④3分ドラマ脚本「私と父が大好きだった人」
▼登場人物
山田桃子 (18)…高校生
山田洋介(49) …桃子の父
大原麗子(45) …女優・桃子の実の母
女1
女2
▼本文
〇山田家・葬式
山田洋介(49)の遺影がある。うつむいている、山田桃子 (18)。
少し離れたところで女1、女2が桃子の方を見ている。
女1「桃子ちゃん、これからどうするのかしらね…あんなにお父さんと仲良かったのに」
女2「ホントよねぇ」
父・洋介の遺影を見つめる桃子。
〇同・リビング
大きな缶を開ける桃子。通帳や印鑑などが入っている。
その中に「桃子へ」と書かれた封筒が入っている。
手紙を読み始める、桃子。
洋介の声「桃子へ。こんなことになってしまって悪い。健康だけには気を付けていたつもりだったのにな。本当にすまない。桃子との二人暮らしは本当に楽しかった。ありがとう。それから、父さん、ずっと桃子に内緒にしていたことがあるんだ。ここへ行きなさい」
手紙には住所が記されている。
洋介の声「桃子の母さんだ」
桃子「え…」
洋介の声「事情があって死んでいると伝えていたが、会いに行きなさい。父さん、ずっと見守ってるぞ。父より」
桃子「…」
〇大原家(豪邸)・俯瞰
〇同・玄関前
手紙を手にしたまま、豪邸を見ている桃子。
サングラスをかけた大原麗子(45)がやってくる。
麗子と目が合う、桃子。
麗子「……桃子…」
桃子「…?」
麗子はサングラスを取る。
桃子「大原麗子……。…え……」
戸惑う桃子、ふと何かを思い出す。
〇(回想)山田家・リビング
洋介(39)と桃子(8)がいる。テレビには大原麗子が映っている。
テレビの中の麗子「よしなさい!」
桃子「(真似をして)よしなさい!」
洋介「桃子は本当にお芝居が上手だなぁ。将来は大原麗子みたいな女優さんだね」
〇(元の場所) 同・玄関前
桃子と麗子がいる。
桃子「(小声で)…お母さんだったんだ…」
麗子「…おっきくなったね」
麗子、桃子に近付き、抱きしめる。
桃子NA「私のお母さんは私も父も大好きな人だった」
(了)