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心を軽くする処方箋

トレーナーのとき、離婚した経験を自虐ネタとして話したときがあって、「実は私もなんです!仲間ですね」なんて反応が返ってきて、意外なくらい打ち解けられた瞬間があった。  

昔の自分だったら、「自分から離婚の話なんてすると重いかな」とか思っていたけれど、案外そこをオープンにするだけで、相手も「この人なら何を話してもいいんだな」と感じてくれるらしい。自虐ネタがラポールになる、なんてちょっと面白い。

自己開示なんてものに、以前はあまり価値を見いだせずにいた。  

エッセイなんかも「どうせ機能性のない娯楽でしょ?」と思っていたタイプで、ビジネス書以外読む気にならなかった。  

だけど、phaさんという作家のエッセイをたまたま読んで、「こんな脱力感と情緒に溢れている文章でも、人の心を軽くしてくれるんだな」と知った。  

ビジネスに直接使えなくても、心がゆるむような文章にはちゃんと価値があるんだ、と気づいてから、僕もエッセイを読むし、ちょっと書いてみるようにもなった。

実際、自己開示がてら「最近はこんなことに取り組んでいる」とクライアントに話すと、それ自体を“ネタ”として楽しんでもらえる。  

たとえば昔だったら、プロブロガーの話や仮想通貨でこんなことを試してみた、という自分の興味分野を素直に語るだけでも、「へえ、そんな世界があるんだ」と興味を持ってくれる人がいる。  

それは今まで知らなかった分野をシェアするような感覚で、自分も他人も「へえ」となって会話のきっかけが増える。僕にとっては発信の手間がそこまで大きくないのに、相手にとっては新鮮に見えるのがありがたい。

仕事面で考えると、自己開示をするようになってからサービスに入会してくれる人が増えただけじゃなく、一度入ったら長く続いてくれる傾向がある。  

Zoomで話すと「私も大きな組織が苦手で…」「なぁさんって、そういうとこ本当に共感できるんですよね」と言われることがたまにある。

やっぱり、誰が何を考えているのか分からない相手より、「この人はこういう人生なんだ」と見えていたほうが安心しやすいのだろう。  

仕事での売上には直結するし、お互いに気を遣わなくて済む点でもメリット大きいな、と内心思っている。

それに何より、自分が苦手だと思っていることを言語化してみると、頭の中がスッキリする効果がある。  

悩みを一人で抱えていたころはモヤモヤしていたことも、「文章にすることで整理される」みたいな感じ。  

書けば書くほど、意外と客観視できるし、「ああ、自分はこういう考え方だからあのとき困ったんだな」という発見がある。  

相手に“自分”を伝えるメリットもあるし、同時に自分のためにもなるから、いまではすっかり自己開示が習慣みたいになってしまった。

もともとは、みんなの前で自分のことを話すなんて面倒なだけだと思っていたけど、やってみると案外悪くない。  

誰かの気持ちを楽にできるかもしれないし、僕の過去の失敗談を「わかるわかる」と笑い合うだけで、ぐっと距離が縮まることだってある。  
なにより、昔なら「必要ない」と切り捨ててたエッセイを書く時間がいまはちょっとした楽しみ。  

たぶん「過去の自分が聞いたら、何それ」と呆れるかもしれないけれど、この感覚を共有できる人がいるなら、やっぱり自己開示するって悪くないんじゃないかな、と思っている。


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