料理が苦手な人は、自分にあった料理のやり方を知らないだけなのかもしれない
Nサロンの集中講座「料理名のない自炊入門」が幕を閉じた。初心者向けの内容にしたので、料理好きというよりかは料理に対して何かしらの苦手意識や「もっとこんな風に料理したい」という気持ちを持った人が、18名参加してくれた。
講座は、旬の食材を取り入れながら「料理の方程式」を使って、日常的に作れる “料理名のない料理” をテーマに開催してきた。具体的には、組み合わせを楽しむスープ作り、野菜を焼いただけ・切っただけの料理というほどのものでもない料理(料理前料理)作り、30分で作る一汁二菜作りなどだ。料理があまり得意でないと言っていた初回に比べて、毎回参加者の顔は肩の荷が下りたように少しずつ明るくなっていった。
講座と講座の間には、家でもやってみてねと宿題を出していた。忙しい人が多いからあんまり作ってくれないかな……と思っていたらその真逆で、作ったよと写真がどんどん上がってくる。楽しそうに料理してたら、それにつられた人たちが集まってきて、静かに盛り上がっている様子がとても嬉しかった。(上2枚は参加者の料理写真を拝借)
そしてついに最終回。チームになってもらい、私がランダムに指定した野菜とお肉や薬味を使いながら、おかず(兼おつまみ)2種類作ってもらった。ある程度はアドバイスが必要かなと思っていたのだけれど「じゃあししとうにじゃこを合わせて炒めよう。にんにくを入れてもおいしいかも」と、どのチームもテンポ良く料理が進んでいった。いい香りが立ち込める。
待つこと30分。テーブルに並んだのは見るからにおいしそうな料理の数々。炒め物、和え物、サラダ、オムレツ、みそ汁などの、家らしいおかずたち。各チームが料理について説明し、みんなで食べた。
大きなリアクションではなく、ほっとするような声で「おいしい」と言っているのかが聞こえてきた。料理が苦手・得意でないと言っていた人たちが、2ヶ月後こんなに楽しそうに料理をし、味わっている様子に心からうれしくなった。
ふと、今回の参加者は料理が苦手だったのではなく「自分にあった料理のやり方を知らなかっただけ」なのでは?と思った。野菜は油で焼いて塩だけでおいしい。みそ汁には何でも入れていい。あり物で料理できる。レシピがなくても、食材と考え方さえわかれば料理はできる。
料理は頑張ろうと思えば永遠に頑張れるので、講座を通じて参加者自身が「私はこれで、これがいい」の境界線を設けられたことも大きかったと思う。これがいい!と思えると、自己肯定感が自然と上がっていくのだ。
今回の私自身の大きな発見は二つあった。
一つ目は、チームで料理をすると「他人の料理の仕方」をのぞけて「十人十色の料理の正解」を見られること。
確かに、普段一人で料理していて「他の人はどうやってやっているのだろう?」と思うことはたくさんある。野菜はどこまで洗うのか、どんな切り方をするのか、調味料はどう測るのか、どのタイミングで野菜を入れるのか。人それぞれにやり方があって面白い。
アンケートにも「スボラに料理しているのは自分だけじゃない!と思えた」とあった。
二つ目は、人が楽しそうに料理している姿を見ると料理したくなること。普段、外に出かけて料理をすると「山口さん、楽しそうに料理しますね」と言われることが少なくない。自分の手でおいしいものを作り出しているのですから、そりゃあワクワクして当たり前なのだ。
今回の講座も、私が楽しく踊っていたら、周りに人が集まってきて一緒に踊る人がゆっくりと増えていったような感覚だった。いくら料理や自炊のメリットを挙げて「料理した方がいいよ!」と力説するよりも、ご機嫌に料理している方が仲間は増えていくのだなと確信した。大きな学びを得られた2ヶ月間だった。
講座の参加者の皆さん、会場を貸してくださったクックパッドの皆さん、きっかけを作ってくれたnoteチームに感謝します。ありがとうございました!