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仕事の話:ゴールをきめたその先に
建設業の方が話していたことで気づいたことがある。
検査基準を超えていれば良いから、一定のクオリティさえあれば仕事が速い方が「儲ける」ことができる。クオリティを上げても速さがなければ稼ぎがあまり増えない。クオリティをあげることを評価しづらいのは問題。
いっぽう、クリエイティブな仕事(イラスト・漫画などなど)は一定の「検査基準」というものがない。
これは結構な違いだなと思ったし、基準があることは羨ましいとすら思った。
基準どころかクライアントから「ゴール」の設定が曖昧なことも結構ある。
ゴールとは「何をするためにそれを作り、だから何を必須にクリアするか」という内容である。
たとえば生徒募集のチラシを作って「4月末まで体験入学」を必ず伝わるように、とかそういうこと。
「検査基準」や「ゴール」がないと何が起きるかというと
一定の「検査基準」をクリアしていても、クライアントのさじ加減で基準をあげることができるのである。
そして出てくるのが「より良いものにしようとしているだけ」である
先ほど挙げた建設業の方が言っていたけれど「クオリティの差」って一般の方々が見てもわからないことが多い。
でもうまい人はうまい。作る側にはわかってしまう。
それはクリエイティブ系もある程度同じだなと思った。
(絵が上手いとかはわかるけど、実はうまい人はもっと違うとこがうまい…とか)
「より良いもの」はあるのだけれど、それって本当に「消費者のために必要」なのかは別問題であることも多い。
作品ではなくて、なにかの目的を達成するための仕事だから。
仕事として作る以上
「経費(費用)・スケジュール・協力会社の制約を守る」のはプロの責務で
その上でより良いもの作ることを目指すのがプロの力量。
制約の中でより良いだけでなく「最適化」されたものを作るのがプロだと思う。
「より良い」は天井がないけど、制約の中で最適化されたものはゴールがある。
でもクリエイターほど作品と仕事と取り違えて「少しでも完成度の高い商品にしようとしているところのどこが悪い」と思っている人は多いと感じた。
仕事である以上「制約」を守れないのはプロではないと思う。
費用をオーバーさせるのか、スケジュールをどうにかさせるのか、協力会社に頼むのか…そういうマネジメントがあってこそ、仕事である。
誰かが頑張ればより良くなる!というのは、仕事ではないし労働でもない。
一度労働基準法と生存権の関係を勉強してきてください、と思う。
だからこそ、具体的に見えなくても「ここをクリアすれば良い」という「ゴール」や「検査基準」は、依頼する側が提示してほしい。
依頼する側が慣れていないことが多いからこそ、フォローしてゴール設定することも仕事のうちだと思う。
その「最適化」の上で「クオリティ」という話が出てくる。
最適化はされて、費用もスケジュールも余裕もないけどもっと「より良くしたい」って言ってくるのは追加発注。
そうではなくて、こちらから最適化の上でクオリティの提案をできた時のこと。
依頼に対して答えを出す(検査基準を超える)ことも大事。
でもその上でクオリティの提案をしても「わからない」ことが多い。
まぁ、ことさらにアピールしていないっていうのもあるんだけどさ。
建設業の方が言ってた「早い方がうまいより儲かる」もきっとそう。
「わからない」から評価されなくて、価値に変えることが難しくなっている。
職人もクリエイターも「クオリティ」をどう価値にかえていけるのだろう…
そんなことを思いました。
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