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Home Girl Journey/矢野顕子
谷川俊太郎さんが亡くなられましたね。発表あったの昨日でしたっけ。おとといでしたっけ。なんか記憶があいまいです。ぼくは詩とかロクに読んだこともないんですが、谷川さんの詩は2、3見たことあります。そんなんで何を言うかってのはあるんですけど、とにかく突き刺さる詩だなって印象がありました。
で。さっきふと、「そういや谷川俊太郎の詩で矢野顕子が歌ってたような……」というのを思い出しました。「さようなら」って曲ですね。そういうことで、その曲が入ってるアルバムを聴いてます。谷川さんの詩で一番馴染みがいいのは、意外とこれなのかもしれません。これは「詩」じゃなく「詞」なのかもしれないですけど。
谷川さんの詩だからってのではなく、この「さようなら」って曲は、最初に聴いた時からやたらと印象に残ったものでした。なんでって、その辺はよくわかりません。当時もよくわかんなかったですし、今もよくわかりません。なんですけど、ンマー言葉が強いってのがあるんですかねー。いやでもそれなら他の曲もそうっちゃそうか。やっぱりよくわかんないです。
「Home Girl Journey」というタイトル通り?、なんか旅立ち系の曲が多いです。そんな気がします。昔は別段気にしてなかったのですが、今回あらためて聴いて、「そういやこれもじゃん!」みたいになりました。矢野さん、この頃旅がブームだったんでしょうか。
「旅」といっても、英語だといろいろありますよね。トラベルとかトリップとか。そんな中で「ジャーニー」ってどういうニュアンスなんでしょう。英語はサッパリなのでわかりませんが、なんとなくこのアルバム聴いてると、期間限定の旅行みたいなもんではなく、なんていうか、一度行ったらちょっとやそっとじゃ帰ってこれないような、そんな感じの旅なんかなーという気がします。
これを最初に聴いた当時は、ぼくも今よりかなり若く。あれは……東京に住み始めて少したった頃だったかもしれません。当時はそこまで自覚してませんでしたが、今思うと結構しんどい時期だったのかもしれません。生活は激変して、右も左もわからない感じでしたから。
そんな頃によく聴いてた覚えがあります。「さようなら」の歌詞みたく、なんで行くのか、どこへ行くのかもよくわからないけど、とにかく行かなくちゃいけない。前に。前のような気がする方向に。それが正しい方向かも自信のないままに。自分をそんな風に捉えて、曲やアルバムに重ね合わせてたような気がします。
ピアノ弾き語りだからか、アルバムのテーマがそんなだからかわかりませんが。だいたい全編、どっかに孤独のにおいみたいなのを感じます。ある種の淋しさっていうんですかね。その辺も、若い日のぼくの心を捉えて離さなかった覚えがあります。もしかすると浸りたかったのかも。わりにセンチメンタル過剰なんです。
ラストは「さすらい」で終わるんですよ。民生さんの名曲のアレです。あの頃は聴きながら、自分自身もなんかさすらってるような気がしてました。今はどうなんでしょうね。ぼくは今、さすらってるんでしょうか。さすらえるんでしょうか。旅に出られるんでしょうか。出たいんでしょうか。あの頃のぼくは今のぼくを見て、どんな風に思うんでしょうか。