⑰3分ドラマ脚本「あの日のこと」
▼登場人物
野々宮加奈(24)…社会人
石橋大介(26)…加奈の婚約者
佐藤智美(24) …加奈の中学の親友
成島萌子(14)…中学生の時に死んだ子
▼本文
〇野々宮家・花奈の部屋
野々宮加奈(24)と石橋大介(26)が荷造りをしている。
大介「加奈、これは?」
加奈「そっち!」
机の引き出しを片付ける、加奈。
加奈「うっわ…懐かしい…!」
加奈の手には交換ノート。
大介「交換ノート?」
加奈「うん。智美元気かなぁ…。あ、この交換ノートしてた子ね、中学の時ずっと仲良くて。最近全然会ってないんだけど、結婚前に連絡してみようかな」
大介「いいじゃん」
加奈「中学ん時、死んじゃった子がいたって話したことあるっけ?」
大介「あー聞いたかも」
加奈「その子さ、私にすごい嫌がらせしてきてたんだけど、その時もこの交換ノートがあったから、救われたんだよねぇ。てか智美の存在か」
大介「いい友達なんだな」
加奈「うん」
交換ノートを懐かしそうにパラパラめくる、加奈。
加奈「……!」
最後のページには『萌子を殺したの、私なの』と書かれている。
呆然とする、加奈。
〇喫茶店
加奈が座っている。
佐藤智美(24)がやってくる。
智美「久しぶり」
加奈「智美も」
加奈「元気だった?」
智美「うん。…あ、結婚おめでとう」
加奈「ありがと」
コーヒーを頼む智美。
智美「今どこ住んでるの?」
加奈「あー今ちょうど引っ越し中って感じ。智美は最近何…」
智美「もしかして気付いたの?アレ」
加奈「え……?あ…うん」
智美「返してくんない?ほら、証拠んなっちゃうでしょ?」
加奈「……ホントなの?」
智美「うん。でもよかったでしょ、アイツ死んでくれて。今加奈幸せそうだし」
加奈「…」
〇喫茶店前
智美と別れる加奈。智美の手には交換ノート。
加奈「(智美の背中に向かって)智美にも幸せで居て欲しかったよ…」
智美に背を向け歩きだす加奈。
加奈がふと振り返ると目の前に智美。鋭い音と共に視界が真っ暗になる、加奈。
(了)