀な野心による“自爆”を未然に防ぎ、健全なステップアップを実現できるかもしれません。
行動のヒント:計画的な成長のために
では、どうやって計画性のある拡大を進めればいいのでしょうか。ぼくの経験談も交えて、具体的なアクションプランをいくつか提案します。
1. 小さくテストする
まずは新規プロジェクトやマーケットに対して「小さく試す」ことを心がけましょう。たとえば、SNS広告を少額でテストして、反応や売上見込みをシビアに観察する。いきなり大量投資をせずに、少しずつデータを取りながら拡大していくことが大切です。
2. キャッシュフロー計画を立てる
ぼくは最初、売上が上がれば自然とお金は回ると思い込んでいました。しかし、実際には入金サイクルと支払いサイクルの差によって、見た目の利益と実際の手持ち資金が大きくズレることもあります。月単位や四半期ごとでしっかりキャッシュフローを可視化しておくことで、先々の資金ショートを防ぎやすくなります。
3. 組織設計と業務フローを整備する
急に人が増えたり、業務量が膨れ上がると、情報共有が追いつかず混乱を招きます。最終的には経営者のぼくのもとに膨大な意思決定が集中してしまい、首が回らなくなる危険があります。早めに専門家の意見も取り入れて、組織のルールや業務フローを整えておくのが大事だと痛感しました。
4. メンタルヘルスのケア
「野心」をエネルギー源にするのはいいですが、それがリスクに転じる可能性も忘れないようにしたいです。ぼくの場合は、数年前に無理がたたって身体を壊しかけた経験があります。休息をちゃんと確保し、必要であれば外部の専門家(コンサルタントや税理士だけでなく、カウンセラーなど)を頼る姿勢も大切だと学びました。
ぼくの体験談と考え方
ぼく自身は無理なスケールをしません。といのも、25歳で独立してみた時に、分相応なリスクテイクで自滅していった経験があるからです。成功したらいいだけという安易な考えでどんぶり勘定かつ借金経営。どんどん精神底に苦しくなり余裕がなくなっていきました。
なので2回目の起業となる30歳からはリスクは最小限でリターンは最大のものしか手を出してません。今は7年目です。大金持ちではありませんが売上よりも時給を最大化させることを重視して経営してきたので、3つの定額制サービスを運営してる中で最も時給がいいものは、1時間あたり10万円稼げるようになりました。
こうやってリスクを出来るだけ取らず、時給が高いビジネスを複数持っておくと、いざという時に大きなリスクも取れるようになります。要は、リスクテイクするなら、リスクヘッジも入念にしろ、ということです。
まとめ
計画性のない急拡大は、一見魅力的に映るかもしれません。多くの人が「大きく成功したい」と考えているからです。でも、ぼくがポストで伝えたかったのは「野心に任せて一気に飛ぼうとするほど、自爆のリスクも高まるよ」ということ。設立1年以内の約1/4もの企業が姿を消す一因には、まさにこの「計画性のなさ」が潜んでいるのではないでしょうか。
それを回避するためには、キャッシュフローを意識した堅実な計画や、外部専門家からのアドバイス、そして自分自身のメンタルコントロールが欠かせません。最初から完璧にできなくても、常に改善を重ねながら、着実に事業を育てていくのが遠回りのようでいて、一番確実な道だと考えています。野心を推進力にしつつ、自分に合ったサイズで一歩ずつ進んでいく――これが、起業7年目の「しょぼい」ぼくが見つけた、倒れない起業のコツです。
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