現代版 “ヒップカルチャー” とは?
「ヒップカルチャー」と聞くと、1950年代の「ヒップスター」、1960年代後半に流行した「ヒッピー」などが思い浮かぶかもしれないが、
2000年代に再熱した「ヒップ」は、(当たり前だが)現代的により洗練されたスタイルや思想をもったクールな人達の築き上げたムーブメントだ。
そもそも、ヒップの提議
文化の嗜好において先えつ的なセンスをもっていて、主流に対する対抗的またはアウトサイダー的要素を持っていて、マイノリティのような被差別人口と多くの場合文化を介してつながっている。そんな人達を「ヒップ」と呼んできた歴史がある。曖昧な定義だが、いつの時代の「ヒップ」にも共通しているのはその時代の「cool(かっこいい、イカしてる)」の形であるということだ。
そんな現代版の「ヒップカルチャー」の起点は、2008年に起きたリーマンショックにさかのぼる。それまで白人エリート主義の企業文化がメインストリームカルチャーだったが、これまでと違う価値観でモノを作ったり、発信する新しいカルチャーの形が見えはじめた。
私達が今まで考えることなく当たり前のようにしてきた消費行動についてあらためて光を当てて考える、意識することからこの文化の流れははじまっている。そんなライフスタイル革命は、アメリカを中心に世界的に広がっていった。
消費の行動の例
スーパーで大量にものを買う
→口に入れたり、身に付けたりするものがどこで作られ、どこからやってきたのか?それを考えよう、考えてから買おう
安くて量があって早いものを買う
→社会的責任において重きを置く企業から出ている商品を買おう、その企業を支持しよう
高額な高級ブランドのバッグを買う
→自分の知り合いのデザイナーがデザインして地元の工場で作られた商品を使おう
お店の例
バリスタが丁寧に一杯一杯手で淹れるコーヒー屋
内装はヴィンテージの家具、再利用された私財
メニューはチョークで手書き
食の例
地元の個人経営の店
健康志向
添加物や保存料ゼロ
大手のチェーンや量販店はさけてファーマーズマーケットを利用
交通手段の例
自転車
どうしても乗らなきゃいけない場合はプリウスを利用
服の例
古着
個人経営のブランドの商品
ヴィンテージ
考えの傾向
リベラル寄り
主流と共存しながら
テクノロジーの恩恵はしっかり受ける
日本でもいつからか、カフェスタンドが増え、チョークアートが流行り、サードウェーブ系という言葉をよく見かけるようになり、それが若者のスタイルに馴染んでいったムーブメントを感じた時期があった。その時は、それらがどこから流れ着き、どのような思想で広まって行ったのかは知る由もなかった。ただ、街中に新しいおしゃれなコーヒー屋さんや、こだわりを持ったカフェが増えていく流れを見るのは純粋にワクワクしたし、最高に「かっこいい」と思った。今回、佐久間裕美子さんの本を読みよりそのムーブメントの理由や、若者が今何を「良い」と思い消費活動をするのか、楽しみながら理解することができた。
参考文献:ヒップな生活革命 (ideaink 〈アイデアインク〉) 朝日出版社
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255007861/