2歳以上「出国税」支払うべき?海外の<国際観光旅客税>はどうでしょ
今週(10)日本財務省は<国際観光旅客税法案>を提出し、11日に参議院本会議で「国際観光旅客税」を可決されて成立しました。
来年1月から日本を出国する時に国籍を言わず1人 1,000円が徴収されます。いわゆる「出国税」という意味です。(以下、「出国税」で)
法案より、「国際観光旅客税」の使い道は
①「快適な旅行のための環境整備」
②「体験型観光の満足度向上」
③「日本の魅力に関する情報発信強化」
といった分野が規定されます。
2017年間訪日外国人観光客人数は歴年最高 2,869万人があり、かつ 2017年間日本人出国者人数は 1,789万人はあり、しかも 2020に年間訪日外国人客目標は 4,000万人が設定しており、「出国税」は年間 400億円が確保できます。
これに対して、日本観光庁 2017年度予算はただ 210億円で、日本政府はほぼ倍額にある「出国税」がもらいます。
日本:国際観光旅客税
マスコミで韓国やオーストラリアでも「出国税」制度ありと紹介されますが、金額以外注目すべきことがあります。
まず、日本財務省<国際観光旅客税法案要綱>と<「国際観光旅客税法案」について>をご覧ください。
日本版の「出国税」は、
①乗務員
②強制退去者
③政府専用機により出国する者
④乗継旅客(24時間以内)
⑤緊急着陸や天候で日本に帰ってきた者
⑥2歳未満の者
以外、一人あたり 1,000円を求めます。(<国際観光旅客税法案>第15条)
韓国:「出国納付金」
韓国の場合は、13才以上 64歳才以下韓国国籍を持たない「外国人」を対象として、「出国税」は航空機で 10,000ウォン(約 1,000円)船舶で 1,000ウォン(約 100円)が徴収されます。
出典:㈶自治体国際化協会<韓国の観光政策>
朝日新聞<'Sayonara tax' will be mulled for tourists leaving Japan>
オーストラリア:Passenger Movement Charge
オーストラリアは 1995年7月から「Passenger Movement Charge (PMC)」を導入します。日本の「出国税」と同じ国籍を言わず、12才以上一人あたり 60豪ドル(約 5,000円)を求めます。
出典:"Passenger Movement Charge (PMC)", Department of Home Affairs, Australian Government
香港:Air Passenger Departure Tax
香港は国ではありませんが、中国の特別行政区として「出国税」があります。
香港《飛機乘客離境稅條例》(Air Passenger Departure Tax Ordinance)より、 12才以上一人あたり 120香港ドル(約 1,640円)の「出国税」を求めます。
出典:Hong Kong e-Legislation, 第140章 《飛機乘客離境稅條例》
英国:Air Passenger Duty
最後紹介したいのはイギリスの「Air Passenger Duty」。個人的にすごく興味があります。英国版の「出国税」は航続距離とシートピッチより値段は違います。
航続距離は 2,000マイル(約 3,218㌖)以下はBand A、2,000マイル超えはBand B。航続距離はこの二種類があります。
一般的には「標準」=Standard rate=で計算しますが、シートピッチ(座席の間隔)は 40インチ(約 1㍍)以下なら、やすくなります=Reduced rate=。
また、総重量 20トン以上の飛行機で乗客数が 19人未満なら、「出国税」は「標準」より高くなります=Higher rate=。
2018年4月以降、
【Reduced rate】
Band Aは £13(約 1,986円)
Band Bは £78(約 11,918円)
【Standard rate】
Band Aは £26(約 3,972円)
Band Bは £156(約 23,1837円)
【Higher rate】
Band Aは £78(約 11,918円)
Band Bは £468(約 71,513円)
2016年3月1日以前、英国「出国税」の徴収対象は 12才以上ですが、現在は 16才以上出国者を求めます。
ちなみに、2才以上 16才未満のこともが一番安いクラス(エコノミークラス)ではない飛行機を搭乗したら、「出国税」が必要です。
出典:HM Revenue & Customs - GOV.UK
https://www.gov.uk/guidance/rates-and-allowances-for-air-passenger-duty
https://www.gov.uk/guidance/exemptions-from-air-passenger-duty
終わりに
日本の「出国税」はただ一人あたり 1,000円でそうなに高くではありません。
しかも「出国税」は「国際旅客運送事業」(空港会社など)徴収し、翌々月末日まで空港会社がを国に納付しますので、「国際観光旅客」にとって航空券を予約する際にチケット代金はもう「出国税」税込みでした。
「出国税」があっても、私たちにも日本へ行ったり来たりします。
「出国税」は一体
①何のために?
②どうやって使う?
③2才以上国籍を言わず全面徴収される必要があるかないか?
私は疑問があります。
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