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+82 #13-1 : 그 밤1
その夜は突然だった。
お風呂から上がってスマホを見ると、友人からこんな通知が来ていた。
「帰国してる??大丈夫??」
11月30日まで韓国にいたので、メッセージをもらったこの日(12月3日)には私はすでに日本にいた。
この通知を見た途端、自分の頭の中には嫌な予感しかなかった。
北が何か仕掛けてきたか、日韓間に何か重大なことが起きたのではないか。
しかしどちらも違った。友人からのメッセージはこう続いた。
「韓国に戒厳令が出た、ギリギリでよかった」
頭が真っ白になった。私はすぐにNAVERにアクセスしようとした。
すると、韓国の友人からカカオトークの通知が来た。
「(名前)、韓国の大統領が非常戒厳令を出したから、多分2月に日本に行く予定がなくなるかもしれない。本当に状況が悪くなってしまったらインターネットも切られてカカオトークも他の連絡手段も使えなくなってしまうかもだから、先に言っておくね!!!」
「状況がよくなるかわからない、けど今の状況では悪くなる確率の方が高いと思う」
私の頭は軽くパニックだった。
このカカオトークを送ってきたのは私の初めての韓国の友人で、一番長い付き合いだ。そんな親しい友人から戒厳令なんてとんでもない宣布が出てまもなくこんな連絡が来るなんて、よっぽどのことに決まっている。
半ばパニック状態で、現地のニュースを見た。
日本のニュースでは(そりゃそうかもしれないが)、緊急速報のように報じてはいなかったから。
他人事ではなかった。ついこの間まで自分がいた韓国が、無法状態というのだから。
とりあえず、北と大きい衝突になったとか、南北問題ではなかったことに少しだけ安心した。だがその理由は、何度見ても頭に?しか浮かばなかった。
尹大統領の主張は、国内政治を乱す脅威から大韓民国の自由民主主義を守るためといった内容だった。
正直な話、韓国の政党も大きい政党の名前くらいしか知らないし、直近の情勢に理解もなかった。
イ・ジェミョン代表が襲われたり、光化門前の集会が増えていたり、よいニュースを耳にすることはあまりなかったと言えばそれくらいだろうか。
カカオトークをくれた韓国の友人に、そんなに韓国国内の政治はやばいのか、と聞いてみた。すると
「今すぐヘリコプターで(政治家が)民間人に銃を撃ってもおかしくないくらいだよ」
私はそんな状態にある韓国に、ついこの間まで9日間も滞在していたのか。
韓国で見た初雪や、出会った人々との思い出が頭を駆け巡った。
Instagramには、多くの韓国の友人がこの件を共有していた。
中には、自身の緊急連絡先をストーリーズに載せたり、避難所を探そうなんて呼びかけている子もいた。
私の心臓がバクバク言い始めた。
ただでさえ日本人として、韓国で戒厳令が出されることの意味なんてわかっていない。だからこそ、自分の大切な友人たちに何が起こるかわからない、つい数日前に会ったあの人にもう一生会えなくなるかもしれないという不安が私の眠気を消し去った。