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15分で分かる!国家予算について
国家予算の仕組みと編成プロセス
予算委員会の役割と進行
予算委員会は国の政策全般を議論する場で、全ての大臣を呼べる特別な権限を持つ
衆議院から始まり、その後参議院で審議される
基本的質疑、集中審議、参考人質疑などの段階を経て進行する
骨太の方針と概算要求の過程
前年の6月頃に「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)が決定される
7月末に概算要求基準が示され、各省庁が8月末までに概算要求を財務省に提出
9月から12月にかけて財務省による査定と調整が行われる
一般会計と特別会計
一般会計
規模
令和5年度(2023年度)の一般会計総額は114兆3812億円
主な財源
税収(所得税、法人税、消費税など)
公債金(国債発行による収入)
使途
社会保障費(36兆9000億円、32.3%)
年金、医療、介護、少子化対策など
国債費(25兆3472億円、22.2%)
過去に発行した国債の償還と利払い
地方交付税交付金等(15兆8894億円、13.9%)
地方自治体の財源保障
公共事業費(6兆875億円、5.3%)
インフラ整備、災害対策など
文教及び科学振興費(5兆3641億円、4.7%)
教育、科学技術研究など
防衛費(6兆8218億円、6.0%)
自衛隊の運営、装備調達など
プロセス
各省庁が概算要求を財務省に提出(8月末)
財務省による査定(9月〜12月)
政府案の決定(12月下旬)
国会での審議と可決(1月〜3月)
特別会計
規模
令和5年度の特別会計の総額は約441兆円
ただし、会計間や一般会計との重複があるため、実質的な規模は約194兆円
主な特別会計の例
年金特別会計(約67兆円)
公的年金の運営
労働保険特別会計(約4兆円)
雇用保険、労災保険の運営
外国為替資金特別会計(約1400兆円の取引規模)
為替市場の安定化操作
交付税及び譲与税配付金特別会計(約29兆円)
地方交付税の配分
東日本大震災復興特別会計(約1.4兆円)
震災復興事業の実施
特徴
特定の歳入を特定の歳出に充てる
一般会計と区分することで、特定の政策や事業の収支を明確化
複数年度にわたる事業の継続性を確保
プロセス
各省庁が所管する特別会計の概算要求を作成
財務省による査定
一般会計と同様に政府案として決定
国会での審議と可決
特別会計の問題点
透明性の欠如: 複雑な構造により、全体像の把握が困難
硬直性: 特定財源が固定化され、柔軟な資金活用が難しい
余剰金の蓄積: 一部の特別会計で多額の余剰金が発生
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令和5年度(2023年度)予算の主なポイント
総額114兆3812億円の過去最大規模
前年度比で約6兆円増加
11年連続で過去最高を更新
防衛費の大幅増額(6.8兆円)
GDP比2%を目指す方針に基づく増額
5年間で43兆円の防衛力整備計画の初年度
社会保障費の増加(36兆円超)
高齢化の進行に伴う自然増
年金、医療、介護などの費用が含まれる
GX(グリーントランスフォーメーション)への投資
脱炭素社会の実現に向けた投資
10年間で150兆円の投資計画の一環
予算の内訳と特徴
歳出の内訳
社会保障費が最大で全体の約32%
国債費(借金の返済と利払い)が約24%
地方交付税交付金が約15%
公共事業費、文教費、防衛費がそれぞれ5~6兆円規模(「5兆円クラブ」)
歳入の構造
税収が約60兆円(過去最高)
公債金(国債発行)が約35兆円
省庁別予算の配分
厚生労働省が最大(社会保障費のため)
防衛省、国土交通省、文部科学省が大きな配分
補正予算とは
当初予算では対応しきれない政策や緊急対応のために組まれる
令和4年度は約30兆円の大型補正予算が組まれた
エネルギー対策、物価対策、経済対策などに充てられる
補正予算の規模が大きいため、実質的な政策実現の手段となっている
地方財政の概要
地方交付税交付金として約16兆円が配分される
地方全体の財政規模は約92兆円で、国の一般会計に匹敵する規模
地方税収や地方交付税などで構成される