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世界野球プレミア台湾チームの原住民選手Giljegiljaw Kungkuan(ギリギラウ・コンクアン)の表記について
一言でまとめると、現在東京で開催される世界野球プレミアに出場する台湾チームの原住民選手を Giljegiljaw Kungkuan(ギリギラウ・コンクアン)のフルネームで呼んでください!
「吉力吉撈・鞏冠」は民族名 Giljegiljaw Kungkuan(ギリギラウ・コンクアン)の当て字で、当て字を日本語読みしないでください!
現在日本語話者にとって「先住民(族)」は「原住民(族)」より適切だと思われる。しかし、台湾の文脈を考えると、「原住民(族)」という名前は彼らが自らキャンペーンを行い獲得した正式名称である歴史を踏まえて、台湾原住民を指す時に、日本語でも「原住民」で呼ぶべきだ
台湾で暮らしてる原住民族たち様々で(公式認定された民族もあるし、まだ認定されてない集団もある)異なる民族または部落はもちろん文化の違いが生じるし、名前付けのルールも全然違う。だから本人に名前の呼び方を聞いて、付け方を勉強しながら理解することが大事だと思う。
台湾原住民族青年団体による日本のメディア各社への公開書簡
(台灣原住民族青年致日本各大媒體公開信)
日本のメディア関係者 各位
2024年の世界野球プレミア12の予選が先日終了し、台湾チームが見事予選を突破し、日本でさらに上を目指して戦えることを、とても嬉しく思っております。
台湾チームの中で特に注目を集めているパイワン族出身の選手、giljegiljaw kungkuan(ギリギラウ・コンクアン)の名前について、放送の際に翻訳の問題が発生していることに気づきました。いくつかの日本のメディアの放送では、彼のパイワン族の名前である「giljegiljaw kungkuan」について、漢字表記の「吉力吉撈・鞏冠」をもとに「キチリキキチロウ・キョウカン」と発音されており、パイワン語の発音とは大きく異なっています。
そこで私たちは、できる限りパイワン語の発音に沿った形で彼の名前を放送していただけるよう、心からお願い申し上げます。もしカタカナで表記する必要がある場合でも、パイワン語の原音に基づいて表記し、漢字の読みではなくパイワン語の発音に従うようお願いしたいと思います。
また、口語での呼称についてですが、giljegiljaw は彼の個人名であり、kungkuan は家屋の名前です。個人を呼ぶときは、個人名のみを用い、家屋名のみで呼称することはありません。giljegiljaw はパイワン族の慣習的な短縮形で giljaw と呼ばれますが、これは親しい友人や家族の間で使われるものであり、正式な放送では使用を控えることをお勧めします。
ここに、できるだけ原音に近いカタカナ表記を参考までにご提供いたします。この世界的に注目されるスポーツ大会を通じて、私たち原住民族の選手とその命名文化が、より正確に理解されることを心から期待し、深く感謝申し上げます。
選手の個人名:giljegiljaw (ギリギラウ)
選手の個人名の短縮形:giljaw (ギラウ)
選手の家屋名: kungkuan (コンクアン)
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原住民族青年陣線(Indigenous Youth Front)
indigenousyouthfront@gmail.com
台湾原住民族青年公共参与協会(Taiwan Indigenous Youth Public Participation Association)
tiyppa.tw@gmail.com
台湾原住民族青年団体による日本のメディア各社への公開書簡...
Posted by 原住民族青年陣線 on Wednesday, November 20, 2024
最後は私の考え方:
台湾人など中華圏の人が日本に行ったら、漢字名は日本語読みになるのは普通。この問題に関して、日本人が中華圏になったら漢字名を中国語で読むのは「常識」だから、自分の名前を日本語読みにするとやや抵抗感があるにしても「仕方ない」と思ってる。漢字名の意義はその漢字にある。
私にとって、漢字名の意義は、オト(発音)にあるではなく、その漢字自体がポイントだ。日本人の名前は発音まで親が自分で決められるが、中華圏の人たちはどの漢字を選んだらその発音しかない。発音より、どのつくりどのへんの漢字を選んだのは大事だ。実際に、多言語社会の台湾には、漢字名が一つにしても、中国語(北京語)の発音と台湾語あるいは客家語の発音は全然違うし、名前は一つにしても、言語によって発音が変わることを慣れたかもしれない。
でも原住民族の人たちは違う。彼らの名前は漢字名ではなく、それぞれ少数民族の言語で付けられた民族名だ。漢字はあくまで母国に近い発音で付けられた当て字だ。
このことに関してはすごく漢人中心主義の考え方で、台湾の法律は今年やっと改正されて、アルファベットのみで表示されることが可能になった。
そう、今年以前は漢字名がないとアルファベットで民族名で表記することができない。もっと前の話だとしたら、民族名で登録したくても無理だ。
これも台湾の原住民族運動の中に大事な動きだ。
しかし、このような法改正はつい最近の話で、これまで漢字名で生活してきた人たちは、もちろんアルファベット表記のみで申請することが可能だが、日本の夫婦同姓の問題と同じく、正式名を変わると人生が大きく変わることになる。銀行口座や卒業証明書などの名前が不一致とか、不便になる可能性がある。
それにしても、自分のアイデンティティを表現できる自分らしい名前を選ぶのはとっても大事!
だからこそ、今回台湾原住民族の野球選手の名前を漢字の当て字を日本語読みはダメ。
今回話題になった「吉力吉撈・鞏冠」さんは私と同じく1994年生まれて、今年30歳になる。彼は生まれ育った時に、民族名を正式名称になれなかったからこそ、2019年まで三文字の漢字名で生きてきた。25歳の時に正式名称を全部民族名に変わり、生まれ変わった。
少数民族の言語を保存する視点だけではなく、彼らの文化そして彼が思い切って名前を民族名に変更した意思を尊重した上で、彼の名前を漢人のように「その当て字の漢字を日本語読み」にするではなく、カタカナでGiljegiljaw Kungkuan(ギリギラウ・コンクアン)にすべきだ!