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ブラジャーバーゲンセールに行った話

恥ずかしながら私はブラジャーにこだわりがない。

だって街中で歩いててブラジャーを見せることなんて無いし、服の中をいくらオシャレにしたって無意味だからだ。

なんならノーブラで出掛ける事も珍しくない。
柄物の服ならそうそう乳首も透けないし。

だから家にあるブラジャーは3つくらいしかなく、ブラジャーを付けるとしても白いブラウスを着るときに乳首透け対策として渋々着るくらいだ。

そんな私を見かねたのか、先日友人から『ブラジャーのバーゲンセールに行こう』と誘われた。

ブラジャーのバーゲンセール…?

聞くところ、そのバーゲンはワコールというブランドが年に2回開催する『チェス祭り』という名のセールだった。

それはチケットが必要なくらい人気のもので、中でも目玉商品は『サルート』というブランドのブラジャー…らしい。

▲こんなやつ。フィギュアスケートの衣装みたい。

サルートは流石に私も聞いたことがある。
なんかすごく刺繍の凝った高級ブラジャーだ。そして風俗嬢ご用達のブランドだと。

別にメーカーはそれを意図して作った訳じゃ無いんだろうが、高いブラジャーを買う層というのは自ずとそういう客層になるのだろう。

高級ソープなんかでは店舗から『下着はサルートを着ること!』と指定される事もあるのだとか。

ふーむ、私も風俗嬢になった訳だし、そういうのを持っていた方が良いかもしれない。M性感なので別に脱がないけど…。

当日、友達と待ち合わせて現地に行くと、既に長蛇の待機列が出来ていた。

まるでディズニーランドのアトラクションの待機列のようだ!

まだ開場まで1時間以上もあるのに…

チケットと入場整理券を交換する。
私は431番目だった。

これが手前の方なのか後ろの方なのか全然分からん。

友人いわく

『サルートは早く来ないともう無くなっちゃうから。早い人は始発で来てるからね。』

と言っていた。
始発でブラジャーを買いに来るバイタリティ…!
ブラジャーってそんなに人々を狂わせる魅力があるのか。

気付くと私達が並んだ後にも列は延々と伸び続けていた。

開場時間になり、列がゾロゾロと動き出す。

品物が品物だけに、流石に中の様子は撮影出来なかったが、中は恐ろしいほどに戦場だった。

ブラジャーのワゴンに群がる女性たち。
叫ぶ男性店員。

『サルートのショーツはー!おひとりさまー!10点までですよーーー!!!』

『袋の中に入れてから商品を選別するのはやめてくださーーーい!!』

ひぃぃ!!怖い!!こんな光景、クレヨンしんちゃんのバーゲンセール回でしか見たこと無いよぉ!!!

『ショーツは一瞬で無くなっちゃうからね、見ておこう。』

友人に言われるがままショーツを見に行く。
ショーツは1枚2000円だった。

この値段、友人からすると『かなり安い』らしい。

…でもGUだとショーツ4枚セットで1000円で売ってるよぉ。

入場してから5分も経ってないのに、中には買い物袋パンパンにブラジャーを詰めている人もいた。
そんなにたくさん買ったっておっぱいは1つしか無いのに…。いや、2つか。

ええ、どうしよう。なんか自分も漁らなきゃいけない気持ちになってきた。
でも何を買えばいいか分からないよーーー!!

自分では選ぶセンスがまるで無いので、ここは友達のアドバイスに従うことにした。

『下着は素材はサテン生地、暖色系のブラジャーがいいよ。暖色系のものだと暗いところでもよく見えるからね。』

はぁ~、なるほど。
夜のシーンとかホテルとかでパンチラアピールしても、暗い色だと気づかれないもんね。

『それで言うとピンクとか黄色がいいかもね。』

よし、じゃあピンクと黄色のものを買おう。

ブラとショーツを別々に買うのはコーディネートスキルが求められる。よく分からない私はセットアップのものを買うことにした。

とりあえず何点か確保した。
一段落して辺りを見渡す。さっきまで豊富にあったショーツはきれいサッパリ無くなっていた。早いって…!

相変わらずサルートのコーナーは人だかりが消えない。
ふーむ、こうして落ち着いて見てみると、客層は意外と高めなんだな。50~60代の女性が多めだ。

ブラジャーのセールと言うと、うら若き乙女が好きそうなイメージがあるが、案外この年齢層の方がガメツいな。

会場内にはサザンオールスターズの曲が流れてて、そういう所からも年代を感じる。

会場外には“お楽しみコーナー”と称してワコールの取引先会社の即売ブースがあったが、そこに並ぶ化粧品も年齢を重ねたマダム達が好みそうな品々ばかりだった。

とりあえず買ったブラジャーはこんなやつ。

どうだろう?お得にお買い物できたのかな?

帰りに友達から『夜でもちゃんもナイトブラを付けるんだよ。クーパー靱帯が伸びるからね。』とアドバイスを貰った。
うむ、これからはもう少しおっぱいに配慮した生活を送ってみるよ。