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【大谷翔平】43-43って何?連日ニュースになってて、すごいのは知ってるけど、正直今何が起こってるのか分かってない!!!という方に向けた大谷選手解説コラム。&日本が貧しいのは、日本プロ野球とメジャーリーグの違いを見れば分かる!?(3835字)

 8/31(土)、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手は、アリゾナ・ダイヤモンドバックス戦に出場し、4打数2安打1打点で1本塁打1盗塁を記録。メジャーリーグ史上初となる、『43-43』を達成した。→https://00m.in/ZmdPU

 『43-43』とは、1年間で43本塁打と43盗塁を同時に達成することを意味する。本塁打とはいわゆるホームランのこと。打球が外野客席まで届くとホームランになる。
 盗塁とは、ヒット等で既に一塁や二塁といった塁上にいる走者(ランナー)ができる行為。ランナーは、ピッチャーがキャッチャーに向けてボールを投げた瞬間に次の塁めがけて走り出し、キャッチャーがその次の塁にボールを投げて到達するより早く到達すれば次の塁に進める。

 野球のルールを全く知らないという方に文面だけで説明するのはやや難易度が高いが、ここではホームラン=打って遠くへ飛ばす技術、盗塁=速く走る技術、がそれぞれ必要であるということさえ分かっておいていただければ十分だ。

 大谷選手は今年、このホームランと盗塁をそれぞれ年間で43個ずつ記録した。そしてそれが史上初だというのだ。ではこれは何が難しく、どのくらいのレベルの話なのだろうか。

 そもそも、『43-43』が史上初という話であるが、キリの良い数字でいえば、『40-40』すなわち年間ホームラン40本&盗塁40個という記録でさえ、メジャーリーグ150年の歴史の中で過去5人しかいなかった大記録だ。
 それを超え、『43-43』に到達したから話題となっているのである。しかもこの史上初の記録を達成した時点での試合数はまだ131試合。メジャーリーグは年間160試合であるため、まだあと29試合も残した状態で史上初の記録を達成したのだ。
 ここまで来れば、『45-45』はもちろん、その先の『50-50』というこれまで誰も想像もしなかった記録さえ視野に入ってきている。→なお、9/7(土)時点で、『45-45』を達成。

 では、この『43-43』という記録、なぜこれまで誰も成し遂げられなかったほど難しいのか。答えはごくシンプルで、簡単に言えば、ホームランに必要なものはパワー、盗塁に必要なものをスピードだからである。
 一般的に、パワーをつければ体重は重くなりスピードは落ちるし、スピードをつけようと身体を小さくすればパワーは落ちる。そのためこの両立が難しく、ホームランを打つ打者は盗塁数は少なく、盗塁を得意とする選手はホームランは少ないというパターンが多い。
 その証拠に、『40-40』ですらメジャーリーグに過去5人しかいなかったと先程述べたが、日本プロ野球に至っては90年の歴史の中で『40-40』達成者は1人もいない(メジャーリーグ160試合に対し、日本プロ野球は143試合という違いはあるが、いたとしても数名の達成者だろう)。

 そして、打者としての成績があまりにもすごすぎるためもはや失念してしまっている方もいると思うが、何よりもすごいのは大谷選手が「ただの打者」ではないということだ。
 ご存知の通り、大谷選手は投手(ピッチャー)でもある。そしてピッチャーとしても、日本人最速165km/hを記録し、メジャーリーグでも年間15勝を記録、オールスターゲームにも選出されるなど世界トップクラスのピッチャーだ。

 メジャーリーグで投手も打者もどちらも担う「二刀流」選手というのがそもそもベーブ・ルース氏以来100年ぶりの異例の事態。そしてただ器用に2つこなすというだけでなく、投手としても超一流、打者に至っては打者単体でも史上初の『43-43』達成。

 野球に詳しくない方にも一言で分かるように説明すると、紛れもない、「世界一の野球選手」である。日本人の中では、とか、二刀流だから、とかではなく、何の枕詞も必要なく、「世界一の野球選手」だ。
 サッカーでいうリオネル・メッシ、陸上でいう数年前までのウサイン・ボルト、投資家でいえばウォーレン・バフェット。野球界だと大谷翔平、というイメージがあれば十分だろう。

 同じ日本人として、世界に名の轟く日本人がいることは素直に嬉しいことだし誇りに思う。が、当然のように大谷選手はじめ日本のトッププレイヤーがメジャーリーグ移籍を目指し、アメリカで活躍することを日本で喜ぶという構図がずっと続いてよいのかという悔しさも持つべきだ。

 これは別に、時々プロ野球OBの方々が発言しているメジャーリーグ移籍反対派ということではない。ただ、同じプロ野球ビジネスをやっている以上、できる限り人気選手、有名選手を呼べる球団、組織であれるよう努めるのが在るべき姿ではないかということだ。

 今から約30年前、1995年時点では、日米プロ野球の市場規模に大きな差はなかった。日本プロ野球は900億円、メジャーは1500億円といった程度だ。が、そこから23年後、2018年には、日本は約1800億円と2倍の成長だったのに対し、メジャーは1兆5000億円。10倍の成長を遂げた。
 日本経済の成長と衰退の影響をそのまま受けているといえるだろう。極端な話、この1995年頃からの『失われた30年』を、日本がそれまでの勢いのまま乗り切っていれば、イチロー氏もダルビッシュ選手も大谷選手も、海を渡ることがなかったかもしれない。

 彼らがお金のためにメジャーへ移籍したと言っているわけではない。彼らは世界トップのリーグで、世界トップのプレイヤーたちと闘い、世界一の選手を目指して海を渡ったのであろう。

 私がここで言いたいのは、日本プロ野球の市場規模がメジャーとさほど変わらないまま、いやそのままの勢いで抜き去っていたとしたら、日本プロ野球が世界トップのリーグとなり、世界トップのプレイヤーたちが集まる場所になっていたのではないかということだ。

 夢物語かと思うかもしれないがそうではない。サッカー界では、長らく時代を牽引してきた2人のトップ選手、先述のリオネル・メッシと、クリスティアーノ・ロナウドの移籍先が話題となったのが記憶に新しい。
 2選手とも、サッカーの世界最高峰リーグともいわれるスペインリーグで長くプレーしてきた。メッシはFCバルセロナ、ロナウドはレアル・マドリードという、日本プロ野球でいう巨人と阪神のような伝統あるライバルチームで鎬を削ってきた。
 が、彼らは今、違う国で、それどころかヨーロッパですらないところでプレーしている。
 メッシはアメリカ。アメリカは野球、バスケットボール、アメリカンフットボールなどに比べてサッカーのイメージはこれまでなかっただろうが、ここにきてサッカーにも力を入れ始めている。メッシの来米は、これ以上ない追い風となるだろう。
 そしてロナウドがプレーしているのはなんと、サウジアラビアだ。サウジアラビアといえば石油原産国のイメージが強いだろうが、オイルマネーを使ってスポーツに投資を行い、ロナウドのような名選手を自国に招くことに成功した。

 これは海外だけの話ではない。メッシも所属していた、世界一のサッカーチームといっても過言ではないスペインのFCバルセロナ。そこで長く中心選手として活躍し、キャプテンも務めた超一流サッカー選手、アンドレス・イニエスタ。
 彼は2018年、突如Jリーグ・ヴィッセル神戸にやってきた。世界トップクラスのプレイヤーが日本でプレーする選択をしたことに多くのサッカーファンが驚いたが、その時のイニエスタ1人の年俸が、神戸の他の全選手を集めたよりも多かったことにも同じくらい驚かされていた。

 つまり何が言いたいかというと、アメリカやサウジアラビア、日本といったサッカー後進国であっても、ヨーロッパのトッププレイヤーを招聘することができるということだ。ちなみにヴィッセル神戸のスポンサーは楽天。イニエスタ加入にも三木谷浩史CEOの影響が大きかったという。

 今、日本プロ野球界に必要なのは、ビジネスマインドではないだろうか。スポーツ観戦という大衆娯楽を、選手や監督、スタッフとしてだけでなく、ビジネス面から盛り上げるという仕事の選択肢を持つ学生が増えればと思うし、私も今の仕事を通してアプローチしていきたい。

 なお、あまり大きな声では言えないが、日米の野球市場にこれだけ差が生まれたのは、確実に放映権料の差が生まれたからだと言われている。スポーツの試合には、映像としてその試合を放送する権利を販売することができる。
 一言で言えば、日本は地上波テレビ局の利権が大きすぎたため、なかなかスマホでサブスクで野球を観る、というビジネスが成立せず、他国の放映権料がどんどん上がっていく中で、局の払えるで放映権料が頭打ちになっていたのだ。

 こういったビジネス面の問題を明らかにしたり、明らかになっている問題を解決に向かわせるために交渉・コミュニケーションを行ったり、そういった仕事につながるよう、本メルマガを通しても積極的に発信していきたい。

 次回以降、なぜ利権が生まれたのかなども含め、日本プロ野球の歴史とテレビ局の関係などについても取り上げていきたいと思う。

 かなり話は大きくなってしまったが、何はともあれ、選手としての大谷翔平選手の実力は、間違いなく世界一である。『50-50』の達成、さらには所属するロサンゼルス・ドジャースの優勝を、私個人としてもいちファンとして全力で応援している。

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