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同期の蝉
家の裏が山で、毎年夏になると蝉の声が聞こえてきます。あいつら、毎日元気一杯ですよね。あいつら、気合い入りまくってますよね。あいつら、めっちゃうるさいですよね。
朝は日の出る前から鳴きやがって。夜型の筆者がこれから寝ようという時間帯ですよ。安眠できません。自然災害級といっても過言ではないでしょう。さすがに過言か。
もう少し静かに余生を過ごせたら、もうちょい長生きできそうな気がするのですが。そんなに暇じゃ無いんでしょうね。人間の10年分の恋愛を3週間で済まさないといけないらしいんで。いやあ、それにしてもうるさい。
そんな元気一杯の蝉たちにヘイトをためている筆者なんですが、最近あることに気付いて考え方が変わりました。
「この蝉たちと同級生なんじゃね?」
蝉の寿命は短いと言われますが、彼らは土の中での生活が長いですよね。下積みの時代が。大体20年とからしいんですけど。もうちょっと短いかもしれませんが。
ってことは筆者と同世代である可能性が高いんじゃないかと思うのです。20世紀の遺物、Z世代、ゆとり世代、SNS世代の仲間であるのではないかと。ゆとりとバカにされる世知辛い世の中を、地上と土の中で懸命に生きてきた同志であるのだと。
そう思うと、うるさいのも少しだけ我慢できそうです。何か親しみが湧いてきますよね。元気一杯のクラスメートが騒いでるような感覚になりませんか。ならないって? ああ、そう。
もしも皆さんの周りに喧しい蝉がいらっしゃったら、コイツらは誰と同期なのか考えてみると親しみが持てるかもしれません。自分か兄弟か後輩か子供か孫か押しのアイドルか。若い方は特に考えて見てください。同期に蝉がいるのって今だけですよ。30歳になる頃には、この世に同期に蝉がいなくなってしまうんですよ、いいんですか? いいって? ああ、そう。
2021.08.20