映画「こどもかいぎ」から対話の大切さを学ぶ
先日、ソーシャルワーカー仲間が主催した映画「こどもかいぎ」の上映会に参加してきました。この「こどもかいぎ」という映画は子どもたちが、「かいぎ(会議)」をする保育園を1年間にわたって撮影したドキュメンタリーです。厚生労働省も推薦、内閣府も後援しており、現在は全国での自主上映会にて映画を観ることができます。
この映画、こどもかいぎを通して「対話がどれだけ大切か」が描かれており、一言で言うと感動。後半は涙がとまりませんでした。
「こどもかいぎ」ってどんなもの?
保育園での「かいぎ」では、子ども達6人くらいに1人の保育士さんが輪になって座り、「今からこどもかいぎはじめます」というかけ声でスタートします。保育士さんが一つのテーマを設定し、こどもたちに質問を投げかけるのです。
「どうしたうまれてきたの?」「どうして雨が降るの?」
「どうして喧嘩するの?」「死んじゃうってどういうこと?」
「家族ってどんな人たち?」等さまざまなテーマが出てきました。
「こどもかいぎ」と「ピーステーブル」の意義
こどもたちは、先生からの質問を受け、「自分の中で感じていることを整理する」→「言葉を選択して伝える」→「受け止めてもらう」→「相手の意見も聞く」→「自分とは違う意見があることを知る」というプロセスを経て
安心して話すことを覚え、自分が感じていることを確認したり、相手との違いを知ることができるのです。こどもたちの中にはお友達が話しているのに遊んでしまったり、話が長くて「話が長いよ~」と指摘されて怒りだすお友達もいました。人前で話したり発信することが苦手で、自ら発信はしないけど、毎回会議には参加していたお友達もいました。何回目かで初めて発言することができたのです。「この場では発言していいんだ」と安心感を持てたようでした。
この保育園ではもうひとつ特徴的なのが、何がトラブルが起きた時に子ども同士が話し合う場所を設けています。その場所がピーステーブル。集団生活の場では日々色々なことがおきます。子ども同士で話し合い、保育士の先生は必要に応じて声かけをして介入します。
ピーステーブルの場は、解決する場というよりは、気持ちを言葉にする場という感じでした。結果的にお互いに「ごめん」と言えてお互いにいい気持ちになり、解決することが多いようですが、大事なことはお互いの気持ちを伝えるというプロセスだと話されていました。
私たちはどれだけ対話してる?
かいぎでの対話を通して、自分の気持ちを言葉にすること、自分の気持ちを聞いてもらえるという安心感を持てること、相手の気持ちを聞き色々な意見があることを知ることができます。コミュニケーションをとる上での「多様性の理解」「お互いの人権の尊重」ができる貴重な体験になるなと感じました。
一方で、この対話の場を持ててる人って世の中にどれぐらいいるんだろう?という疑問も抱きました。「かいぎ」の場に絶対的に必要なのが相手の意見を否定しない、どんな気持ちも聞くという「安心安全の場」であるということ。相手を否定する、傷つける、差別的な発言をする等、社会の中は安心安全でない場面が多いことが現状。だから争いごとが起きたりします。
主催者の言葉。
「大人にこそ対話が必要だよね」
本当に共感します。
対話の場を広げたい
こどもの会議の効用として、①子どもの多様な力を伸ばす可能性、②子どもを取り巻く様々な問題を改善する可能性、③将来的な社会問題の予防になる可能性、の3つがあるそうです。
ソーシャルワーカーである私は、③将来的な社会問題の予防についての可能性、に着目しました。私が支援するクライアントの中には、上記のように助けを求められずにずっと苦しんできた方がいます。傷害事件、自殺未遂、行動がいなど何か問題として表面上に現れてから病院や行政から繋がってくることが多いです。
「なんでもっと早く支援に繋がらなかったのだろう?」もしこのクライアントにこんな対話の場があったらこの状況にまでなっていなかったかもしれません。
「対話の場」って生きていく上で本当に大事なもの。家族、友人、職場、地域、国…どんな場所・場面にも対話の場があるようなそんな優しい社会になったらいいなと感じ、もっともっと対話の重要性について伝えていきたいと思いました。そして我が家でも「こどもかいぎ」導入したいと思っています。
素敵な上映会をありがとうございました。
〇映画「こどもえいが」HP
〇この映画を主催した仕事仲間の会社について