㉒3分ドラマ脚本「ただ、ビールが旨かった」
▼登場人物
皆川健治(32)…無職
塚本里恵(24)…社会人
居酒屋の店員
▼本文
〇健治のアパート(夕)
部屋一面が汚い。部屋の中には、紐が輪っかになって置いてある。
皆川健治(32)がいる。
健治NA「今日は俺の人生最期の日だ」
イスに登り、紐を天井に吊るす。
健治M「遺書でも書くか…」
紙とペンを探すがない。ため息を付き、家を出る健治。
〇道(夕)
歩いている健治。
〇踏切内(夕)
踏切が閉まり始め、音が鳴る。
塚本里恵(24)が踏切内に座る。
健治「…!」
踏切が全て閉まる。
電車がやってくる。
ハッとしている、健治。
電車が通り過ぎる。
〇踏切前(夕)
踏切外の道には、健治と里恵が突き飛ばされたように転んでいる。
目が合う、里恵と健治。
里恵は一人で立ち、その場を去る。
健治「待って」
里恵「(振り返って)?」
健治「…」
〇居酒屋(夜)
店内で飲んでいる人々。
一角に里恵を健治。店員がビールを持ってくる。
乾杯をせずに飲む健治。グビグビ飲む健治。
健治「ビールって旨いな…」
健治を見て、ビールを飲む里恵。
健治「おいしい?」
里恵「(コクンと頷いて)」
しばしの沈黙。
健治「…ごめんね。さっき…」
里恵「…いえ。…ありがとうございます」
健治「…?」
里恵「ビール」
健治「うん。…俺も」
里恵「?」
健治「ありがとう」
〇健治のアパート(夜)
健治が帰ってくる。
健治は部屋に入るなり、吊ってある紐をただ見つめる。
紐の下にあるイスに登り、紐に手をかける健治。
健治は紐を片付ける。
大きくため息を付く、健治。
健治「…乾杯」
缶ビールをグビッと飲む健治。
(了)
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