➁3分ドラマ脚本「言葉じゃなくても」

3分の脚本です。
ぜひ、演技の稽古などに使ってください!
映像化したい場合はお問合せください。


▼登場人物

佐々木心音 (10)(20)…学生
佐々木雄二(36)(46)…心音の父
山崎勤(52)…医師

▼本文

〇佐々木家・食卓(夜)

佐々木心音 (10)と佐々木雄二(36)が向かい合って、無言でご飯を食べている。心音はアイパット、雄二は携帯を見ながらご飯を食べている。

心音NA「私は父と話をしたことがない。父の声が聞けるのは『行ってきます』と『ただいま』の合計10文字のみだ」

×   ×   ×

心音(20)と雄二(46)が向かい合い、それぞれ携帯を見ながら無言でご飯を食べている。
心音NA「それ私は何年経っても変わらなかった」
 
〇山崎総合病院・病室(夕)

雄二が寝ている。心配そうに近くのイスに座っている心音。
静かに目を開ける、雄二。

心音「大丈夫…ですか?」
雄二「ああ…」

心配そうに雄二を見つめる心音。
 
〇(回想)同・診察室(夕)

医師・山崎勤(52)がと心音いる。

心音「咽頭がん?」
山崎「はい。お父様からは何も?」
心音「はい…」
山崎「手術のことも…?」
心音「…はい」
山崎「若い娘さんにこんなこと話すのは心苦しいけれど、手術後は家族の支えが必ず必要になる。手術するまで、お父さんの声、たくさん聞くんだよ」
心音「声、ですか…?」
山崎「手術したら、お父さんは…」
 
〇(元の場所)同・病室(夕)

雄二と目が合う、心音。

雄二「…ごめんな」
心音「私、お父さんの『行ってきます』と『ただいま』と『ごめんね』しか聞いたことないや…。お母さんが死んだ時も『ごめん』って」
雄二「すまん」
心音「同じ意味じゃん…」

雄二の傍に行く、心音。

心音「いっぱい話してよ」
雄二「?」
心音「ホントはね、いつももっと話したかったの。でも何話したらいいかわかんないし、今んなってそんなこと思っても遅いかもしれないけど私、お父さんと話したい」
雄二「心音…」

小指を出す、心音。

心音「約束」

ゆびきりを結ぶ、雄二と心音。お互いに切ない笑顔で笑う二人。

(了)

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連絡先

mail:akari.3zuki@gmail.com

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