2021年12月10日の脚本「僕の指紋が盗まれた」
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脚本「僕の指紋が盗まれた」
登場人物
脚本本文(横書き)
〇 とある場所
真っ暗。
手がスマホを操作している。
〇 オフィスビル・外観(朝)
〇 オフィス前・廊下・エレベーターホール前(朝)
横谷祥吾(29)が歩いている。
浅岡智樹(29)がやってくる。
智樹「おい」
祥吾「おっす」
智樹「なぁ、お前結婚するってマジ?」
祥吾「ったくどこから聞いたんだよ…」
智樹「片山部長が」
祥吾「まじか…」
智樹「で、どうなんだよ?!」
祥吾「いや、まぁ…する」
智樹「童貞キャラだった奴が一番に結婚かよ。まじ世知辛いわ~」
〇 オフィス・入口(朝)
入口には「大山ホールディングス」と書いてある。
会社のセキュリティに社員証をピッと当て入る祥吾と智樹。
次の扉の前で指紋認証をする智樹。
祥吾「…?」
祥吾が指紋認証をするとエラーになる。
祥吾「は?!」
もう一度、指紋認証をする祥吾。
祥吾「…?!」
祥吾はもう一度、指紋認証をする。
大きなエラー音が鳴り始める。
祥吾「っなんだよ?!」
智樹が中から扉を開ける。
智樹「お前何やってんだ?」
祥吾「…」
〇 祥吾のアパート・外観(朝)
〇 同・リビング(朝)
皆川由紀(29)がいる。
由紀がテーブルの上の鍵を持つと、お弁当が目に入る。
由紀「…」
〇 オフィス・会議室
片山部長「バカヤロー!」
片山部長と祥吾がいる。
片山「社員がセコム呼んでどうするんだ」
祥吾「すみません。でも…指紋認証が…」
片山「変なところでも押したんだろ」
祥吾「いや、そんなわけないじゃないですか」
片山「じゃあどういうわけだ…?」
祥吾「それは…」
〇 同
智樹と男社員1が会議室を見ている。
智樹「大丈夫か?アイツ…」
男社員1「でも俺、セコムが取り囲むの初めて見たっす…」
智樹「まじで会社の伝説作ったよな…」
会議室から片山と祥吾が出てくる。
智樹「よっ!伝説の男!」
祥吾「?」
智樹「朝からセコムさんに囲まれて、部長にも呼ばれてモテモテっすね」
祥吾「おちょくんなよ」
女社員1「横谷さん」
祥吾「?」
智樹「お、またモテてるから」
祥吾「…」
女社員1「なんかお客さん来てますけど…」
祥吾「?」
〇 同・入口
石原誠二(45)と飯野大志(24)がいる。
女子社員が通る。
大志「うわ~本物のOL~。やっぱこういうとこって、オフィスラブとかあるんすかね?」
石原「どうでもいいわ!そんなこと」
祥吾がやってくる。
石原「おい」
石原に近寄る祥吾。
祥吾「…?」
石原「警察です」
警察手帳を見せる石原と大志。
祥吾「…?!」
石原「横谷祥吾さん。殺人の容疑で逮捕します」
祥吾「……」
〇 警察署・外観
〇 警察署・取調室
祥吾「(声先行で)だから!僕は知りませんって」
祥吾の向かいには石原が座っている。
机には数枚の写真が置かれている。
石原「兄ちゃん。警察なめちゃいけねーぞ。…どうして殺した?」
祥吾「だから!何度も言ってますけど僕はこの人もこの事件も知りませんから」
石原「じゃあ、この凶器の指紋は…?どう説明付けるんだ?」
祥吾「………指紋?」
〇 (フラッシュ)オフィス・入口
指紋認証をする祥吾。
大きなエラー音が鳴り始める。
〇 (元の場所)警察署・取調室
石原「思い出したか?」
祥吾を睨む、石原。
祥吾M「おかしい。何かがおかしい…」
沈黙。
祥吾「…!」
石原「?」
祥吾「誰かが…僕の指紋を」
石原「は?とんでもねーいいわけだな。もっとマシな言い訳ねーのかよ」
祥吾「でも…おかしいです。今日の朝、会社で指紋認証に引っかかったんです」
石原「?」
祥吾「その後に指紋のことで、刑事さんたちが来たんです。僕、本当にこの女性のことも、この凶器も見覚えがないんです」
石原「それで警察騙せると思ってんならなめられたもんだな」
祥吾「…」
大志がやってくる。
祥吾、殺された女の写真を見る。
刺された女のすぐ隣に包丁がある。
祥吾「やっぱり…これ変です」
石原「(真剣な目で睨み)…」
祥吾「殺した凶器をそのままにして、指紋を付けて帰るなんて変じゃないですか?」
石原「…何が言いたい」
祥吾「もし僕が犯人で、誰かを殺してしまったとしたら…真っ先に凶器を隠します。バカじゃないんですから。しかも指紋も拭かないなんておかしいでしょ。こんなの見つけてくれって言っているようなもんじゃないですか」
石原「誰かが…お前を犯人にしようとしてるとでも言いたいのか」
祥吾「それは…わかりません…。あ、携帯。僕の携帯持ってきてもらえませんか?」
石原「(舌打ち)」
大志に目で指示を出す。
祥吾M「もし…俺に罪を擦り付けようとしてる奴がいて、わざと指紋を残した…。でもどうやって…」
考える祥吾を睨む石原。
大志がやってくる。
祥吾の携帯はビニールに入っている。
携帯を触り、指紋認証をする祥吾。
祥吾「…!」
石原「?」
祥吾「開かない」
石原「…?」
祥吾「刑事さん、指紋が盗まれるって、あり得ますか…?」
石原「…」
〇 同・廊下
大志と石原がいる。
大志「石原さん、どう思いますか?」
石原「何が?」
大志「なんか…俺にはどうもウソ付いているようには見えなくて…」
石原「指紋が盗まれるなんてありえねーだろ。できたとした完全犯罪だ」
大志「ですよねぇ」
石原「絶対アイツの化けの皮、剝がしてやる…!」
〇 同・取調室
祥吾がいる。
祥吾「…」
(続く)
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