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キャラメルの孤独

どうも、はじめまして。
yucchiです。
僕の生活の一部を切り抜いて皆さんに紹介します。
読んでいただけると嬉しいです。

僕にはキャメロンという友達がいます。いつも溌剌としていて僕に元気をくれる友達です。その日はキャメロンの妹に会いました。キャメロンの妹はキャラメルという名前で、大学一年生なのですが、どうも学校生活に馴染めないようで引きこもりがちだということでした。僕に何ができるかわからないけれど、とりあえず話を聞いてあげようと思い、会うことにしました。

キャラメルはキャメロンによく似ていてブロンドの髪が似合う目鼻立ちのはっきりとした美人でした。しかし、その美しい顔には常に悲しげな微笑を湛えていました。美味しそうにコーヒーを啜りながら、彼女は少しずつ話し始めました。新しい環境で自分を見せることが怖くなってしまったこと。自分というものを見失ってしまったこと。協調と孤独の間で心が揺れ動いていること。あらゆる行為の"意味"を素直に受け入れられなくなったこと。彼女は真剣に、そして正直に話してくれました。

僕は、たいしたアドバイスもできず、曖昧な相槌を打ちながら、冷めていくコーヒーを眺めていました。彼女の話を聞きながら、僕は孤独というものについて考えていたのです。

僕が中学生の頃、同じ部活の友達が突然学校に来なくなりました。部活内で同じ学年なのは僕と彼だけだったので、僕は放課後部活にはいかず、彼の家に通うようになりました。たいていは2人でゲームをして過ごしましたが、ある日彼の部屋に行くと、彼の姿はなく机の上にスケッチブックがひとつ置かれていました。開きっぱなしのスケッチブックには、輪郭がぼやけた黒い影とその後ろに花が描かれていました。花の茎は細く黒く描かれ、花びらは細い茎に不釣り合いなほど大きいものでした。そして、悲しいほどに深く赤い花びらでした。その絵の隅にはこんな言葉が書かれてありました。

孤独とは僕らの背後に咲く赤い花である
僕らが裸になろうと、変わらずそこに咲いている
風はないはずだ
死んだように動かないのだから

僕はキャラメルにこの話をしました。彼はどうなったのですか、と彼女が訊きました。
僕はそれには答えず、冷めたコーヒーを啜りました。

しばらく経ってキャラメルが学校に通うにようになったとキャメロンがとても嬉しそうに話してくれました。キャラメルからの手紙も届けてくれました。そこにはこう書かれてありました。

ありがとう。生を見つめて生きていきましょう。お互いに。

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