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【オペラ日記 6】イブ・サンローランの映画でオペラについて考える

特に行く予定ではなかった、国立新美術館で開催中の「イブ・サンローラン展 時を超えるスタイル」に行ってきました。

最近、動画配信サービスでイブ・サンローランについての映画を、今更ながら2本立て続けに観たことがきっかけでした。

他にドキュメンタリー作品もあるのですが、2014年に、イブ・サンローランの伝記的映画が以下の2本制作されています。

私はこちらを先に観て、結構スキャンダラスだなぁ、と驚いていたら、

映画「サンローラン」予告編


メゾンが公式に認めた、こちらも見つけたのでした。
映画「イヴ・サンローラン」予告編

それぞれ描き方は異なるのですが、いずれにせよ、才能にあふれながらもイブ・サンローランの内面はものすごく繊細で、デザインやアート以外のビジネスなどには関わりたくなかった人だったのだとわかります。程度の差はあれ、ドラッグや刹那的な恋愛にのめりこむ自堕落な側面も両方に描かれていました。

どちらの映画でも、マリア・カラスが歌うオペア・アリアが印象的に使われているところに耳がくぎ付けでした。イブ・サンローランとマリア・カラスは実際に親交があったそうです。

どちらにも「トスカ」の「歌に生き、愛に生き」が使われていました。(2番目の「イブ・サンローラン」の予告編にも入っています [1:05 -]。この映画では、オペラ「ワリー」や「椿姫」の曲も使われていました。)


映画の中で聴いていると、先日、ローマ歌劇場の来日公演で「トスカ」を歌ったソニア・ヨンチェヴァは結構カラスの歌唱に似ているのではないかと気が付きました。歌いまわしとかもそっくりだったので、やっぱり今どきの歌手もきっとカラスを聴いたりして勉強してるのだなぁ、とオペラオタクしか考えないようなことを考えながら映画を観ていました。

服をまとうことによる美の世界を極めたデザイナーの映画に、その人が好んだ曲としてオペラの音楽が使われていることに、オペラファンとして単純に興奮して、「サンローラン展」まででかけた次第です。究極の美やアートとオペラは相性がよい、というのはオペラファンとしてうれしい限りです。

「サンローラン展」の方も、映画2本で予習をしていくと興味を惹かれる部分が倍増でした。オペラとの関わりは、「フィガロの結婚」の衣装デザイン画が数点あったのと、最後の経歴紹介の映像で、これもまた「フィガロの結婚」の音楽がなぜか使われていたのみですが、シンプルなラインで服として表現されるエレガンスは、あの苦悩からもたらされたと思いながら見ると、感慨深いものでした。

混雑を恐れていたのですが、平日の午後は割にゆったりと見られました。「サンローラン展」は12月11日まで。サンローランのスタイルの世界を楽しみつつ、彼の精神世界を覗き見るためにオペラの音楽もちょっと聴いてみていただけるとうれしいです。

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